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第1章 異世界へ、そしてダンジョンへ

11.サーカスへ行こう

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 うーん、今日は早く起きたな。
 まだ外は暗いな折角起きたし何かして待とうかな。

 部屋は出ない方がいい、そしたら静かに出来ることか。

 取り敢えず俺は、フカフカに改造したソファーにもたれ掛かる。

 そういえば、俺の魔力量はどのくらい変わったんだ?
 確かめよう。だが、ステータス画面もないし、魔法をぶっ放して試すわけにもいかないからどうしようか悩むな。
 他のことにしよう。

 他には、食事か。
 でも、それはカリスと食べなる予定だよな。
 作るにしても材料もないし。

 食材は魔法で作れないこともないが、1から作るならば亜空間を作りだし、そこに小さな地球と同じ環境を用意して、時間経過を数京倍にしておき数分待つ。

 そして時間経過戻して、亜空間に乗り込みその創り出した擬似的な地球で食料を取ってくる。

 こんなの机上の上の理論に過ぎないがこんな精密な操作、莫大な魔力、底知れない知識量が必要となる。

 こんなの人間である限り何年あっても出来ないな。いや、こんなことをしなくても直接食物そのものの原子を組み合わせて……これも同じか。

 まあ、もともとの話から飛躍しすぎたが一先ず料理も無理と。

 そうだ、面倒な朝を魔法で済ませられるようにしようか。

 練習をしよう。

 静かにクローゼットから服を取り出し、手に持つ。

 そして、手元の服と今着ている服が入れ替わるのをイメージして新しく特異魔法オリジナルの開発をする。

 仕組みは、先ず布地のみ入れ替わるようにして服の何ヵ所かに着た感じになるようなところに設定する。
 さらに肌の外側に来るようにも設定している。

 これで、着衣変更ドレスチェンジの完成だ。
 これを今ある服に全て設定していく。

 しかし、もう終わったがまだ外は暗いまま。

 やることも無いし、こうなったらあれしかないな。

 二度寝だ。

 俺は再びベットに潜り寝た。


 ◇

「セシリアちゃん、今日は早く行こうよ。またお昼に行くの?」

 カリスに体を揺さぶられながら起こされた。
 早いな朝か、もう。

「二度寝したら寝すぎたみたいだ。すまないな、今準備するから待って居てくれ」

 早速、クローゼットから服を手に取り着衣変更ドレスチェンジの魔法を使う。

 流石、早い一瞬で終わった。

「セシリアちゃん、また新しい魔法?!前までそんな魔法使って無かったよね?」

「ん?これか、これはな今日早く起きすぎてやることなくて何となく作ってみた魔法だ。意外に便利だな」

 我ながらによく使える魔法だ。

「確かに便利そうだね………!ってそうじゃなくて今、新しい魔法を作ったって言ったよね?どういうことなの」

「それか、魔法の組み合わせみたいなものだから新しく作ったというのは言い過ぎだな。カリスはまだ使うのは難しいぞ」

「私は普通に服くらい着ますよ!そんなところまで魔法なんてどれだけ魔法が好きなのよ」

「使ったときの感覚は嫌いだが、それ以上に便利だから使ってるだけだ」

 どういうことかというと、使ったときの感覚は嫌いか好きかで言うとどちらかというと嫌いだ。
 あの体からに負荷が掛かり使いすぎると倦怠感が押し寄せる魔法の使用。

 しかし、魔法による効果は大好きだ。

 つまり、魔法の使用したことによって起こる嫌な感覚よりも圧倒的に魔法を使ったことによって得られる効果がとてもいいものということで魔法の総合評価は好きということであっている。

「言ってる意味がよくわからないけど、それだけ使ってるんだから好きなのよね。それより、ご飯はどうする?また外で食べるなら案内するよ」

「よろしく頼む」

 今日も外食だ。

 外食ばかりで体にあまりよくない気がするがが、部屋にキッチンが付いてないだけあり一般的にみんな基本外食だ。

 もしかしたら、意外に健康に配慮されているのかもしれない。ファーストフードとか化学調味料も今まで見た中ではないから、全てが天然だと思われる。なら、然程気にかけることでもないのかもしれない。

