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麗人の黒騎士は報告しました
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「姫様!」
王室の中でも限られた人間しか入ることが許されない姫の自室に、ミーナは居た。
「おかえりなさいミーナ。今日も美しいわ」
甲冑を脱いではいるものの、男装したミーナはよく見なければ銀髪の美青年に見える。
身長こそ高くはないものの、ズボンにぴったりと張り付いた両足は引き締まっている。
馬に乗る為か、お尻の筋肉も異様に硬いので後ろから見ても女性とは気づかれにくい。
「姫様、報告致します。辺境地から我が国に侵攻していた敵国の騎士等は撤退致しました」
「ライオットにもあまり深追いしないように伝えてくれましたか? 」
「はい、姫様の慧眼恐れ入ります。」
大国とはいえ、ミドはそれぞれ東西南北が別々の国境に面しており一方を攻めれば他の国に隙きを与えかねない。
守りに徹している限りはミドは、鉄壁の防御を誇っていた。
ここ300年間は、騎士等の尽力のおかげで国の内部では戦闘は一度も起こってはいない。
「それにしても……まだライオットは貴女が女の子だって気づいていないのかしら」
「……そうですね。私は女としての魅力や色気とは無縁ですし」
甲冑を着ると、細見のわりにミーナの胸板はやけに厚くなりそうなものだが、食生活やハードな運動の為かその胸はささやかなものだった。
「こんなに近くに美女がいるのに
ライオットったら、本当に見る目なさすぎ」
親しい間柄の2人なので、姫もリラックして口調が柔らかい。
「ライオットは姫様への忠誠と風呂の事で頭が一杯ですからね」
「ふはっ、なによそれ。私と風呂を同列に扱うなんて失礼しちゃうわ」
姫は笑いながら言う。
「報告を言い訳に使ってしまい申し訳ありません。さすがに、混浴のお誘いはお受けしかねましたので」
「わかってるわ。いつものことでしょう」
「はい」
ミーナは複雑な気持ちであった。
性別を超えて騎士としての実力を認めてもらえている喜びとわざとではないとはいえ本当の事を言えない後ろめたさを感じていた。
「ミーナ、ご苦労さま。そして私が直々に王宮の浴場で労ってさしあげましょう」
「な……」
悪戯っぽい笑みを浮かべた姫が言う。
「いいでしょう? たまには女同士の裸の付き合いも」
「まさか姫様からも、お誘いを受けるとは……」
「もちろん、拒否権はないわよ」
「わかりました。喜んでお受け致します」
上機嫌な姫に対して、ミーナはあくまでも冷静だった。
実は、まだ小さい頃に何度か一緒に風呂に入った事があったのだ。
本来、身分の違うこの2人が同じ浴室に入る事はないはずだが、王と黒騎士であった祖父とは唯一無二の親友であり、その血を受け継いだ2人も主君と騎士という間柄を越えた特別な関係なのだった。
「ライオットには悪いけど、まだまだミーナの純潔は渡せないわよ」
姫の目が怪しく光ったように見えたが隣のミーナはそれには気付かず、浴室へと歩いていく。
王室の中でも限られた人間しか入ることが許されない姫の自室に、ミーナは居た。
「おかえりなさいミーナ。今日も美しいわ」
甲冑を脱いではいるものの、男装したミーナはよく見なければ銀髪の美青年に見える。
身長こそ高くはないものの、ズボンにぴったりと張り付いた両足は引き締まっている。
馬に乗る為か、お尻の筋肉も異様に硬いので後ろから見ても女性とは気づかれにくい。
「姫様、報告致します。辺境地から我が国に侵攻していた敵国の騎士等は撤退致しました」
「ライオットにもあまり深追いしないように伝えてくれましたか? 」
「はい、姫様の慧眼恐れ入ります。」
大国とはいえ、ミドはそれぞれ東西南北が別々の国境に面しており一方を攻めれば他の国に隙きを与えかねない。
守りに徹している限りはミドは、鉄壁の防御を誇っていた。
ここ300年間は、騎士等の尽力のおかげで国の内部では戦闘は一度も起こってはいない。
「それにしても……まだライオットは貴女が女の子だって気づいていないのかしら」
「……そうですね。私は女としての魅力や色気とは無縁ですし」
甲冑を着ると、細見のわりにミーナの胸板はやけに厚くなりそうなものだが、食生活やハードな運動の為かその胸はささやかなものだった。
「こんなに近くに美女がいるのに
ライオットったら、本当に見る目なさすぎ」
親しい間柄の2人なので、姫もリラックして口調が柔らかい。
「ライオットは姫様への忠誠と風呂の事で頭が一杯ですからね」
「ふはっ、なによそれ。私と風呂を同列に扱うなんて失礼しちゃうわ」
姫は笑いながら言う。
「報告を言い訳に使ってしまい申し訳ありません。さすがに、混浴のお誘いはお受けしかねましたので」
「わかってるわ。いつものことでしょう」
「はい」
ミーナは複雑な気持ちであった。
性別を超えて騎士としての実力を認めてもらえている喜びとわざとではないとはいえ本当の事を言えない後ろめたさを感じていた。
「ミーナ、ご苦労さま。そして私が直々に王宮の浴場で労ってさしあげましょう」
「な……」
悪戯っぽい笑みを浮かべた姫が言う。
「いいでしょう? たまには女同士の裸の付き合いも」
「まさか姫様からも、お誘いを受けるとは……」
「もちろん、拒否権はないわよ」
「わかりました。喜んでお受け致します」
上機嫌な姫に対して、ミーナはあくまでも冷静だった。
実は、まだ小さい頃に何度か一緒に風呂に入った事があったのだ。
本来、身分の違うこの2人が同じ浴室に入る事はないはずだが、王と黒騎士であった祖父とは唯一無二の親友であり、その血を受け継いだ2人も主君と騎士という間柄を越えた特別な関係なのだった。
「ライオットには悪いけど、まだまだミーナの純潔は渡せないわよ」
姫の目が怪しく光ったように見えたが隣のミーナはそれには気付かず、浴室へと歩いていく。
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