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13.庭園にて
ピクニックはあっさりと許可が下りた。
しかし二人きりというわけにはいかず、継母も同行することになった。申請もお父様がしてくださるそうだ。ありがたいけれど、これでは私からのプレゼントとは言えそうにないから、何か別の物を改めてプレゼントして渡そうと思う。
エリクさんの誕生日は快晴だった。庭園を散策し昼食を頂いたら、お仕事を終わらせたお父様と合流して一緒に帰る予定となっている。初めてのお出かけをエリクさんは楽しみにしているようで、王宮に向かう馬車の中でもはしゃいでいた。
王宮庭園にはちらほらと家族連れや男女のカップルの姿が見える。エリクさんと手を繋いで歩く後ろを、お継母様が日傘を差してゆっくりとついて来ていた。
「姉上、あの塔のところに行ってみたいです!」
「いいわよ」
中央にそびえ立つ塔を指さすエリクさんに手を引かれて、そちらに向かう。
「ほわぁ……!」
エリクさんが感嘆の声を漏らす。
中には入れないが、下から見上げるとその大きさに圧倒される。
「もうすぐするとあの鐘が鳴るから、ここで聞いてみる?」
エリクさんは困ったように首を傾げた。
「他に気になる所があるのなら、そちらに向かいますか?」
尋ねると、そういうつもりではなかったようで、慌てて首を横に振っている。
「……その、あんなに大きな鐘の音をここで聞いて、耳が痛くならないかなと思ったのです」
「そこまで大きな音ではないから大丈夫ですよ」
「なら、ここで聞いてみたいです!」
エリクさんの心配事が微笑ましく、二人で並んで時間を待つ。
塔の最上部に取り付けられた鐘の音が響き始めると、庭園内で羽を休めていた鳥が一斉に飛び立った。
「わぁ! すごい!」
喜んでいるエリクさんに、今日は一緒に来れてよかったと思う。
鐘が鳴り止んだところで、お継母様から声が掛かった。
「エリクさん、ジュリアさん、あちらでお昼にいたしましょう」
「はい!」
エリクさんに手を引かれ、お継母様のいる方に向かっている時だった。
植え込みの陰から数人の男が現れる。
咄嗟に振り返ると、時計塔の後ろからも不審な男たちの姿が見え、逃げ場所がない。
「きゃぁ!」
男たちはお継母様の悲鳴にも反応せず、私達の方へと駆けてくる。
「エリクさん、危ない!」
男の手に刃物のような輝きが見えて、咄嗟にエリクさんを庇うように抱きしめた。自分の安全だとか立場だとか考える間もなく、ただ反射的に体が動いていた。
男の持つ刃が私に迫ってくる様に目を閉じる。
けれど、直後にキンという金属がぶつかり合う高い音が響き、覚悟した衝撃は来ない。
エリクさんを抱きしめたまま恐る恐る顔を上げると、近衛兵の制服を着た人が男の持つ刃物を弾き飛ばし、男を拘束しようとしているところだった。
「ジュリア、大丈夫⁉」
「殿下……」
近衛兵に囲まれてやってくるのは、マティアス殿下だった。
「もう、大丈夫だから」
何が起きているのかわからないものの、周囲を私達を守るように兵が配置され、男達が拘束されていく姿を見ると体から力が抜けていく。
「あね、うえ……?」
エリクさんの手がゆるみ、ゆっくりとエリクさんが離れようとするも、周りの状況を見て、小さく悲鳴を上げる。
「もう、大丈夫だ。失礼だが、その少年は?」
近づいてきた殿下が問う。
「ラバール侯爵の長男、エリクです」
エリクさんは震えながらも私から手を放して、殿下に挨拶をする。
「やはりそうか。なら、そちらの女性が、ラバール侯爵の細君であっているか?」
「はい」
頷くと殿下はほっとした顔をする。
「全員、無事のようで何よりだ。ひとまず王宮で部屋を用意するから気持ちを落ち着けると良い」
「あの、殿下、これは一体……」
「後で説明する」