 今日も、カリスの案内で街に出掛ける。

 街は毎日この時間にはいろいろな人が利用してどこに向かう人も賑わっている。

「気になったことがあるんだが、攻略も以外にも職業ってあるだろ。大体どんな職業が多いんだ?」

 ふと、疑問に思ったことを訊いてみる。

「私も、詳しくは知らないけどここの近くに自分の農地があり農業をしている人や商業街に居た人たちのように商業をしている人。ここら辺は半々くらいで分かれてると思う」

 特に変わった職業は無い感じかな。

「教えてくれて、ありがとう。もう1ついいか?」

「いいけど、なに?」

「前に言ってたでしょサーカスがあるって。だから、今日それは見れるかという質問」

「それなら、多分ある。ほぼ毎日あそこはサーカス団の公演が何回も行われてるよ」

 そうなのか、サーカスは観に行けるのかな。

「一緒に今日行けるか?」

「もちろん大丈夫」

 これで、今日はサーカスを観ることが決まる。


 暫く歩き商業街に着く。更にここから少しで着いた様だ。

「今日は、この店にしよう」

 見た目はとてもお洒落な店だ。
 どんな料理が出てくるだろうか。

 店のドアを開けて中に入り、店の人の案内で待つことなく席についた。

「ここ、通な人しか来ないから結構空いてるし、味もなかなかいいよ」

「そうなのか、楽しみだな」

 メニュー表を見るとサンドイッチがあった。
 いろいろな組み合わせが自分で作れるようだ。
 面白い店だな。

 先ず、野菜は何があるかな。
 レタス、トマト、アボカド、キャベツの4つの中から2つまで選べるとのことだ。
 レタスとトマトにした。

 えーと、次はメインとなるものか。
 これは1つだけ。
 目玉焼き、焼き肉、ハム
 カツが好きだったが2番目に好きなハムにする。

「セシリアちゃんは決まった?」

「決まった、そっちはどうだ?」

「こっちも決まったよ。じゃあ、注文しようか」

 店員さんにオーダーをした。
 サンドイッチが出てくるまでの少しだけサーカスのことについての話を進める。

「サーカスはどんなことをやるものなのだ?」

「まあ、聞いた話だと象とか綱を渡る人がいる楽しい劇みたいなものらしいよ」

 前の世界と同じようなものということでいいのかな。

「今から、その会場まではどのくらい掛かるんだ?」

 カリスは考え始める。少しすると、

「多分2.5トソくらい掛かる」

 150分くらいかなかなか遠いな。

 今日はそのサーカスに行って終わりかな。

「お待たせしました」

 サンドイッチが届いた。

 食べてみる。
 このパンは普通のパンよりも柔らかい。そして、野菜も新鮮でいいやつだ。
 ハムとの相性も悪くない。

 この店、滅茶苦茶いい店だな。

 そんな美味しいサンドイッチを完食し、サーカス会場へ向かう。

 ◇

 疲れた。ひたすら150分も歩いて疲れた。

 ダンジョンの方が疲れるイメージがあるが、実は万全の体制で挑まないと危険なため極端な人だと1日1時間ちょっとしか活動しないという人もいるくらいだ。

 だから、俺たちもダンジョンでもこんなには歩かない。

「足がもう、疲れたよ」

「ボクも明日筋肉痛になって大変そう」

 目の前には数千人は入りそうなサーカステントが佇んでいた。

 その辺りを見回すと行列を見つける。

 その行列を示しながら

「カリス、あそこで入場券が買えるのか?」

「私、行ったこと無いからよく分からないけど多分あってる」

 俺達はその列に並ぶ。客層は老若男女問わずたくさんの人たちで賑わっているようだ。


 十分ほどすると順番が来る。

「こんにちは、当日の券をお買い求めですか?」

「はい」

「夕方の公演からとなりますがよろしいですか?」

「それでお願いします」

 券は無事買えた。
 公演が始まるまで時間がある。

「まだ、公演まで時間後あるがどうするか」

「近くに源泉があるから、温泉付きのホテルがあるみたいだよ。今日はそこに泊まる?」

 温泉か、この世界でも知られていたのか。
 確かに興味があるし、疲れもとれていいだろう。

「そこにチェックインしに行くか。周りに一杯あるがどこにする?」

 遠くから見たときは工場の煙かと思ったら温泉の湯気だったようで、どこに行った方がいいのか多すぎて分からない。

「確かこの辺のおすすめは、ディスカート温泉。そこは、200年以上も前からある老舗みたいだよ」

 200年以上か。
 魅力的ではないか。

「今日行って泊まれるようなところなのか」

「今日は特別な日じゃないから、泊まれるよ」

 ネット予約とかも無いからそのまま直で行く人が多いのか。

「目の前の通りにある。私についてきて」

 ついて行き、目の前の通りに入るとそこにはディスカート温泉があった。
 サーカスの会場から意外に近くて助かる。

 ホテルは古びておらずそれどころか、真新しい感じだった。日本庭園みたいなものは流石に無く畳も無さそうだが、俺としては温泉が一番気になる。

 早速見たいところだが、サーカスもそこまでは待ってはくれない。
 それは後のお楽しみということにしよう。

「数ヵ月前改修工事が入ったから新しいよ」

 最近だな。それならこの見た目で納得がいく。


 入り口のドアを開くと大きなエントランスがあり、黒をベースにした重厚感溢れる受付がある。

 壁とかは宮殿見たいな感じだ。

 床にはレッドカーペットが敷かれていた。

 受け付けに向かって行き―――

「今日、部屋に空きはありますか?」

 ―――声を掛ける。俺が決めたルールだが大人と喋るときは頑張って男を殺しつつ女に寄せて喋るということをいつも心がけているがなんともむず痒い気持ちだ。

「ありますよ。どのようなお部屋がいいでしょうか」

 カリスと脳内で相談する。
(カリス、聞こえてるか?話すイメージをしてくれれば会話が出来る)

