寂しがり屋のドラゴン

神無ノア

文字の大きさ
1 / 3

1

しおりを挟む
 寂しがり屋のドラゴンは、いつも一人。小さい小さい身体で、小さな洞穴でポツンと寝ています。

 時々小さな生き物が遊びに来てくれますが、ドラゴンがちょっと遊ぶとぺしゃっとつぶれてしまいます。
 そんな小さな生き物はたくさんの「お土産」を持ってきてくれますが、ドラゴンには小さすぎるものばかりなので、洞穴の片隅に集めておきます。
 また次の小さな生き物が来た時に、あげるためです。

 それよりももっと時々ですが、少し大きな生き物もやってきます。それはとっても美味しいので、ドラゴンはうれしくなります。

 ドラゴンは空を飛んだこともなければ、洞穴から出たこともありません。

 お母さんに言われたからです。
「外は危険よ。だから絶対に出ちゃ駄目」
 と。そしてある日、ご飯を探しに行ったお母さんは帰ってこなくなりました。
 それからずっとお母さんの言うことを守ってドラゴンは一人でいるのです。

 お母さん早く帰ってきて。ドラゴンはそればかりを望んでいました。


 そんなある日のこと。
 洞穴の入り口からお母さんのにおいがしてきました。
「お母さん! お帰りなさい」

 しかし、いつまでたってもお母さんはやってきません。

 しばらくしてやって来たのは、お母さんと同じにおいのする小さな生き物たちでした。
「お母さん! お母さんはどこ!?」
 ドラゴンは叫びます。
「----!!」
 小さな生き物が何か言ったようですが、ドラゴンには分かりませんでした。

 そして次々と何かを当ててきます。ですが、ドラゴンはまったく気にしませんでした。

 その時でした。

 何故かお母さんの爪が、ドラゴンを傷つけたのです。
「どう……して?」
 お母さんがいるのかと思って、そちらを見てもいません。いるのは小さな生き物だけ。

 また別の方向からもお母さんの爪でドラゴンを傷つけます。

 どうして? どうしてお母さんは僕を傷つけるの? お母さんはどこ?

 何度傷つけた方向を見てもお母さんはいないのです。
 そして、お母さんの爪で傷つけられたところが熱くなったり、冷たくなったりしました。

 気が付けば、ドラゴンは傷だらけになっていたのです。
 血が、たくさん出ていました。

 何が起きたのか分からず、声を上げようとするドラゴンをまた、お母さんの爪が傷つけます。そこでやっと分かったのです。
 小さな生き物たちが、お母さんの爪を使ってドラゴンを傷つけていたことを。
「お母さん! お母さんをどうしたの!?」
 そう小さな生き物に訊ねようとしましたが、声が出ません。さっきお母さんの爪で傷つけられたときに、喉をつぶされてしまったようでした。

 何度も傷つけられ、ドラゴンはその場に倒れ動けなくなりました。


 お母さんを待っていた小さなドラゴンは、お母さんに会えないままこと切れました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。

桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。 それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。 でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。 そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

悪女の死んだ国

神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。 悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか......... 2話完結 1/14に2話の内容を増やしました

青色のマグカップ

紅夢
児童書・童話
毎月の第一日曜日に開かれる蚤の市――“カーブーツセール”を練り歩くのが趣味の『私』は毎月必ずマグカップだけを見て歩く老人と知り合う。 彼はある思い出のマグカップを探していると話すが…… 薄れていく“思い出”という宝物のお話。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
イシュタは病の妹のため、誰も死なない村・エリュシラーナへと旅立つ。そして、夜空のような美しい少女・フェルルと出会い…… 「昔話をしてあげるわ――」 フェルルの口から語られる、村に隠された秘密とは……?  ☆…☆…☆  ※ 大人でも楽しめる児童文学として書きました。明確な記述は避けておりますので、大人になって読み返してみると、また違った風に感じられる……そんな物語かもしれません……♪  ※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

処理中です...