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44.学芸祭に向けて
学芸祭は学問や芸術分野に関する祭典が行われる。
選択講義の製作課題の展示や、講義外のクラブ活動での成果の発表の場という位置づけで、学芸祭の成績も学業の評価に加味される。
また、外部から見学者も数多く訪れるため、目立つ結果を残すことができれば就職や婚約に繋がると、特に文系の生徒が気合いを入れて参加している。
当然、一年生も参加することになっている。
私は刺繍と魔術の選択講義を受講しているので、刺繍の講義では展示作品を提出し、魔術の講義では魔術の実技を発表する予定だ。
早くも刺繍の講義では学芸祭に展示する制作の時間が取られていて、私はナタリア様と話しながら作業を進めている。
「ナタリア様は学芸祭に展示する作品、何を作るか決められました?」
「はい。図案もこうして起こしてきたので、私はハンカチ一面に刺繍を入れた物を作ろうかと」
「すごいわ」
見せて貰ったのは、ナタリア様が書き起こした刺繍の下絵だった。
大きな花束をハンカチの四隅に描き、縁取りには何種類かの小花を使っていて、完成したらとても美しい物が出来上がりそうだ。
「考えていた通りに出来るかはわかりませんが」
「ナタリア様ならきっとできますわ」
「嬉しいです。頑張ってみます。ジュリア様は何を刺されるのですか?」
「私は、ナタリア様に比べるとかなり地味かも。テーマに縛りもないし、無難に自分の家の家紋にしようかと思っているところ」
「王家の御家紋ではありませんの?」
「そちらは来年になって、もっと上手くなってからと考えていて」
「既に十分お上手だと思いますが……」
「そうかしら。ありがとう」
何か言いたげなナタリア様の言葉に曖昧に笑って答える。
一度目はあんなに欲していたのに、今はどうして自分があれほどまでにマティアス殿下を追いかけていたのか理解できなくなってしまっていた。
巻戻って、王太子妃教育でも学園でも、一度目よりも遙かに結果は出せていると思う。
なのに、結局は一度目と変わらないマティアス殿下の姿に、私の中の何かもふつりと切れてしまったのだと思う。
この調子だと、折角機会をくれたクロード様には申し訳ないけれど、今回も婚約破棄されてしまうのではないだろうか。
でも、今はそれを怖いとは思わない。
(……処刑さえされなければ、婚約破棄も悪くないかも)
そんなことさえ考えてしまう。
(それよりも)
一度目と変わらない殿下の態度より、クロード様に個人授業を受けられなくなった方が寂しい。
あれ以来私から話しかけることもなく、魔術の講義で生徒の一人として顔を合わせるだけだ。
クロード様の講義はいつもわかりやすいが、個人的に指導を受けられていた頃の方が応用まで教えて貰えて深く理解できていた。
(一度目よりも早く婚約破棄されたら、またクロード先生に指導してもらえるかしら)
何度振り払っても、そんな考えが繰り返し思い浮かんでしまう。
そんなことを考えている間に、刺繍の講義の終了を知らせる鐘が鳴った。
選択講義の製作課題の展示や、講義外のクラブ活動での成果の発表の場という位置づけで、学芸祭の成績も学業の評価に加味される。
また、外部から見学者も数多く訪れるため、目立つ結果を残すことができれば就職や婚約に繋がると、特に文系の生徒が気合いを入れて参加している。
当然、一年生も参加することになっている。
私は刺繍と魔術の選択講義を受講しているので、刺繍の講義では展示作品を提出し、魔術の講義では魔術の実技を発表する予定だ。
早くも刺繍の講義では学芸祭に展示する制作の時間が取られていて、私はナタリア様と話しながら作業を進めている。
「ナタリア様は学芸祭に展示する作品、何を作るか決められました?」
「はい。図案もこうして起こしてきたので、私はハンカチ一面に刺繍を入れた物を作ろうかと」
「すごいわ」
見せて貰ったのは、ナタリア様が書き起こした刺繍の下絵だった。
大きな花束をハンカチの四隅に描き、縁取りには何種類かの小花を使っていて、完成したらとても美しい物が出来上がりそうだ。
「考えていた通りに出来るかはわかりませんが」
「ナタリア様ならきっとできますわ」
「嬉しいです。頑張ってみます。ジュリア様は何を刺されるのですか?」
「私は、ナタリア様に比べるとかなり地味かも。テーマに縛りもないし、無難に自分の家の家紋にしようかと思っているところ」
「王家の御家紋ではありませんの?」
「そちらは来年になって、もっと上手くなってからと考えていて」
「既に十分お上手だと思いますが……」
「そうかしら。ありがとう」
何か言いたげなナタリア様の言葉に曖昧に笑って答える。
一度目はあんなに欲していたのに、今はどうして自分があれほどまでにマティアス殿下を追いかけていたのか理解できなくなってしまっていた。
巻戻って、王太子妃教育でも学園でも、一度目よりも遙かに結果は出せていると思う。
なのに、結局は一度目と変わらないマティアス殿下の姿に、私の中の何かもふつりと切れてしまったのだと思う。
この調子だと、折角機会をくれたクロード様には申し訳ないけれど、今回も婚約破棄されてしまうのではないだろうか。
でも、今はそれを怖いとは思わない。
(……処刑さえされなければ、婚約破棄も悪くないかも)
そんなことさえ考えてしまう。
(それよりも)
一度目と変わらない殿下の態度より、クロード様に個人授業を受けられなくなった方が寂しい。
あれ以来私から話しかけることもなく、魔術の講義で生徒の一人として顔を合わせるだけだ。
クロード様の講義はいつもわかりやすいが、個人的に指導を受けられていた頃の方が応用まで教えて貰えて深く理解できていた。
(一度目よりも早く婚約破棄されたら、またクロード先生に指導してもらえるかしら)
何度振り払っても、そんな考えが繰り返し思い浮かんでしまう。
そんなことを考えている間に、刺繍の講義の終了を知らせる鐘が鳴った。
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