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第6章
第171話:共闘
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「散れ」
その短い一言と共に放たれた漆黒の雷光が、視界を埋め尽くしていた魔獣を一瞬で消滅させた。
呆然と立ち尽くす僕の耳に届いたのは、あの頃と何一つ変わらない、傲岸不遜で、冷徹で……そして誰よりも頼もしい、親友の声だった。
「おい、ルクシオ。いつまで突っ立っている。お前が撒いた種だろう。片付けぐらい手伝え」
心臓が跳ねた。
叱責されているのに、口角が上がってしまうのを止められない。中身が別人のようだったここ数日の「レリル」も、確かに誰もが守ってあげたくなるような善人だった。けれど、今僕の目の前で、計算し尽くされた完璧な魔力回路を編み上げ、周囲の空間から強制的にマナを収奪しているのは、紛れもなく僕が憧れ、共に高みを目指した、あの「レリル」だ。
「……ああ、分かっているよ。レリル!」
僕は震える手で杖を握り直し、隣に並ぶ。 あの日、王都で彼が連れ去られた時から、僕の世界は色を失っていた。僕が暴走させたこの魔物たちも、彼がいない世界への絶望の産物だ。けれど今、隣からは肌を焼くような濃密な魔力の波動が伝わってくる。
「左から三体、大型が来るぞ。……お前が足止めしろ。俺がまとめて焼き払う」
「了解。――『氷界の縛鎖《アイシクル・チェイン》』!」
僕が氷の鎖で魔物の動きを封じた瞬間、一分の遅滞もなくレリルの超広域破壊魔法が発動する。
互いの呼吸、魔力の練り、次の展開の予測。言葉を交わさずとも、僕たちの意識は鏡合わせのように噛み合っていく。彼が何をしようとしているのか、その魔力の流れを見ただけで理解できる。
(……楽しい。なんて、楽しいんだ)
領地は危機的状況で、自分の罪は消えない。それでも、こうしてレリルと背中を合わせて魔導を紡いでいる時間が、狂おしいほどに心地よかった。
僕が全力で放った魔法の隙間を、彼が完璧な精度で埋めていく。以前よりもずっと苛烈で、神の権能を帯びたその漆黒の雷は、触れるものすべてを存在ごと否定するように消滅させていく。その破壊の軌跡は、もはや恐ろしいほどの芸術の域に達していた。
「おい、ルクシオ。ニヤついていないで集中しろ。右が疎かになっているぞ」
「ふふ、ごめん。……君が、あまりに君らしくて、ついね」
レリルは鼻で笑ったが、その瞳には戦いを楽しむような鋭い輝きが宿っていた。
二十四時間。神から与えられたその短い猶予は、僕にとっては永遠にも等しい価値がある。この男の隣にいられるのなら、地獄の業火ですら心地よいとさえ思えた。
かつて二人で並んで魔法を競い合った、あの日の続き。
僕たちは蹂躙される側から、蹂躙する側へと、攻守を完全に逆転させていた。戦場はもはや、僕たちの再会を祝うための舞台にすぎなかった。
その短い一言と共に放たれた漆黒の雷光が、視界を埋め尽くしていた魔獣を一瞬で消滅させた。
呆然と立ち尽くす僕の耳に届いたのは、あの頃と何一つ変わらない、傲岸不遜で、冷徹で……そして誰よりも頼もしい、親友の声だった。
「おい、ルクシオ。いつまで突っ立っている。お前が撒いた種だろう。片付けぐらい手伝え」
心臓が跳ねた。
叱責されているのに、口角が上がってしまうのを止められない。中身が別人のようだったここ数日の「レリル」も、確かに誰もが守ってあげたくなるような善人だった。けれど、今僕の目の前で、計算し尽くされた完璧な魔力回路を編み上げ、周囲の空間から強制的にマナを収奪しているのは、紛れもなく僕が憧れ、共に高みを目指した、あの「レリル」だ。
「……ああ、分かっているよ。レリル!」
僕は震える手で杖を握り直し、隣に並ぶ。 あの日、王都で彼が連れ去られた時から、僕の世界は色を失っていた。僕が暴走させたこの魔物たちも、彼がいない世界への絶望の産物だ。けれど今、隣からは肌を焼くような濃密な魔力の波動が伝わってくる。
「左から三体、大型が来るぞ。……お前が足止めしろ。俺がまとめて焼き払う」
「了解。――『氷界の縛鎖《アイシクル・チェイン》』!」
僕が氷の鎖で魔物の動きを封じた瞬間、一分の遅滞もなくレリルの超広域破壊魔法が発動する。
互いの呼吸、魔力の練り、次の展開の予測。言葉を交わさずとも、僕たちの意識は鏡合わせのように噛み合っていく。彼が何をしようとしているのか、その魔力の流れを見ただけで理解できる。
(……楽しい。なんて、楽しいんだ)
領地は危機的状況で、自分の罪は消えない。それでも、こうしてレリルと背中を合わせて魔導を紡いでいる時間が、狂おしいほどに心地よかった。
僕が全力で放った魔法の隙間を、彼が完璧な精度で埋めていく。以前よりもずっと苛烈で、神の権能を帯びたその漆黒の雷は、触れるものすべてを存在ごと否定するように消滅させていく。その破壊の軌跡は、もはや恐ろしいほどの芸術の域に達していた。
「おい、ルクシオ。ニヤついていないで集中しろ。右が疎かになっているぞ」
「ふふ、ごめん。……君が、あまりに君らしくて、ついね」
レリルは鼻で笑ったが、その瞳には戦いを楽しむような鋭い輝きが宿っていた。
二十四時間。神から与えられたその短い猶予は、僕にとっては永遠にも等しい価値がある。この男の隣にいられるのなら、地獄の業火ですら心地よいとさえ思えた。
かつて二人で並んで魔法を競い合った、あの日の続き。
僕たちは蹂躙される側から、蹂躙する側へと、攻守を完全に逆転させていた。戦場はもはや、僕たちの再会を祝うための舞台にすぎなかった。
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