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調合師教育計画
マイヤ、倒れる
しおりを挟む研究だけは順調に進んでいた。
問題は、文字の読めない者たちが己にだけ分かる絵文字で研究成果を書いていることだろう。
それをまとめるのは、文字のしっかり読める者でなおかつ暇な者なのだが、暇な住民などこの中にはいない。
つまりは、比較的暇である前公爵とマイヤに割り振られる仕事となっていた。
「本人がいないと解明も進みませんわね」
「まったくだわい」
毎日研究成果の提出を義務付けているが追いつかない。
一応ある程度決まった絵を使うよう通達したのだが、いかんせん絵心に左右される。それゆえチームを作ってチーム内での研究にしたが、猶更解明に時間がかかることになった。
毎日聞き取りをして、ざっくりまとめる。それを清書して間違いがないかどうかを確認する。それだけでも時間を食ってしまう。
だから識字率をもっと早くにあげておけばいいのにとマイヤは思ったが、通常であれば文字でなく絵でもいい。自分とその弟子さえわかればいいというやつである。
ただ、毎回聞き取りと確認に時間をとられることをよしとしない一部の者たちが出てきた。
「これは研究です。つまり皆に分からなくては二度手間三度手間となるのです」
「……隠しておくって出来ねぇのか?」
「技術であればいいのでしょうが、あくまで研究です。そしてこれは領内で取り組んでいるもの、つまり皆が分からなくては意味がないのです」
「くっそ。この歳になって文字を習うことになるとは思わなかった」
大抵は説明すれば納得してくれる。というか、逆に文字を知る者の方が聞き取り時間が短いため、研究の進みがいい。やっかむ者たちも出てきた。
「やっかむ暇があるのなら、文字を覚えてくださいませ」
そうすればこの集落に住む者たちの生活向上に時間が使えるというものである。
そんな最中、マイヤが倒れた。
診断は過労である。
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いくら規格外令嬢とはいえ、休みなくはたらいていればそうなるよなぁ。と
それ以上に働いているのがヴァル君だったり。ただ、近衛騎士となっておりますが、窓際族のような扱いだと思ってください。つまり、仕事中に暇で休んでいます(それでいいのか
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