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009.角でぶつかりました。
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ピュイに言われた通りに少し薄暗い路地裏に入ろうとしたとき、ドン、と正面から衝撃を受けた。
どうやら走ってきた人がぶつかってきたらしく、僕はコケてしまう。
見上げれば目に映るのは極細の銀糸のような髪。
風に流されふわりと浮いているけれど、おそらく腰辺りまであるだろうと思う。
豪奢であるが精緻な蒼と白銀の軽装鎧を身に着け、露出する純白の肌が艶めかしい。
「すまない!」
と顔も向けずに言い残して右の方に去って行ったが、その姿は非常に美しく、マント越しに見える腰に帯びた装飾剣が揺れ、非常に様になっていた。
(顔は見えなかったけど、何だか凄く綺麗な人って感じだった)
けれど、外見的な特徴、というべきか否かは分からないが非常に気になるところがあった。
それは、
(あの腕……。霞のような漆黒が、まるでうねるように……)
理由は分からないが明らかな異常を腕に抱えていた。
けれど、今はピュイを抱いたまま転んでしまったことを思い出し様子を確認する。
「あ、ピュイ。大丈夫だった?」
「ピュイは大丈夫なのです! ご主人様が身をていして守ってくれたのです!」
「あはは、僕が守る側になっちゃったね。キャルアは大丈夫……だよね?」
キャルアはぶつかったりはしていない。
ただ驚いて小さく悲鳴をあげただけだ。
「私は大丈夫です。凄く急いでいたみたいですが、なんだったのでしょう」
確かに、と思っているとすぐにその理由が分かったような気がした。
路地裏から三人の鎧を着た男たちが、走りながら現れたからだ。
「おい! ちょっと聞きたいんだが、今銀髪の女がここにやってこなかったか? もしやってきてたならどっちへ行ったか教えてくれ!」
厳めしい顔つきをして目が血走った人たち。ゴロツキのような感じではない。むしろ身なりは先ほどの女性に似て非常に整っている。
はっきりいって何があったのか、どちらが何かというのすら分からない。
けれど、その三人が僕をいじめていた人たちに重なったような気がして、
「左の方に逃げていきましたよ」
と思わず嘘をついていた。
冷静な表情、淡々とした口調。
けれどそれを口にした途端、僕の心は砂浜に押し寄せる波のように鼓動を早めていく。
男たちはお礼を言うこともなく、僕が口にした女の人が逃げたのとは逆方向である、左方面へと走って消えていった。
それを見て僕の心はホッとしていた。
周りに聞こえるかも知れないと思う程の心臓の高鳴り。
嘘をついたこと、女性を庇ったこと、男たちがいじめていた人間に重なったこと、全てが僕の体を震わせた。
「は、はぁぁ~。びっくりした。なんだったんだろ……」
「ご主人様、凄く自然に嘘言ったのです! 中々の度胸なのです!」
「ほんとです。あまりに自然だったからびっくりしちゃったです」
「い、いや、口にしてからすっごくドキドキしたんだけどさ」
「それはピュイ知ってるのです! 言わなかったのです! ドキドキしてて面白かったのです!」
ピュイは腕の中にいるから知られてて当然かな、と思いながら男たちが去って行った方向に目を向けてみた。
もう男たちの姿は小さく、街の喧騒に溶け込むように消えていっている。
僅かな心の不安を抱えつつ、ピュイの示した路地裏の奥へと入っていく事にした。
どうやら走ってきた人がぶつかってきたらしく、僕はコケてしまう。
見上げれば目に映るのは極細の銀糸のような髪。
風に流されふわりと浮いているけれど、おそらく腰辺りまであるだろうと思う。
豪奢であるが精緻な蒼と白銀の軽装鎧を身に着け、露出する純白の肌が艶めかしい。
「すまない!」
と顔も向けずに言い残して右の方に去って行ったが、その姿は非常に美しく、マント越しに見える腰に帯びた装飾剣が揺れ、非常に様になっていた。
(顔は見えなかったけど、何だか凄く綺麗な人って感じだった)
けれど、外見的な特徴、というべきか否かは分からないが非常に気になるところがあった。
それは、
(あの腕……。霞のような漆黒が、まるでうねるように……)
理由は分からないが明らかな異常を腕に抱えていた。
けれど、今はピュイを抱いたまま転んでしまったことを思い出し様子を確認する。
「あ、ピュイ。大丈夫だった?」
「ピュイは大丈夫なのです! ご主人様が身をていして守ってくれたのです!」
「あはは、僕が守る側になっちゃったね。キャルアは大丈夫……だよね?」
キャルアはぶつかったりはしていない。
ただ驚いて小さく悲鳴をあげただけだ。
「私は大丈夫です。凄く急いでいたみたいですが、なんだったのでしょう」
確かに、と思っているとすぐにその理由が分かったような気がした。
路地裏から三人の鎧を着た男たちが、走りながら現れたからだ。
「おい! ちょっと聞きたいんだが、今銀髪の女がここにやってこなかったか? もしやってきてたならどっちへ行ったか教えてくれ!」
厳めしい顔つきをして目が血走った人たち。ゴロツキのような感じではない。むしろ身なりは先ほどの女性に似て非常に整っている。
はっきりいって何があったのか、どちらが何かというのすら分からない。
けれど、その三人が僕をいじめていた人たちに重なったような気がして、
「左の方に逃げていきましたよ」
と思わず嘘をついていた。
冷静な表情、淡々とした口調。
けれどそれを口にした途端、僕の心は砂浜に押し寄せる波のように鼓動を早めていく。
男たちはお礼を言うこともなく、僕が口にした女の人が逃げたのとは逆方向である、左方面へと走って消えていった。
それを見て僕の心はホッとしていた。
周りに聞こえるかも知れないと思う程の心臓の高鳴り。
嘘をついたこと、女性を庇ったこと、男たちがいじめていた人間に重なったこと、全てが僕の体を震わせた。
「は、はぁぁ~。びっくりした。なんだったんだろ……」
「ご主人様、凄く自然に嘘言ったのです! 中々の度胸なのです!」
「ほんとです。あまりに自然だったからびっくりしちゃったです」
「い、いや、口にしてからすっごくドキドキしたんだけどさ」
「それはピュイ知ってるのです! 言わなかったのです! ドキドキしてて面白かったのです!」
ピュイは腕の中にいるから知られてて当然かな、と思いながら男たちが去って行った方向に目を向けてみた。
もう男たちの姿は小さく、街の喧騒に溶け込むように消えていっている。
僅かな心の不安を抱えつつ、ピュイの示した路地裏の奥へと入っていく事にした。
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