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Mission:インサイダー・パーティー
第27話:欺瞞 ~取り繕うのがうまくない~
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「……そんなに変かな?」
週明け、久しぶりに情報課に顔を見せた裕は、レコーダーの記録から書き起こした、春日とナオの会話に目を通して首をかしげる。
ちなみに、それを手間暇かけて書き起こしたのは、捜査二課の刑事である。
やはり、面倒ごとは丸ごと二課に振ったらしい。
それを仲介したであろう三嶋の胃袋の調子が危ぶまれる限りだ。
「章はどう思う?」
裕は、録音を熱心に聞いていた章の肩を叩いた。
「さすがは春日、イケボだねぇ。声優になりなよ」
「真面目にやれ!」
裕に叱られ、章は渋々二人の会話に目を通す。
「うーん、別に特別な違和感はないけどな……」
「でも、現場におった俺は、確かにおかしいと思ったんですよ」
「どのあたりが?」
「まず、ナオさんは感情に左右されることも多少ありますが、高校の国語教師というだけあって、論理的なタイプやと思います」
「うん、それは合ってると思う」
「ですが、『どれほど金回りが良くなったか』という質問の返答が、曖昧なんです」
ナオの答えは、「いい食事に連れて行く」あるいは「プレゼントを買ってくれた」というものだったはずだ。
「この部分、今回のタレコミの根幹部分に関わるやないですか。
いくら振られたからって、こんな曖昧で浅い理由で告発やなんて、不自然ですよ」
課員達は黙る。
「まあ、会って間もない人ですし。
最初は、違和感を抱きつつも、そういう方やと思ってたんですけど、他にも不思議な点はあったんです」
会話の録音ではわからないかもしれませんけど、と前置きして春日は続ける。
「あの子のスマホが男物やったんですよ」
「……え?」
「カバーは黒、手つきも若干不慣れなように見えました。
あれ、彼女のスマホやないと俺は思います。
そりゃ勿論、女性で黒のカバーしてる人なんて大勢いはると思いますし、俺の彼女のなかにも、黒カバーの子は一人います。けど、あの人のスマホだけ、他の持ち物の色に合わなさすぎるんですよ」
彼女のなかにも、という言葉にツッコミを入れたい裕だが、ぐっとこらえる。
スマホの現物を見ていない以上、周りは判断には慎重であった。
「ちょっと不確実すぎないか? 疑う理由にはならないだろ、それじゃ」
「これだけなら、そうですよ。でも、まだ違和感はあるんです」
「彼女は、怪しいと思った人の名前を控えてました」
その言葉にピンと来たらしい章が、言葉の続きを引き取った。
「……確かに変だな。ナオは浮気相手と思ってスマホを見せてもらったんだろ?
なら、話の相手が男だと分かった時点で、名前を控える必要も覚える必要もない」
章は、二課の刑事が書き起こしたナオの発言に、もう一度目を向ける。
「婚約破棄が四ヶ月前、ナオが浮気を疑った『あの頃』がいつかはわからないけど、四ヶ月以上前にちらりと見ただけの男の名前を、今更何人も羅列できるか、普通?」
「ナオは、取り繕うのが下手すぎる。昔から」
章がくつくつと笑う。
「わかったでしょう?」
一瞬静まった会議室に、春日の大きくはないがよく通る声が響く。
「あの人は、嘘をついてますよ。しかも、誰かの指示で」
週明け、久しぶりに情報課に顔を見せた裕は、レコーダーの記録から書き起こした、春日とナオの会話に目を通して首をかしげる。
ちなみに、それを手間暇かけて書き起こしたのは、捜査二課の刑事である。
やはり、面倒ごとは丸ごと二課に振ったらしい。
それを仲介したであろう三嶋の胃袋の調子が危ぶまれる限りだ。
「章はどう思う?」
裕は、録音を熱心に聞いていた章の肩を叩いた。
「さすがは春日、イケボだねぇ。声優になりなよ」
「真面目にやれ!」
裕に叱られ、章は渋々二人の会話に目を通す。
「うーん、別に特別な違和感はないけどな……」
「でも、現場におった俺は、確かにおかしいと思ったんですよ」
「どのあたりが?」
「まず、ナオさんは感情に左右されることも多少ありますが、高校の国語教師というだけあって、論理的なタイプやと思います」
「うん、それは合ってると思う」
「ですが、『どれほど金回りが良くなったか』という質問の返答が、曖昧なんです」
ナオの答えは、「いい食事に連れて行く」あるいは「プレゼントを買ってくれた」というものだったはずだ。
「この部分、今回のタレコミの根幹部分に関わるやないですか。
いくら振られたからって、こんな曖昧で浅い理由で告発やなんて、不自然ですよ」
課員達は黙る。
「まあ、会って間もない人ですし。
最初は、違和感を抱きつつも、そういう方やと思ってたんですけど、他にも不思議な点はあったんです」
会話の録音ではわからないかもしれませんけど、と前置きして春日は続ける。
「あの子のスマホが男物やったんですよ」
「……え?」
「カバーは黒、手つきも若干不慣れなように見えました。
あれ、彼女のスマホやないと俺は思います。
そりゃ勿論、女性で黒のカバーしてる人なんて大勢いはると思いますし、俺の彼女のなかにも、黒カバーの子は一人います。けど、あの人のスマホだけ、他の持ち物の色に合わなさすぎるんですよ」
彼女のなかにも、という言葉にツッコミを入れたい裕だが、ぐっとこらえる。
スマホの現物を見ていない以上、周りは判断には慎重であった。
「ちょっと不確実すぎないか? 疑う理由にはならないだろ、それじゃ」
「これだけなら、そうですよ。でも、まだ違和感はあるんです」
「彼女は、怪しいと思った人の名前を控えてました」
その言葉にピンと来たらしい章が、言葉の続きを引き取った。
「……確かに変だな。ナオは浮気相手と思ってスマホを見せてもらったんだろ?
なら、話の相手が男だと分かった時点で、名前を控える必要も覚える必要もない」
章は、二課の刑事が書き起こしたナオの発言に、もう一度目を向ける。
「婚約破棄が四ヶ月前、ナオが浮気を疑った『あの頃』がいつかはわからないけど、四ヶ月以上前にちらりと見ただけの男の名前を、今更何人も羅列できるか、普通?」
「ナオは、取り繕うのが下手すぎる。昔から」
章がくつくつと笑う。
「わかったでしょう?」
一瞬静まった会議室に、春日の大きくはないがよく通る声が響く。
「あの人は、嘘をついてますよ。しかも、誰かの指示で」
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