そう言うと、殿下は私達を案内するように殿下の後ろに控える兵に命じ、責任者らしき体格の良い兵と話をしにいった。
しかし二人きりというわけにはいかず、継母も同行することになった。申請もお父様がしてくださるそうだ。ありがたいけれど、これでは私からのプレゼントとは言えそうにないから、何か別の物を改めてプレゼントして渡そうと思う。
エリクさんの誕生日は快晴だった。庭園を散策し昼食を頂いたら、お仕事を終わらせたお父様と合流して一緒に帰る予定となっている。初めてのお出かけをエリクさんは楽しみにしているようで、王宮に向かう馬車の中でもはしゃいでいた。
王宮庭園にはちらほらと家族連れや男女のカップルの姿が見える。エリクさんと手を繋いで歩く後ろを、お継母様が日傘を差してゆっくりとついて来ていた。
「姉上、あの塔のところに行ってみたいです!」
「いいわよ」
中央にそびえ立つ塔を指さすエリクさんに手を引かれて、そちらに向かう。
「ほわぁ……!」
エリクさんが感嘆の声を漏らす。
中には入れないが、下から見上げるとその大きさに圧倒される。
「もうすぐするとあの鐘が鳴るから、ここで聞いてみる?」
エリクさんは困ったように首を傾げた。
「他に気になる所があるのなら、そちらに向かいますか?」
尋ねると、そういうつもりではなかったようで、慌てて首を横に振っている。
「……その、あんなに大きな鐘の音をここで聞いて、耳が痛くならないかなと思ったのです」
「そこまで大きな音ではないから大丈夫ですよ」
「なら、ここで聞いてみたいです!」
エリクさんの心配事が微笑ましく、二人で並んで時間を待つ。
塔の最上部に取り付けられた鐘の音が響き始めると、庭園内で羽を休めていた鳥が一斉に飛び立った。
「わぁ! すごい!」
喜んでいるエリクさんに、今日は一緒に来れてよかったと思う。
鐘が鳴り止んだところで、お継母様から声が掛かった。
「エリクさん、ジュリアさん、あちらでお昼にいたしましょう」
「はい!」
エリクさんに手を引かれ、お継母様のいる方に向かっている時だった。
植え込みの陰から数人の男が現れる。
咄嗟に振り返ると、時計塔の後ろからも不審な男たちの姿が見え、逃げ場所がない。
「きゃぁ!」
男たちはお継母様の悲鳴にも反応せず、私達の方へと駆けてくる。
「エリクさん、危ない!」
男の手に刃物のような輝きが見えて、咄嗟にエリクさんを庇うように抱きしめた。自分の安全だとか立場だとか考える間もなく、ただ反射的に体が動いていた。
男の持つ刃が私に迫ってくる様に目を閉じる。
けれど、直後にキンという金属がぶつかり合う高い音が響き、覚悟した衝撃は来ない。
エリクさんを抱きしめたまま恐る恐る顔を上げると、近衛兵の制服を着た人が男の持つ刃物を弾き飛ばし、男を拘束しようとしているところだった。
「ジュリア、大丈夫⁉」
「殿下……」
近衛兵に囲まれてやってくるのは、マティアス殿下だった。
「もう、大丈夫だから」
何が起きているのかわからないものの、周囲を私達を守るように兵が配置され、男達が拘束されていく姿を見ると体から力が抜けていく。
「あね、うえ……?」
エリクさんの手がゆるみ、ゆっくりとエリクさんが離れようとするも、周りの状況を見て、小さく悲鳴を上げる。
「もう、大丈夫だ。失礼だが、その少年は?」
近づいてきた殿下が問う。
「ラバール侯爵の長男、エリクです」
エリクさんは震えながらも私から手を放して、殿下に挨拶をする。
「やはりそうか。なら、そちらの女性が、ラバール侯爵の細君であっているか?」
「はい」
頷くと殿下はほっとした顔をする。
「全員、無事のようで何よりだ。ひとまず王宮で部屋を用意するから気持ちを落ち着けると良い」
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