4 / 36
004.街は綺麗でした。
しおりを挟む
「わっ!?」
入口を開けて出ようとしたところ、外から入ってきた人と透け違った。
文字通り通り抜けるようにだが、ごつい体に厳つい顔だったのが余計に僕の心臓を跳ねさせた。
「び、びっくりした。これは心臓に悪いや」
「コンソールを使用しても外に出れるのです! 今度はそうしてみると良いのです! 外の転送ポイントはご主人様と指定した存在しか入れないのです!」
(あーそっか。そういえばそうだった)
と思いながらダンジョンの中を見つめてみると、僕の可愛いスライムたちが入ってきた人にやっつけられ、無残にも水滴となって崩れ落ちていた。
「あーあーあー。スライムちゃんたちが……」
「仕方がないのです! それがダンジョンというものなのです! ご主人様はダンジョンを利用して人を育てるのです!」
人を育てる。
それを聞いて僕の心は嬉しいと感じていた。
何かを育てたり、成し遂げたことのない僕に、やるべきことが出来たんだと感じていた。
いじめられてるときは凄く辛かったけど、こうして今に繋がったなら我慢した甲斐があったんだということを実感した。
「では、ここを越えたら、ご主人様とピュイは人に見えるようになるのです! 違和感は発生しないようになってるらしいので、安心してなのです!」
「うん、わかった。どんなとこに繋がってるのかドキドキするけど、ちょっと楽しみ」
ピュイの背中を撫でながらダンジョンの外へ出ると、そこは街のど真ん中だった。
てっきりダンジョンなので、辺境の地や郊外にでも配置されているのかと思ったけれど、全くそんなことはない。
今は陽のきらめきも、肌を撫でる優しき風帯も、賑わう街の喧騒も、全てを感じる余裕が僕にはある。
そう思うだけで嬉しくて、瞳がじわと滲んで、そんな中でも僕は街を見渡し、街を感じてみたいと思った。
僕の好きな小説では中世ヨーロッパと表現されていたけど、この街はどことなく違うような気がする。
白やオレンジピンクに赤。色とりどりの素材で建物は作られ、その建築様式は多種多様。
確かにヨーロッパのような街並みにも思える。
立ち並ぶ建造物は日本の繁華街を洋風にしたような雰囲気もある。
目を細めれば、屋敷、といった建物も目にすることが出来る。
耳に届く吟遊詩人の奏でるクラシックのような音楽も心地が良い。
道行く人の笑い声が聞こえ、商売をしているのか声を上げて呼び込みをしている人もいた。
「そういえば、今まで考えてなかったけど言葉は普通に理解できるんだね」
「はいなのです! 不便はないようになっているのです! 服装もこの世界に見合ったものに交換してあるのです!」
言われてみればパジャマだったはずの服装は、道行く人々と同じように少し風変わりな服装に変わっていた。
歩く人の中には、話でしか聞いたことのない獣人という種族なのか犬の耳や猫の耳、兎の耳なんかを頭から生やしている人がいる。
耳が尖って少しエッチな身体つきの人もいる。
小説の知識が正しければ、エルフという種族だろうと推測した。
「ちなみにピュイのことはどう見えてるの?」
「ピュイのことは普通に見えてるのです! でも、この世界はテイマーっていう、動物を使役する人がいるので大丈夫なのです!」
「へーそうなんだ。この世界では動物が喋るの?」
「喋らないのです! ピュイは特別な存在なので喋れるのです! 珍しいのです! 凄いのです!」
(はぁ~やっぱりそういうことなんだ)
だから、僕の目にはさっきからジッと視線を向けてきている女の子が映るということなのだろう。
入口を開けて出ようとしたところ、外から入ってきた人と透け違った。
文字通り通り抜けるようにだが、ごつい体に厳つい顔だったのが余計に僕の心臓を跳ねさせた。
「び、びっくりした。これは心臓に悪いや」
「コンソールを使用しても外に出れるのです! 今度はそうしてみると良いのです! 外の転送ポイントはご主人様と指定した存在しか入れないのです!」
(あーそっか。そういえばそうだった)
と思いながらダンジョンの中を見つめてみると、僕の可愛いスライムたちが入ってきた人にやっつけられ、無残にも水滴となって崩れ落ちていた。
「あーあーあー。スライムちゃんたちが……」
「仕方がないのです! それがダンジョンというものなのです! ご主人様はダンジョンを利用して人を育てるのです!」
人を育てる。
それを聞いて僕の心は嬉しいと感じていた。
何かを育てたり、成し遂げたことのない僕に、やるべきことが出来たんだと感じていた。
いじめられてるときは凄く辛かったけど、こうして今に繋がったなら我慢した甲斐があったんだということを実感した。
「では、ここを越えたら、ご主人様とピュイは人に見えるようになるのです! 違和感は発生しないようになってるらしいので、安心してなのです!」
「うん、わかった。どんなとこに繋がってるのかドキドキするけど、ちょっと楽しみ」
ピュイの背中を撫でながらダンジョンの外へ出ると、そこは街のど真ん中だった。
てっきりダンジョンなので、辺境の地や郊外にでも配置されているのかと思ったけれど、全くそんなことはない。
今は陽のきらめきも、肌を撫でる優しき風帯も、賑わう街の喧騒も、全てを感じる余裕が僕にはある。
そう思うだけで嬉しくて、瞳がじわと滲んで、そんな中でも僕は街を見渡し、街を感じてみたいと思った。
僕の好きな小説では中世ヨーロッパと表現されていたけど、この街はどことなく違うような気がする。
白やオレンジピンクに赤。色とりどりの素材で建物は作られ、その建築様式は多種多様。
確かにヨーロッパのような街並みにも思える。
立ち並ぶ建造物は日本の繁華街を洋風にしたような雰囲気もある。
目を細めれば、屋敷、といった建物も目にすることが出来る。
耳に届く吟遊詩人の奏でるクラシックのような音楽も心地が良い。
道行く人の笑い声が聞こえ、商売をしているのか声を上げて呼び込みをしている人もいた。
「そういえば、今まで考えてなかったけど言葉は普通に理解できるんだね」
「はいなのです! 不便はないようになっているのです! 服装もこの世界に見合ったものに交換してあるのです!」
言われてみればパジャマだったはずの服装は、道行く人々と同じように少し風変わりな服装に変わっていた。
歩く人の中には、話でしか聞いたことのない獣人という種族なのか犬の耳や猫の耳、兎の耳なんかを頭から生やしている人がいる。
耳が尖って少しエッチな身体つきの人もいる。
小説の知識が正しければ、エルフという種族だろうと推測した。
「ちなみにピュイのことはどう見えてるの?」
「ピュイのことは普通に見えてるのです! でも、この世界はテイマーっていう、動物を使役する人がいるので大丈夫なのです!」
「へーそうなんだ。この世界では動物が喋るの?」
「喋らないのです! ピュイは特別な存在なので喋れるのです! 珍しいのです! 凄いのです!」
(はぁ~やっぱりそういうことなんだ)
だから、僕の目にはさっきからジッと視線を向けてきている女の子が映るということなのだろう。
1
あなたにおすすめの小説
親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました
空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。
平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。
どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。
辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。
ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。
ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。
ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。
なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。
もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。
もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。
モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。
なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。
顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。
辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。
他のサイトにも掲載
なろう日間1位
カクヨムブクマ7000
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる