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〈桜井 琴子 side〉
しおりを挟むあれから私達は一度も連絡も会うこともなく、結婚式の当日になっていた。
普通はエステやダイエットなんかするんだろうが、全く興味もない男の為にやってられない。
最後に会った時はクソ女と言われた。
あんなクソ男の為になんて何もしないわ。
結婚式の日程も新居も祐希が教えてくれた。
新居は本郷不動産の建物で一軒家だそうだ。どうでもいい。
「すごいね~」と一言だけ言い放った。
職場に近くなった事だけはありがたい。
それくらいしか良い事はない。
私は相変わらず結婚式当日も泊まり明けのままで式場に向かった。
あの男には会わずにそのまま控室に行きドレスに着替えた。
ドレスもお店の方に任せたので、
露出が多くて恥ずかしい。
レースのマーメイドのドレスだ。
背中はガッツリとあいていて、胸も強調されている。
バストが大きいから見せた方が良いとアドバイスだったが、あまり肌は見せたくなかった。
だけど、あの時はクソ女と言われてムカついて、感情が高ぶっていた。
イライラしていたお陰で露出が高いドレスを選んでしまった。
式場のヘアメイクさんや衣装の方は大袈裟に褒めてくれたのは嬉しかった。
バストのカップも訊かれて恥ずかしかった。
「旦那さんも喜ばれますよ。
モデルはやってないですよね?」
「いえ、やってないです。なれませんよ」
「ウェディングモデルにいいと思いますよ」
「ありがとうございます」
「見てください。メイクしたら更に綺麗です。インスタに載せる写真を撮ってもいいですか?」
ヘアメイクさんに頼まれのでOKを出した。
自分ではそこまで綺麗だと思っていなかったけど、ヘアメイクをしてもらった自分を見て驚いた。
こんなに変わるんだ。
もう少し自信を持ってもいいかもな。
そこにあの男が入ってきた。
ヘアメイクさんや衣装さんが騒ぎ出した。美男美女と騒いでいる。
あの男は瞬きを何度もしている。
舌打ちをしそうになったが堪えた。
「お前そんなに胸がデカかったのか?
ウエストがそんなに細いのにお尻はぷりっとしてるな」
「どこ見てるんですか?」
「見るだろ。妻なんだから」
「見ないでよ」
「お前って毛剃ってる?」
「はい? 毛?」
「そうだけど」
「一応女子ですよ。全身脱毛くらいしてますよ」
「全身してんのか?」
「それがなんですか?」
「いや、結婚式なのに何もしてこないと思ったから」
「本郷さん、クソ女でも女なんですよ。毛の処理くらいするでしょう」
「アソコもか?」
「そうですよ。 V O Iすべてしてますよ。そんな事を訊いて意味ありますか?」
「いや、全身って言うから気になっただけだ。今日は綺麗だよ」
「今日は?ですか? 一言余計なんですよ」
「本郷さんもカッコいいですよ。美女が寄ってきますね。ホテルには他の方と行ってください。私は家に帰ります」
「お前も泊まるに決まってんだろ」
「泊まりません。ホテルで何するんですか?」
「何もしないよ」
「何を考えてるんですか?
私達はルームメイトですよ」
「わかってるよ」
「行きますよ」
なぜか本郷さんはウエストに手を回し、お尻掴んでくる。
「ちょっとやめてよ」
「お前、すげーエロいな」
「何がですか?」
「スタイルが半端じゃなくいいって事だよ。普段はダボッとした服しか着てないだろ。だからわからなかったな。胸は何カップ?」
「Eカップですけど」
「ふ~ん、柔らかいな」
「ちょっとやめてよ。あなたの周りにいる女と一緒にしないで。あなたとは寝たくないわ」
「ふ~ん、俺にそんな事を言うのはお前だけだな。琴子。俺はラッキーかもしれないな」
「ラッキー? アンラッキーの間違えでしょう」
「呼び捨ては止めてください」
「いいだろ。早く部屋に行きたいな」
「勝手に行ってよ。あなたとはやらない」
裏で喧嘩をしながらも二次会まで終わらせた。
お爺ちゃんが喜んでくれてたのは嬉しかった。
私はドレスを脱いでホテルには泊まらずに自宅に帰った。あの男が誰と泊まったのか知らない。
ルームメイトとしてでも嫌になってきたな。
引っ越さないといけないのか····
応援ありがとうございます!
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