災厄のななつのこ

絃屋さん  

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休息

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翌日も、馬場は戻ってはこなかった。
ロッカーの私物を整理していたら、映画の為の資料なのか怪しげなオカルト本が沢山出てきた。
その中には、何語で書かれているのかも定かではない奇妙な魔術書のようなものも存在した。
それらは、全部中身をみることなく焼却した。
直里から、神社の噂について少し詳しい話を聞いた。
基本的には行方不明になるのは子供なのだが、子供をあちら側に連れ去ろうとする者がいるらしい。
油売りや、薬屋さんなどと呼ばれており親から離れた子供に声をかけてくる。
馬場の正体が、それらの化物だったのかどうかは確かめる術はなかった。
私は映画の続きを撮る為に、もう一度あの神社に行こうと考えている。
夢の中で遭遇した、単眼の化物の正体がどうしても気になったからだ。
直里が言うように、あれが神様の類いだとしたら、いったい何故あのような祠に封印されているのだろうか。

「えー、本気ですか」
「だって、このままじゃ映画が完成しないというか何も解らないままじゃもやもやしない?」
「先輩言ってること、めちゃくちゃですよ」
「ノンフィクションになっちゃうけど、あの神社の謎についてカメラにおさめて、そしたら就職活動を始めるのよ」
直里は呆れ果てた顔をして、私の目をじっと見る。
「だったら一つアイデアがあるかもしれません」
「アイデア?」
「神様を騙ます良い作戦を思いつきました」
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