届かぬ温もり

HARUKA

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「遅すぎたんじゃない?」

その言葉を口にした瞬間、私は自分の感情が暴走しているのを感じた。

冷静さを欠いたまま、私は心の中に押し込めていた思いを吐き出していた。

玲央は私の目をじっと見つめ、何も言わなかった。空気が重く、冷たいものが私たちの間に漂っていた。

私たちはもはや、同じ時間を共有しているわけではなかった。心の中で何度も繰り返していた言葉が、現実として私の前に立ちふさがる。

「私がどれだけ我慢してきたか、玲央は知ってるよね?」

私は声を震わせながら続けた。

「あなたが桜子と過去を引きずっていること、気づいていた。でも、あなたは私に隠していた。まるで私がどうでもいい存在のように、冷たくなっていった。もう無理だよ、玲央。」

彼の顔が少し歪み、私に向かって何かを言おうとしたが、言葉が出てこなかった。その瞬間、私の心の中で何かが決定的に壊れたような気がした。

「ごめん、凛花。」玲央は深く頭を下げ、何度も繰り返し言った。

「本当にごめん。俺は…自分のことばかり考えていた。」

その言葉には、これまでの誠意が感じられた。しかし、それでも私はすぐには許せなかった。私はもう、こんなにも傷ついていたからだ。

「あなたが後悔しているのは分かる。でも、それが私に何を与えてくれるの?私がどれだけあなたに対して尽くしてきたか分かってる?あなたは過去の傷を抱えたままで、私を見てくれなかった。今更、何を言ったって遅いんだよ。」

その瞬間、私の心の中に溢れた感情をすべて言葉にしてしまった。冷静ではいられなかった。私は怒りと悲しみ、そして裏切られた気持ちを一気にぶつけていた。

玲央は言葉を失ったまま、静かに立っていた。彼の目に浮かぶのは、謝罪の色ではなく、後悔の色だった。

その時、桜子が静かに部屋に戻ってきた。彼女の目はどこか哀しげで、私たちのやり取りをただ見守っていた。

「玲央、私、今度は自分で決める。何もかも。」

私はその言葉を彼に投げかけた後、足元がふらつくのを感じながら、部屋を出て行った。

桜子がその後を追おうとしたが、私は振り向くことなく、自分の部屋へと向かった。

扉を閉める音が、私たちの関係の終わりを告げるように響いた。

その夜、私はただひたすらに涙を流しながら、今後のことを考え続けていた。

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