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妊婦のお茶と子供の珈琲
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それから少しして。
朔とクリフが茶菓子談義を始めたため、動くに動けなくなった弟子たちは、大人しく茶を飲んでいた。
一度に飲む薬草茶の量は決まっているため、弟子もトルコチャイを何杯も飲んでいた。
「飲みすぎ注意ですよ、弟子」
「分かってるけどさぁ。この黒糖が入ったやつも美味くて」
同意できるが。
ちなみに、ウーゴは先ほど出した蒲公英珈琲に切り替えている。マイニにとっては日常的に飲む飲み物のため、頼んでまで飲みたいとは思わないらしい。そんなマイニが飲んでいるのは、抹茶である。ケーキを摘まみつつゆっくりと飲んでいる。そして春麗は、大紅袍だ。今日は奮発したい気分だと言っていた。
「お手洗いが近くなりますから、飲み過ぎには注意してくださいね」
「はーーい」
国籍も年代も違う客が、全員口を揃えて返事をしてきた。
今度はけたたましくドアベルが鳴り、乱暴にドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
「コーヒーが欲しいの」
「あいにくですが、お客様。当店はお茶専門店になっております」
いちおう上品そうに装いを決めているが、どう見ても派手な女性が入ってくるなり言った。お茶専門店と看板にも書いてあるのだが、この女性の目には映らなかったらしい。
今日は女性客の多い日のようである。
「あそこの婦人科で! ここにコーヒーがあるって聞いたのよ!!」
「ということは妊婦さんですか。ですと、蒲公英珈琲は如何でしょうか」
「あんな不味いもの、このあたしに飲ませる気なの!?」
「……不味いかねぇ」
ぼそりとウーゴが呟く。人それぞれ、という言葉があるためマスターは聞かなかったことにした。
「では団栗珈琲は……」
「ふざけないで! なんであんなどこにでもある木の実を飲まなきゃいけないのよ」
一応、珈琲豆を一般庶民が手に入れられない時に考えた代用品を何と心得るか、といいたくなる。
珈琲の苦味が好きな人には受け入れられないかもしれないが。
「ただでさえ我慢してるってのに、イライラさせないでよ!」
「……外でそ知らぬふりをして待っている方、いい加減出てきてもらえませんか?」
この女性を煽ったであろう人物は外にいるのだ。
そして、その人物を見た朔はその場で殴った。
「俺、動く暇なかった」
弟子がぼそりと呟いていた。
「裕里君、君が手を出すまでもない。……よくもまぁ、のこのことこの店に近づけたものだ」
朔が表情を消して、その人物の前に立ちはだかった。
そう、外にいたのは亡き妻が前夫との間にもうけたもう一人の子供――マスターは名前を忘れたが――だった。
「あんたたちは奥様に失礼だぞ。この方は……」
「存じ上げてるよ、雪野家の若奥様だろう?」
朔が呆れ果てて弟に向かって言い放った。
「ここはお茶専門店だ。そこで珈琲を求めるのは間違いというものだろう」
「客の要望に応えて、出すのが店というものだ」
妻が死した理由でも、こうやって対立していた二人である。朔は父親と弟、そして当時の主を見限り、仕事を辞めた。その後、現在の家に雇われているのである。
「馬鹿なことをするものではありませんよ、二人とも」
わざとらしく鴛鴦茶をウーゴに出しつつ、マスターは注意した。珈琲の匂いにつられる女性はそ知らぬふりである。
「コーヒーあるんじゃない! 出しなさいよ!!」
「お客様、当店はお茶専門店でございます。こちらは鴛鴦茶という、れっきとしたお茶でございます」
「煩いわね! 数か月に一回、イタリア行って本場のコーヒーすら楽しめないってのに!!」
「Hi there Che ne dici di qualcosa? (こんにちは。如何お過ごしかな)」
「……え?」
数か月に一度イタリアに行っているわりに、この程度の挨拶も知らない奥方に、話しかけたウーゴが言葉を失っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
……子供の珈琲まで行かんかった(´・ω・`)
次で出てきます!
