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第一章
1-11 フォーカス兄さん
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声を上げながら駆けつけてきたのは、ラージ兄さん、エンプテ兄さん、フォーカス兄さんだった。
簡単に言えば今屋敷に残っている上4人の兄さんたちが、俺の部屋に集まってしまったわけだ。
当然のように目線は俺の前で威嚇を行っているピギュンに向いている。
驚きと困惑。
けれど、ラージ兄さんとエンプテ兄さんはすぐに顔を怒りに染め上げた。
「エディ兄さん! ディルレアンがモンスターを呼び寄せたってのは本当なのか!?」
「だとしたら大変なことです。笑って見過ごすことは絶対にできません」
これで俺の人生は終わってしまう。そう思うと心の中の何かがガラガラと音を立てて崩れていくような気がした。
俺の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
けれど、エディ兄さんはそんな俺の様子を楽しそうに見つめながら言い放った。
「ああ、こいつがさっき自白した! モンスターの手先だということをな! この屋敷にモンスターを集めようとしていたこともな!」
「お、俺は……そんなことは……」
「ああっ!?」
言い訳すら許されない状況。俺には為すすべがなかった。
だからと言って諦めるわけにもいかない。
しかし、一体どうすればいいというのだろうか?
完全に袋のネズミ。逃げ場なんてありはしないし、仮に逃げたとしても……。
考えているとフォーカス兄さんの声が耳に届く。
「ディル、本当にモンスターの手先なのか?」
「俺はモンスターの手先なんかじゃないよ。信じてくれ、フォーカス兄さん!」
しかし俺の懇願にフォーカス兄さんが応える前にエディ兄さんが声を荒げた。
「お前はさっき調合でモンスターを作りだしたと言っていただろうが! その口で! 自分でだ!」
「それは本当の事なのか? エディ兄さん。ディルが自分で……?」
「ああ! 本当だ、俺はこの耳で聞いた! そしてモンスターは俺に襲い掛かってきたんだ」
フォーカス兄さんはその言葉を聞き一瞬考えるそぶりを見せた。
おそらくであるがこの中ではフォーカス兄さんが一番強い。
魔法というものはそれほどに絶対的な力なのだ。
それが俺に牙を剥けば俺にはなすすべもない。
もっともエディ兄さんの剣も俺ではいなすことはできない。
それでもフォーカス兄さんにだけは、俺の事を疑ってほしくはなかった。
信じていてほしかった。
そんな願いもむなしくフォーカス兄さんの掌に大きな炎が生み出される。
見たことのない魔法。けれど、その威力は容易に想像できるほどの大きな火炎。
「残念だ、ディル。兄さんたち下がっていてくれ。一番仲が良かった僕がひと思いにやろうと思う」
その言葉を聞き兄さんたちは部屋の外へと出て、そこから俺たちの事を眺めていた。
燃え上がる火炎、天井をチリチリと焼いてしまいそうだが、コントロールされているのかそんなことはない。
けれど、ピギュンの体を飲み込み、容易く俺の命を奪ってしまうことが予想できる強力な魔法。
「これは今練習中の魔法だ。ディル、魔法の実験台となって死んでくれ!」
どうしてこんなことになってしまったのか。
調合師という素質を貰ってしまったのが悪かったのか。
それとも部屋で調合を試そうと思ったのが悪かったのか。
十一男という立場に生まれてきてしまったことが悪かったのか。
ま、エディ兄さんの剣よりは魔法でひと思いに殺してくれたほうがいいかもしれない。
そんな諦め交じりの心でフォーカス兄さんに目を向けた時の事だった。
簡単に言えば今屋敷に残っている上4人の兄さんたちが、俺の部屋に集まってしまったわけだ。
当然のように目線は俺の前で威嚇を行っているピギュンに向いている。
驚きと困惑。
けれど、ラージ兄さんとエンプテ兄さんはすぐに顔を怒りに染め上げた。
「エディ兄さん! ディルレアンがモンスターを呼び寄せたってのは本当なのか!?」
「だとしたら大変なことです。笑って見過ごすことは絶対にできません」
これで俺の人生は終わってしまう。そう思うと心の中の何かがガラガラと音を立てて崩れていくような気がした。
俺の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
けれど、エディ兄さんはそんな俺の様子を楽しそうに見つめながら言い放った。
「ああ、こいつがさっき自白した! モンスターの手先だということをな! この屋敷にモンスターを集めようとしていたこともな!」
「お、俺は……そんなことは……」
「ああっ!?」
言い訳すら許されない状況。俺には為すすべがなかった。
だからと言って諦めるわけにもいかない。
しかし、一体どうすればいいというのだろうか?
完全に袋のネズミ。逃げ場なんてありはしないし、仮に逃げたとしても……。
考えているとフォーカス兄さんの声が耳に届く。
「ディル、本当にモンスターの手先なのか?」
「俺はモンスターの手先なんかじゃないよ。信じてくれ、フォーカス兄さん!」
しかし俺の懇願にフォーカス兄さんが応える前にエディ兄さんが声を荒げた。
「お前はさっき調合でモンスターを作りだしたと言っていただろうが! その口で! 自分でだ!」
「それは本当の事なのか? エディ兄さん。ディルが自分で……?」
「ああ! 本当だ、俺はこの耳で聞いた! そしてモンスターは俺に襲い掛かってきたんだ」
フォーカス兄さんはその言葉を聞き一瞬考えるそぶりを見せた。
おそらくであるがこの中ではフォーカス兄さんが一番強い。
魔法というものはそれほどに絶対的な力なのだ。
それが俺に牙を剥けば俺にはなすすべもない。
もっともエディ兄さんの剣も俺ではいなすことはできない。
それでもフォーカス兄さんにだけは、俺の事を疑ってほしくはなかった。
信じていてほしかった。
そんな願いもむなしくフォーカス兄さんの掌に大きな炎が生み出される。
見たことのない魔法。けれど、その威力は容易に想像できるほどの大きな火炎。
「残念だ、ディル。兄さんたち下がっていてくれ。一番仲が良かった僕がひと思いにやろうと思う」
その言葉を聞き兄さんたちは部屋の外へと出て、そこから俺たちの事を眺めていた。
燃え上がる火炎、天井をチリチリと焼いてしまいそうだが、コントロールされているのかそんなことはない。
けれど、ピギュンの体を飲み込み、容易く俺の命を奪ってしまうことが予想できる強力な魔法。
「これは今練習中の魔法だ。ディル、魔法の実験台となって死んでくれ!」
どうしてこんなことになってしまったのか。
調合師という素質を貰ってしまったのが悪かったのか。
それとも部屋で調合を試そうと思ったのが悪かったのか。
十一男という立場に生まれてきてしまったことが悪かったのか。
ま、エディ兄さんの剣よりは魔法でひと思いに殺してくれたほうがいいかもしれない。
そんな諦め交じりの心でフォーカス兄さんに目を向けた時の事だった。
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