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56話
しおりを挟む「父さん…」
悟さんは声が震えていた
そんな、悟さんの手を俺はひたすら握ってあげる事しか出来なかった
少しの間ボーッと立っているとお母さんが出てきた
「お母さん お久しぶりです」
「蓮くん… 悟…」
お母さんは「外寒かったでしょう。早く座りなさい」と窓から外が見える席に案内してくれた
「ありがとうございます」
「よくきてくれたね」
「悟さんが連れてきて来れました。」
「そう。」といいお母さんは戸惑いながらもどこか嬉しいそうな顔をしていた
「何にしますか?今日のオススメは天丼だけどどう?」
「美味しそうですね。じゃあ、天丼と卵焼きとお味噌汁2つずつ下さい」
「はい。少々お待ちください」と言うとお母さんは悟さんの肩をポンと軽く叩いた
「…うん」
悟さんはうん。と答えると緊張した顔でお水を飲んでいた
「…ごめんね。蓮」
「なんで、謝るんですか?」
「いや、実際連れてきたけど俺、蓮の気持ち考えずに連れてきてしまったなって今思った」
「大丈夫ですよ。俺も、高島さんのお弁当本当に美味しかったです。だから、また食べたいって思ってましたし、何より悟さんが俺を、ここに連れてきてくれたって事は大事な人って認識してくれてるってことですよね?」
「うん」
「俺は、それだけで嬉しいです。だから、自分を責めないでください」
といい正面に座ってる悟さんの手を握りしめた。
少ししていると料理が運ばれてきた。
「お待たせしました。」
お父さんの声だった。 俺も少し緊張していたせいか、俺もしっかりしないと思いつい勢いがあまってしまい…
「あ、⤴︎りがとうございマス」
それが、裏目に出てしまった。
今俺…声が裏返った? 今この状況で裏返るか?しかも、最後は自信がなくなり声も小さくなってしまった
悟さんはそんな俺を見て爆笑していた
「蓮、大丈夫?笑笑」
「笑わないでください!」
「だって、笑 」
すると、お父さんが優しく声をかけてくれた
「緊張しないで下さい」
「すみません。 ありがとうございます…」
「はい笑
こちら、天丼と卵焼き、そしてお味噌汁です」
実際に少しお話をしていると悟さんから聞いたりお母さんから聞いた人より優しい感じの方に見えたしいい人にも見えた。何より、笑った顔が悟さんにそっくりだった。
「そっくりですね。」
「え?」
「悟さんはお父さんに似ています。」
すると、お父さんは少し照れた顔をし
「…ありがとうございます」
といい「失礼します」といいその場を去った
悟さんはそんなお父さんの後ろ姿を眺めていた
「美味しそうですね」
「ん? うん。そうだね」
「食べましょう。」
「うん。」
「いただきます」
「…いただきます。」
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