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第二章
2-26 フロード完治
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フランシスいつにまにやら茶巾を体に巻き、俺の上着でしっかりと留めるように着こんでいるためこんなファッションもありかな? と思えるような格好になっていた。
俺の腕をぎゅっと両手で掴んだのも、もう茶巾を抑える必要がないからなのだろう。
「ねぇ、さっきの人って……従魔……なんだよね? リンガルに聞いたんだけど……」
俺はそれを聞きチラリとリンガルさんに目を向ける。右手で頭を掻き、左手を顔の前に掲げ、面目ない、と言っているような様相。
もっともジョカが再度現れてしまった以上、誤魔化すのは不可能だろう。
正直に言ってくれて別に構わない話だ。
「あーうん。従魔……って言っていいのか分からないし、俺は仲間だと思ってるけど」
「わ、私は仲間にしてくれないくせになんで……、ま、まぁいいわ。あの……凄く綺麗な人だったけど……」
怒っているのか僅かに頬が膨らんでいる。
だが仲間にできないものはできない。今の力を見て何も思わなかったのだろうか……。
再度目を向けると溜息をつきたくなるほどの惨状。
中からは住人らしき人たちが集まってきており、ここは戒厳令が敷かれているわけではないのだと分かる。
「見た目も、力も、性格も人間離れしすぎてるよ。さっきフランシスを土下座させたのもジョカから守るためだったから」
「え! そうだったの……? 私を守ってくれるため……、私を守ってくれたんだ…………。で、でも、でもでも」
俺の腕を離し、小さく呟きながら顔の前で両手の人差し指をクルクルと回す仕草は、女の子っぽい動作だなと思う。
フランシスのキャラが今いちよく分からない。これが素だとすれば相当に可愛いのだが、おそらく素は暴れ馬の方だろう。
「よく分かんないけどさ、とりあえず……あれ、どうにかしないといけないからリンガルさんと話させてよ」
リンガルさんはフランシスが話しているのに遠慮している様子なので、話すことができない。
そろそろ門番達や街の警備兵が集まってきてもおかしくはない。
といってもなぁ……。どうしようもないよこれ。
そんなことを思いつつ門に再度目を向けていると、肩口をバシッと叩かれた。
勿論フランシスにだ。
同時に俺の心臓を冷たい風が包み込む。
「ばかっ! ばかばかっ! もう知らない!」
「あ、謝って! 早く、すぐに!」
「え、え、え、えぇぇ!? あ、そ、そっか……ご、ごめんなさい」
今度は土下座ではないがフランシスを謝らせたのだが、ジョカが何かを言ってくることはなかった。
俺に攻撃を加え罵倒した。どう考えてもジョカが怒るかと思ったのだけど、そんな様子はない。
不審に思いつつ内心から尋ねかけてみる。
(ジョカ、俺が叩かれたのに怒らないの?)
【今の打撃には敵意を感じなかったでありまするから。妾にはない感情ではありまするが、種の存続欲求というものを生物が内包しているのは理解しておりまする。
その範疇に主殿もはいっていることも。妾は主殿が今ここでそのおなごと交尾しても気にしないでありまする】
「な、な、な、何を言ってるのあほぉ!!」
言ってる言葉は俺は子供なのでよく分からないけど、なんとなく言いたいことは伝わり顔に熱が上る。
そして思わず口から声が飛び出してしまっていたのだが、当然目の前で頭を下げているのはフランシス。
ガバッと顔をあげると、目を僅かににじませ困惑した様子で口を開く。
「なんで謝ってるのにあほって言われるのよぉ。うぅぅぅ……」
「ああーごめんごめんごめん。泣かないでくれよ」
泣き出しそうになるのを見て、以前ジョカが怒ったことが頭をよぎる。
そのために俺は思わずフランシスの肩に手を添えて頭を撫でてやっていた。
しかし。
そこで先ほどのジョカの言葉が思い出され顔が急激に熱くなり、先ほど寵愛がどうのこうので怒りだしそうになっていたことも記憶に蘇り、身体を急いで離し軽いパニック状態。
なぜ俺がこんな苦労をさせられないといけないのだろうか?
