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しおりを挟む小さなドラゴンがこと切れたのを見た、誰よりも豪華な鎧を着た男――この国の第三王子です――が、ドラゴンを見下ろしていました。
「やはりドラゴンアーマーやドラゴンキラーのついた武器があると楽だな」
「御意に」
王子の呟きに騎士団長が答えました。
王子たちは偶然他のドラゴンの縄張りを荒らしたワイバーンが死ぬのを、たまたま目撃したことがあったのです。
そして、死んだワイバーンを解体して武器と鎧を作り、別の小さなドラゴンを殺しました。
それでできた武器と防具で別のドラゴンを殺したのです。
そう、そのドラゴンこそが小さなドラゴンのお母さんでした。
ワイバーン装備で小さなドラゴンを倒した時も、たくさんの仲間が死にました。
なおさら躍起になった王子は、何としてもドラゴンを駆逐しようと思ったのです。
そして、国の近くに巣を作っていたドラゴンを討伐することにしました。
「ドラゴンの脅威にさらされないために」
と。
ドラゴンの中には好戦的で誰構わず襲うものもいます。ですが、ほとんどが自分たちの食料を得るために狩りをするドラゴンです。ただ、攻撃されれば仕返しをします。それだけのことです。
そして、国の近くに巣を作っていたドラゴンも後者でした。
そんなことを王子は知りません。全部のドラゴンが悪だと思っていたのです。
「王子! ご覧ください!!」
魔術師長が驚いたように声をあげました。
「どうやらこのドラゴンが溜めこんでいたようです」
そこにあったのは、たくさんの武器防具でした。
「なんと悪辣な」
王子が言います。
「これを国庫にあて、戦死者の家族への補償にしてはいかがでしょうか」
「そうしよう」
騎士団長の言葉に王子は同意しました。
その武器防具も、ここに討伐に来た冒険者たちの装備だということに王子たちは気づきません。きっと森にいた冒険者たちを勝手に殺して、武器防具だけを奪ってきたのだろうと思っていたのです。
王子はその洞穴にあったたくさんの武器防具と小さなドラゴンの死がいを持って、国で凱旋しました。
国民たちはドラゴンが死んだことを喜び、歓迎しました。
それから一年後、その国にはたくさんの魔獣が現れるようになりました。
それを狩るのに国は必死になり、農地は荒れ果てました。
人々は知らなかったのです。
害獣とされるモンスターたちを食料にしていたのがあの母子のドラゴンだということを。
母親がいなくなっても、小さなドラゴンがいたためあまり現れなかっただけだったということを。
ドラゴンがいなくなり、喜んだ魔獣たちが人間を餌にし始めたのでした。
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