 俺は通信魔法でカリスと会話を出来るようにした。人の前で相談なんていきなり始めるのはここではちょっと不味そうだからな。

(早速だがどの部屋にする?)
(ここ絶対高いよ、一番安いところ……これで聞こえてる?)
(聞こえてるぞ。話に戻るが確かにそうしないと不味いな)
(一番安いところって言って)
(そのままは言えないから、≪お手頃なところを≫にするか)
(うん、それでいい)

「一番お手頃なものでお願いします」

「分かりました。2階の207号室をご利用ください」

 この宿の安いは手持ちの金では足りそうにない、サーカスの帰りに金を下ろしに行くか。

「じゃあ部屋向かおうか」

「サーカスは?」

「そうだったな」

 急いで大勢の人たちで賑わう道を人にぶつかってしまわないように気を付けながらジョギングくらいのペースでサーカス会場まで戻っていく。


 ◇

 外は夕日に照らされて赤く染まる頃だが、テントの中は昼間と変わらずとても明るい。

 開演時間はあと10分程度だ。
 急ぎで、指定された席に向かった。

 会場はとても広く、5000人は入るだろう大きさをしている。
 因みに俺達が座る席は前から4番目で前の方だ。

 突然テントが暗転する。

 そこから、一人の道化ピエロにスポットライトが当たる。

「今日は、ようこそいらっしゃいました!初めての方、何回も来てくださっている方も楽しんでいってくださいね!」

 コミカルにその場を後にした。

 するとまた暗転する。

 舞台がパッと明るくなるするとライオンが、火の着いた輪を潜るというものらしい。

 ライオンはスタスタと歩いていき、然も当たり前のようにジャンプして潜って見せる。

 観客からは自然と拍手が起こる、俺も気づくと拍手していた。

 他にも何匹かライオンが出てきて、次々にジャンプして行く。 

 次は、馬がたくさん出てきて1列に並ぶ。
 そこに巨大なロープを持った人が出てきて、縄を回していく。

 その縄を一斉に跳んでいく。
 また、拍手だ。

 次は、空中ブランコだ。
 2人の人が両方から始めて、その後片方に2人となる。
 そして、またもとに戻ってスタートした台に戻った。

 そして、地上に目を向けると頭に大量のワイングラスを積んだ人が歩いていた。

 今度は最初の挨拶のときに出てきた道化ピエロが再び出てきた。
 すると頭に被っていた帽子をとり中に何もないことをアピールする。そこにポケットから取り出したハンカチを出しヒラヒラさして何も無いことを確認させる。

 そのハンカチを帽子に乗せて、ハンカチを取るすると花束出てくる。
 さらに、もう一度ハンカチを乗せて手に持っていたステッキで叩くとハンカチを押し退けて出てくる白い鳩たちがいた。

 最後には、ステッキから白い煙が出てきて、道化ピエロの姿が消える。

 しかし、ステッキだけ忘れてしまったようで舞台裏から慌てて取りに来る。

 わざと失敗したのだろう。
 会場からの笑いもとれていて流石だ。

 その後も象によるシーソーや綱渡りをする猿などどんどん勢いが増していった。

 その勢いに圧倒されて、拍手する暇さえも無くなっていた。

 終盤になると音楽隊によるムードを盛り上げる演奏まで始まった。

 最後には全員出てきて

「本日はありがとうございました!」

 そう締め括りサーカスは幕を閉じた。

 最後に小学生の頃地元に来たサーカスを見たときの感じを思いだし懐かしく思えた。

「凄かったな」

「私初めてだけど、こんなに凄いとは思わなかった。」

 サーカスの感想を言いながらホテルへと向かっていく。
 ………。何か忘れていたような。

「カリス、お金下ろしに行くぞ」

 一気に現実に戻されてしまった。

「うん、あのお金はもしもの時のためで今がそのもしもの時だよね」

 俺達は夜で辺りは街灯と建物から僅かに漏れる光のみとなった道を急ぎ目で通っていく。

 そして、お金を出せるところに着くと俺達はそのもしもなので、全額までは使わないだろうが一応出しておく。

 そして、お金を手にした俺達は再びホテルへと向かうのであった。

 前払いじゃなく、後払いだったからできることだ。

 たまにはこういう贅沢もいいだろう。
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