俺の方が泣きたいよ。
多分それはフランシスも同じだったのだろう。
俺が頭を撫でてやった時は顔を真っ赤に染め上げ、俺がばっと離れると酷く困惑して涙がポロリと零れる。
その後、俺の元へ一歩踏み出すと俺の服で涙を拭き、チーンと鼻をかんでからリンガルさんの後ろへと逃げていった。
流石に俺の服で鼻をかむのは汚いだろ……。
漏れる溜息を抑えることもせず、今度は笑いをこらえたような顔をしているリンガルさんに顔を向けた。
その影からちらとフランシスが俺の事を覗いているが、とりあえず無視することにしよう。
「リンガルさん、とりあえず今の状況をどうにかしないといけませんよね。あれってやっぱりまずいですか?」
「くくくっ。おっと失敬。そうですな。非常にまずいでしょうね」
小さく笑いを漏らし、顔を引き締めた後に無残な姿に変わり果てた門へと目を向ける。
俺はもうあまり見たくないよ。
「はぁ~。って……来ちゃったよ……どうしようかな」
堀から抜け出してきた門番達と街の中からやってきた兵士たちが合流し、俺たちの方へと駆け寄ってきている。
既に剣を抜き取っており、事態は非常にまずい状況だと言えるだろう。
俺は緊急避難としてフロードに出てきてもらうことにした。
ジョカに対応してもらうとおそらく全滅させてしまう。
フロードも手の傷が癒えたかは分からないし、その姿をあまり見られてくはなかったがこの際背に腹は代えられない。
「ゲロロ、ご主人、手はすっかり完治しているので大丈夫でござる。しかし……ジョカ殿の力は尋常ではないでござるな」
「そっか! 良かったよ。ジョカ的にはこれで手加減らしいんだけどね……。 ……あ! リンガルさん、フロードも俺の仲間だから警戒しなくていいですよ」
フロードは門に目を向け、感嘆の息をほぅと漏らす。
フロードは事態と状況は把握しているっぽいので、フロードを見て驚愕していた三人に声をかけておいた。
「そ、そうですか。モンスターテイマーの類……いや……言葉を話すカエル……聞いたことが……」
「あ、そうか、やべ。フロード、言葉は話さないようにしといて。それでリンガルさん、そのことも内密にお願いします」
「分かりました。ディル殿も色々と事情があるのでしょう。なぁに、命の恩人の願いは固く守りますよ」
先ほどフランシスにジョカのことをあっさり話していたので若干不安だが、俺は頷くしかなかった。
もうそろそろ兵士たちがこちらに来てしまう。
いきなり斬りかかってくるようなことがないと良いのだけれど。
「フロード、向こうが攻撃の気配を見せたら……武器を何とかしてくれ。ジョカみたいにやり過ぎないでくれよ」
「ゲロロ」
やはりフロードはしっかり言うことを聞いてくれるし頼りになる。
手が完全に治ってよかったな、と俺の心が温かいモノで満たされていくうちに、兵士たちが俺たちを円型に囲んできていた。
俺の腕をぎゅっと両手で掴んだのも、もう茶巾を抑える必要がないからなのだろう。
「ねぇ、さっきの人って……従魔……なんだよね? リンガルに聞いたんだけど……」
俺はそれを聞きチラリとリンガルさんに目を向ける。右手で頭を掻き、左手を顔の前に掲げ、面目ない、と言っているような様相。
もっともジョカが再度現れてしまった以上、誤魔化すのは不可能だろう。
正直に言ってくれて別に構わない話だ。
「あーうん。従魔……って言っていいのか分からないし、俺は仲間だと思ってるけど」
「わ、私は仲間にしてくれないくせになんで……、ま、まぁいいわ。あの……凄く綺麗な人だったけど……」
怒っているのか僅かに頬が膨らんでいる。
だが仲間にできないものはできない。今の力を見て何も思わなかったのだろうか……。
再度目を向けると溜息をつきたくなるほどの惨状。
中からは住人らしき人たちが集まってきており、ここは戒厳令が敷かれているわけではないのだと分かる。
「見た目も、力も、性格も人間離れしすぎてるよ。さっきフランシスを土下座させたのもジョカから守るためだったから」
「え! そうだったの……? 私を守ってくれるため……、私を守ってくれたんだ…………。で、でも、でもでも」
俺の腕を離し、小さく呟きながら顔の前で両手の人差し指をクルクルと回す仕草は、女の子っぽい動作だなと思う。
フランシスのキャラが今いちよく分からない。これが素だとすれば相当に可愛いのだが、おそらく素は暴れ馬の方だろう。
「よく分かんないけどさ、とりあえず……あれ、どうにかしないといけないからリンガルさんと話させてよ」
リンガルさんはフランシスが話しているのに遠慮している様子なので、話すことができない。
そろそろ門番達や街の警備兵が集まってきてもおかしくはない。
といってもなぁ……。どうしようもないよこれ。
そんなことを思いつつ門に再度目を向けていると、肩口をバシッと叩かれた。
勿論フランシスにだ。
同時に俺の心臓を冷たい風が包み込む。
「ばかっ! ばかばかっ! もう知らない!」
「あ、謝って! 早く、すぐに!」
「え、え、え、えぇぇ!? あ、そ、そっか……ご、ごめんなさい」
今度は土下座ではないがフランシスを謝らせたのだが、ジョカが何かを言ってくることはなかった。
俺に攻撃を加え罵倒した。どう考えてもジョカが怒るかと思ったのだけど、そんな様子はない。
不審に思いつつ内心から尋ねかけてみる。
(ジョカ、俺が叩かれたのに怒らないの?)
