僕は警官。武器はコネ。【イラストつき】

本庄照

文字の大きさ
102 / 185
Mission:消えるカジノ

第102話:贋物 ~スポーツは別に稼げない~

しおりを挟む
「でもそういうの、裏に暴力団とかいるんじゃないの?」
 章まで口を挟み始めた。
「暴力団が関与してたら流石に面倒だ。孤独な組織の僕らが太刀打ちできる相手じゃない」
「暴力団が関与していないというのがウリのカジノだそうです」
「そんな事可能なのか?」
「知りません。そこらへんも不明なので」
「関与してないのはウリなのかな」
「知りませんよ。客に聞いてください」
 あっけらかんと言う三嶋に面々は呆れるしかない。

「オーナーを逮捕するってことっすよね? オーナーに逮捕状出せばいいのでは」
「オーナーが誰だかわからないんです」
「なんでわかんないの?」
 皆の頭に浮かんだ疑問を代表で章が尋ねる。

「警察の捜査が入る直前にいつも逃げられるんです。オーナーらしき人間を逮捕しても、それはダミー。すぐに新しい賭場が設けられるというわけです。我々は、真のオーナーが誰かを探すところからスタートするというわけです」

「じゃあ、何にもわかってないじゃないっすか!」
 諏訪が吠える。だが彼は怒っているのではない。困り果てた感情が爆発しただけだ。
「だからうちに回ってくるんですよ」
「うちは何でも屋っすか?」
「上はそう思ってます」
 三嶋はあくまで上の代理で、三嶋を責めても何も出ない。感情のやり場のない諏訪は、拳を固く握って心を落ち着かせる。

「通常の場合だと、ここまで何も情報がなく、調べても成果が出ない案件は、情報課に回さずに凍結させます。つまり、捜査打ち切りです。ですがそれをやらずに、ほぼ情報がないままこちらに回してきた。それがどういう意味か分かりますか?」
「三嶋の事件と同じだな」

 裕がニヤリと笑う。ほとんど情報のない中でも捜査に入る、という面で三嶋が担当した事件と同じだということだ。
「正解です。さすが裕くんですね」
 だが、多賀たがや諏訪は何が何だかわからない。

「急速な解決を要求する事件だということです」
「そんな危険ですか? 闇カジノなんて……」
「あ、客ちゃう?」
 春日かすがもピンと来たようだ。

「もったいぶらずに直球で教えて欲しいっす……」
「カジノの客が重要人物だということです。警察としては、闇カジノの客が破産しようと知ったこっちゃありませんが、借金まみれになっては困る人間が大勢客にいるということです」
 あまり分かっていない諏訪だが、半分だけ首を傾げながら頷く。

「私が諏訪くんに任せるということはどういう意味か分かりますか?」
「客がアスリートなんですね」
 諏訪はため息を一つつく。
「大抵はもとがつきますが、現役解説者などもいるとの情報です」
 三嶋は頷いた。諏訪に逃げ場はない。

「そんなカジノ、どうやって存在に気づいたんですかねぇ」
 場を混乱させるのは多賀だ。だが、諏訪にとっては話題をそらす助け舟である。
「警察官が通ってたんですよ。そこからバレたんです」
「そのアスリートばっかりのカジノに?」
「一般の警察官にも、インターハイ入賞くらいならゴロゴロいますからね。通えるというわけです」
 警察官が闇カジノに通うとは、世も末である。

「……県警が情報課にこの件を始末させようとしている理由がわかった」
 おそらく、警察官が通っていたという事実を揉み消したいのだろう。
「まあまあ、そういうことを言うのはやめましょう」
 三嶋がやんわり話を逸らそうとしたので、予想が事実であるとはっきりわかった。

「アスリートを狙う理由って何なんだろう」
「そりゃ、金持ちだからだろ」
「いやぁ、金持ちのアスリートってそんなにいないっすよ」
 アスリート一家の諏訪が口を挟んだ。

「日本で稼げるのなんて、野球かサッカーかゴルフくらいのもんです。ほんと薄給っすよ」
 諏訪の妹は実業団選手だが、実際いつも給料に文句タラタラだ。練習が忙しいので金を使う暇もないようだが。
「じゃあ、何で……?」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...