そして団栗珈琲ですが、こちらも濃いほうじ茶のような味とのこと。ただ、蒲公英珈琲よりは癖がないようです。
18世紀にコーヒーの消費が増加し外貨が減っていくため、フリードリッヒ大王は、コーヒーの禁止令を布告、更に「王室以外でのコーヒーの焙煎を禁止」し、不法焙煎の取り締まりが行われ、代用コーヒー産業が発展し、代用コーヒーの材料の中にドングリが登場。ドイツではその後のナポレオン1世による大陸封鎖でも、ドングリなどの代用コーヒーが飲まれた。アメリカ合衆国では南北戦争の頃にもドングリの代用コーヒーが登場している。さらに、ドングリの代用コーヒーは第二次世界大戦のドイツと日本とで飲まれている。
長野県では妊娠した女性がコーヒーの代用品を探してドングリを用い、後に、どんぐりコーヒーとして市販するまでなった
Wikipediaより。
朔とクリフが茶菓子談義を始めたため、動くに動けなくなった弟子たちは、大人しく茶を飲んでいた。
一度に飲む薬草茶の量は決まっているため、弟子もトルコチャイを何杯も飲んでいた。
「飲みすぎ注意ですよ、弟子」
「分かってるけどさぁ。この黒糖が入ったやつも美味くて」
同意できるが。
ちなみに、ウーゴは先ほど出した蒲公英珈琲に切り替えている。マイニにとっては日常的に飲む飲み物のため、頼んでまで飲みたいとは思わないらしい。そんなマイニが飲んでいるのは、抹茶である。ケーキを摘まみつつゆっくりと飲んでいる。そして春麗は、大紅袍だ。今日は奮発したい気分だと言っていた。
「お手洗いが近くなりますから、飲み過ぎには注意してくださいね」
「はーーい」
国籍も年代も違う客が、全員口を揃えて返事をしてきた。
今度はけたたましくドアベルが鳴り、乱暴にドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
「コーヒーが欲しいの」
「あいにくですが、お客様。当店はお茶専門店になっております」
いちおう上品そうに装いを決めているが、どう見ても派手な女性が入ってくるなり言った。お茶専門店と看板にも書いてあるのだが、この女性の目には映らなかったらしい。
今日は女性客の多い日のようである。
「あそこの婦人科で! ここにコーヒーがあるって聞いたのよ!!」
「ということは妊婦さんですか。ですと、蒲公英珈琲は如何でしょうか」
「あんな不味いもの、このあたしに飲ませる気なの!?」
「……不味いかねぇ」
ぼそりとウーゴが呟く。人それぞれ、という言葉があるためマスターは聞かなかったことにした。
「では団栗珈琲は……」
「ふざけないで! なんであんなどこにでもある木の実を飲まなきゃいけないのよ」
一応、珈琲豆を一般庶民が手に入れられない時に考えた代用品を何と心得るか、といいたくなる。
珈琲の苦味が好きな人には受け入れられないかもしれないが。
「ただでさえ我慢してるってのに、イライラさせないでよ!」
「……外でそ知らぬふりをして待っている方、いい加減出てきてもらえませんか?」
この女性を煽ったであろう人物は外にいるのだ。
そして、その人物を見た朔はその場で殴った。
「俺、動く暇なかった」
弟子がぼそりと呟いていた。
「裕里君、君が手を出すまでもない。……よくもまぁ、のこのことこの店に近づけたものだ」
朔が表情を消して、その人物の前に立ちはだかった。
そう、外にいたのは亡き妻が前夫との間にもうけたもう一人の子供――マスターは名前を忘れたが――だった。
「あんたたちは奥様に失礼だぞ。この方は……」
「存じ上げてるよ、雪野家の若奥様だろう?」
朔が呆れ果てて弟に向かって言い放った。
「ここはお茶専門店だ。そこで珈琲を求めるのは間違いというものだろう」
「客の要望に応えて、出すのが店というものだ」
妻が死した理由でも、こうやって対立していた二人である。朔は父親と弟、そして当時の主を見限り、仕事を辞めた。その後、現在の家に雇われているのである。
「馬鹿なことをするものではありませんよ、二人とも」
わざとらしく鴛鴦茶をウーゴに出しつつ、マスターは注意した。珈琲の匂いにつられる女性はそ知らぬふりである。
「コーヒーあるんじゃない! 出しなさいよ!!」
「お客様、当店はお茶専門店でございます。こちらは鴛鴦茶という、れっきとしたお茶でございます」
「煩いわね! 数か月に一回、イタリア行って本場のコーヒーすら楽しめないってのに!!」
「Hi there Che ne dici di qualcosa? (こんにちは。如何お過ごしかな)」
「……え?」
数か月に一度イタリアに行っているわりに、この程度の挨拶も知らない奥方に、話しかけたウーゴが言葉を失っていた。
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……子供の珈琲まで行かんかった(´・ω・`)
次で出てきます!
そして団栗珈琲ですが、こちらも濃いほうじ茶のような味とのこと。ただ、蒲公英珈琲よりは癖がないようです。
18世紀にコーヒーの消費が増加し外貨が減っていくため、フリードリッヒ大王は、コーヒーの禁止令を布告、更に「王室以外でのコーヒーの焙煎を禁止」し、不法焙煎の取り締まりが行われ、代用コーヒー産業が発展し、代用コーヒーの材料の中にドングリが登場。ドイツではその後のナポレオン1世による大陸封鎖でも、ドングリなどの代用コーヒーが飲まれた。アメリカ合衆国では南北戦争の頃にもドングリの代用コーヒーが登場している。さらに、ドングリの代用コーヒーは第二次世界大戦のドイツと日本とで飲まれている。
長野県では妊娠した女性がコーヒーの代用品を探してドングリを用い、後に、どんぐりコーヒーとして市販するまでなった
Wikipediaより。
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