【完結】聖夜に友人とセックスする話

咲真 ミオ

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第8話「友達の境界線」

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(……あっ)

 神崎の涙に、流石の相楽もたじろいた。今更ながら、罪悪感が凄い勢いで押し寄せて来たのだ。

「……何で、……こんな事っ……」
「……あ、あの……」

「友達だと、思ってたのに……こういう事、するつもりで、部屋に……誘ったの⁉︎」

 神崎はキッと鋭い眼光で、相楽を睨んだ。相楽は更にたじろいだ。

「ふ、普段から……女子を連れ込んで、……こんな事しるの? ……あんた、女なら誰でもいいの⁉︎」

 そう捲し立てて、完璧に綺麗にされていた相楽の部屋の様子に、神崎はようやく合点がいった。

 この男は、こんな風に誰かれ構わず女を連れ込んでは、その女性たちを食べて来たのかもしれない。そんな奴だとは思ってなかった。友人の裏の顔を、身を持って知ってしまって、愕然とした。

 いい奴だと思ってたのに。親身になってくれた相楽を、天使だと思ってしまった、数時間前の愚かな自分を、ぶっ飛ばしたいと神崎は歯軋りした。

「……ご、誤解だって!」
「は⁉︎」

 自分のした事を棚に上げて、更に言い訳するのかと、神崎の怒りは頂点に達した。

「何が誤解よ! あんた、私にした事棚に上げて、よくそんな事言えるわね!」

「……いや、それは誤解じゃないけど。女子を家に泊めるなんて……神崎が初めてだから」

「は⁉︎」
「本当だって!」

 相楽は申し訳なさそうに、項垂れながら続けた。

「……信じてもらえないと思うけど、駅前で声を掛けた時、本当に神崎が気の毒だと思ったんだって。……他意なんかなかったよ」

「どの口が言うのよ!」

「うっ! ……そうだけどっ!」

 ううっと相楽は目を逸らし、耳まで真っ赤になった。

「ただ……部屋に上げたら、だんだん神崎を『女』としか見られなくなって来て……自分が抑えられなくなった……」

 そう告白しながら、相楽は真っ直ぐ神崎を見直した。

 その真っ直ぐな眼差しに、神崎はうっとたじろいだ。

 なんて身勝手な言い分だと思いつつも、火照った体の神崎は、相楽を今、完全に男として意識してしまった。

「な、何なのよ、それ……知らないわよ、そんなの! ……さっき声を掛けてくれて、部屋に避難させてくれて……嬉しかったのに。……凄くいい奴だって思ったのに……」

「……ごめん」

「ごめんじゃ、ないわよ! あんた、結果的に人の弱みに付け込んだ、最低な奴じゃない! ……こんな事されてあんたを、もうただの……友達として見れないよ、私……」

 神崎は涙声で吐き出した。ただその切ない声は、相楽の落ち着き始めていた劣情を、掻き立ててしまった。

「……だったらもう、ただの友達として見てくれなくていいよ」

 相楽はそう低く呟くと、大きく目を見開き驚いている神崎の唇に、再び唇を落とした。


つづく
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