流れる水は月を映して

NEO ZONE

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第五話 逢いたい人

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雪弥には僅かに満の行方に心当たりがある
きっと正之も後を追って来るだろうが居場所を突き止めるまで時間が掛かるはず
体力に劣る僕でも追い付かれる事はないだろう

早く満に逢いたい

◇◇◇

雪弥が旅に出て一ヶ月がたった
目的地は奥羽山中に有る山寺、以前に満と一緒に奥羽商人から色々な話を聞いた事があった
江戸では滅多に見られない雪の話を聞いた、僕が生まれた時珍しく雪が降ったらしいとかいずれ二人で見に行きたいとか…他愛のない話をした

「はぁ…寒い」
話しに聞いた通り空気が刺すように冷たい
急ぐ山道でふと人の気配を感じた…野盗か?そっと短刀を手に取る
ガサッと薮が揺れ人影が現れた…三人。
この人数なら僕の腕でも問題はないだろう
「ようよう?かわい子ちゃんが一人で旅かい?いい匂いさせて不用心だねぇ」
下卑た嗤いを浮かべて一人の男が近づいてくる
緊張のあまり気が付かなかったがヒートの時期に差し掛かっていたようだ
「先を急ぎます、あなた方にくれてやる身体も無いし関わる時間も惜しい」
野盗達は一斉に飛び掛ってきたが いつも父や皆と稽古をしていたおかげで愚鈍な戦法にしかみえず簡単に切り伏す事が出来た…

「血が…」
初めて人を斬ったのに何も感じない…
この寒さで心まで凍てついたのだろうか?

多分 目的の山寺まではもうすぐだろう
構わず先を急いだ

◇◇◇

ふと視線を上げると山門が見えた
ようやく件の山寺に着いたようだ

山門をくぐると見知った人影をみつける
やはりここで間違っていなかった
「満…さま」そっと声に出す
驚いた顔で満は振り返り雪弥の顔を見つめる
「何故ここに…」言いかけた言葉を飲み込む
「僕ならここが分かると思ったんでしょう?」
「あぁ、そうだな…だが来るとは思わなかった」
少しの沈黙…きっと僕が正之に請われるまま一緒になったと思っていたのだろうか?
「満さま、僕は一年前に本当は何があったのか知りたい」
雪弥はこの一年にあった事全てを話した…正之との事も全て。

その時本堂から人が来るのが見えた
「立ち話もなんだろう、中で話なさい」
寺の僧正様だった、満に促され寺の離に上がる
「今日はゆっくりした方がいいだろう…湯を沸かすから身体を休めて」
満はそう言うと外に行ってしまう
満に逢えた安堵感で 今まで感じなかった身体の熱が一気に上がって来るのが分かった


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