【今の打撃には敵意を感じなかったでありまするから。妾にはない感情ではありまするが、種の存続欲求というものを生物が内包しているのは理解しておりまする。
その範疇に主殿もはいっていることも。妾は主殿が今ここでそのおなごと交尾しても気にしないでありまする】
「な、な、な、何を言ってるのあほぉ!!」
言ってる言葉は俺は子供なのでよく分からないけど、なんとなく言いたいことは伝わり顔に熱が上る。
そして思わず口から声が飛び出してしまっていたのだが、当然目の前で頭を下げているのはフランシス。
ガバッと顔をあげると、目を僅かににじませ困惑した様子で口を開く。
「なんで謝ってるのにあほって言われるのよぉ。うぅぅぅ……」
「ああーごめんごめんごめん。泣かないでくれよ」
泣き出しそうになるのを見て、以前ジョカが怒ったことが頭をよぎる。
そのために俺は思わずフランシスの肩に手を添えて頭を撫でてやっていた。
しかし。
そこで先ほどのジョカの言葉が思い出され顔が急激に熱くなり、先ほど寵愛がどうのこうので怒りだしそうになっていたことも記憶に蘇り、身体を急いで離し軽いパニック状態。
なぜ俺がこんな苦労をさせられないといけないのだろうか?
俺の方が泣きたいよ。
多分それはフランシスも同じだったのだろう。
俺が頭を撫でてやった時は顔を真っ赤に染め上げ、俺がばっと離れると酷く困惑して涙がポロリと零れる。
その後、俺の元へ一歩踏み出すと俺の服で涙を拭き、チーンと鼻をかんでからリンガルさんの後ろへと逃げていった。
流石に俺の服で鼻をかむのは汚いだろ……。
漏れる溜息を抑えることもせず、今度は笑いをこらえたような顔をしているリンガルさんに顔を向けた。
その影からちらとフランシスが俺の事を覗いているが、とりあえず無視することにしよう。
「リンガルさん、とりあえず今の状況をどうにかしないといけませんよね。あれってやっぱりまずいですか?」
「くくくっ。おっと失敬。そうですな。非常にまずいでしょうね」
小さく笑いを漏らし、顔を引き締めた後に無残な姿に変わり果てた門へと目を向ける。
俺はもうあまり見たくないよ。
「はぁ~。って……来ちゃったよ……どうしようかな」
堀から抜け出してきた門番達と街の中からやってきた兵士たちが合流し、俺たちの方へと駆け寄ってきている。
既に剣を抜き取っており、事態は非常にまずい状況だと言えるだろう。
俺は緊急避難としてフロードに出てきてもらうことにした。
ジョカに対応してもらうとおそらく全滅させてしまう。
フロードも手の傷が癒えたかは分からないし、その姿をあまり見られてくはなかったがこの際背に腹は代えられない。
「ゲロロ、ご主人、手はすっかり完治しているので大丈夫でござる。しかし……ジョカ殿の力は尋常ではないでござるな」
「そっか! 良かったよ。ジョカ的にはこれで手加減らしいんだけどね……。 ……あ! リンガルさん、フロードも俺の仲間だから警戒しなくていいですよ」
フロードは門に目を向け、感嘆の息をほぅと漏らす。
フロードは事態と状況は把握しているっぽいので、フロードを見て驚愕していた三人に声をかけておいた。
「そ、そうですか。モンスターテイマーの類……いや……言葉を話すカエル……聞いたことが……」
「あ、そうか、やべ。フロード、言葉は話さないようにしといて。それでリンガルさん、そのことも内密にお願いします」
「分かりました。ディル殿も色々と事情があるのでしょう。なぁに、命の恩人の願いは固く守りますよ」
先ほどフランシスにジョカのことをあっさり話していたので若干不安だが、俺は頷くしかなかった。
もうそろそろ兵士たちがこちらに来てしまう。
いきなり斬りかかってくるようなことがないと良いのだけれど。
「フロード、向こうが攻撃の気配を見せたら……武器を何とかしてくれ。ジョカみたいにやり過ぎないでくれよ」
「ゲロロ」
やはりフロードはしっかり言うことを聞いてくれるし頼りになる。
手が完全に治ってよかったな、と俺の心が温かいモノで満たされていくうちに、兵士たちが俺たちを円型に囲んできていた。
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