4 / 24
水
しおりを挟む9月と言ってもまだ暑い夏だ。
それはもちろん私の嫌いな授業がまた始まる。何かって?
夏の授業と言えば『プール』しかないだろう。
私は見学。別にサボりとかそういう訳では無い。
私は生まれつき肌が弱く、蕁麻疹(じんましん)
ネックレスも付けると赤くなり痒くなる。
ゴム製の物もぶつぶつが出てくる。
熱すぎるお湯もダメで、冷たすぎる水もダメ。
なのでプールもあまり入れない。それにあれだ。
女の子には女の子の日がある。生理だ。
「やったね。今日に限って生理来たよ」
「侑花はサボりたいだけでしょ」
と笑いながら言う私の友達、親友。
『橋本香菜』幼稚園の頃から本当に仲がいい。
何でも言える仲とはまさにこの事だろうと思う。
香菜は今、左腕を骨折しているから見学。
可哀想と思う私、私は左利きだからだろうけど。
けれど片手が使えないのは絶対に不自由だと思う。
「あ、さっきーだ」
「侑花最近さっきーの事見過ぎじゃない?」
「えー?そう?」
私も誤魔化すのが下手になったのかもしれない。
もう認めちゃえばいいのに。
と言う声が心の中に響く。嫌だ。認めたくない。
だって……ただ隣の席になっただけだよ?
それなのに……恥ずかしいから。
「うん。まぁさっきーイケメンだしね」
「私も思うよそれ」
香菜がさっきーの事イケメンと言った。
それは私も思う。物凄く共感する。
さっきーの顔はそこら辺のレベルではない。
嫌、ずば抜けてかっこいいとかではないのだけど。
私的にはそう思っているだけでね……
ていうか今皆水着だから男子は上半身裸なわけで。
筋肉が見えるんです。私筋肉フェチなんですよ。
特に腹筋と背筋と腕の腕撓骨筋。(わんとうこつきん)
腕の筋肉は本当にずっと見てられて……あっ
話が長くなりますね。すいません。
「侑花!見てあれ!さっきーの背筋!」
「ん?」
「めっちゃ割れてない!?」
……本当だ。え?何あれ。中一男子であんな割れる?
プールサイドの上にあがる時のさっきーの筋肉。
凄い、物凄く割れてる。とにかくやばい。
他の男子と比べ物にならないくらい割れてる。
サッカー部なら足だけじゃないの?と私は思ってた。
さっきーは足の筋肉も走ってる時凄いんです。
「……かっこいい」
「ほらやっぱり好きなんでしょ?」
「う、うるさい」
あー!照れてると言いながら笑う香菜。
香菜め、後で覚悟しとけよ。と思いながら香菜の
額にデコピンを食らわす。痛いーと言いながら
額を抑える香菜。絶対痛くないだろう。
その時、水が私の足にかかった。
「冷たっ……」
「あ、ごめん!大丈夫?」
まさかのさっきーだった。何で?
男子は反対側なのに。何で女子の方にいるの?
「ストップウォッチってある?」
「あ、タイムね」
「そう」
私が、はい!と渡すとさっきーは笑顔で
『ありがとう』と。そう答えてくれた。
さっきーの笑顔は反則だ。自然でとても可愛い。
ずるいよ。そんな笑顔向けられたら……
認めざるを得なくなるじゃんか。
「さっきーのバカ」
「えぇ?何で!?」
さっきーは驚いているが、笑顔を絶やしてない。
こういう所も、私は……好きになったのかな。
天然で可愛いところも。女子が苦手なのに
優しいところも。時々出る癒される笑顔も……
まださっきーの知らない事も沢山ある。
けど、これから分かって行きたいな。
「プールのおかげ?」
「香菜うるさい」
流石、親友には隠し事が出来ませんね。
気付かれるのは当たり前です。
多分、このプールの授業をする前から気付いてたよね
香菜はちょっと馬鹿っぽいけどそういうのには鋭い。
鋭い割に、香菜は分かりやすい。
香菜は隠し事が苦手な子だ。
「そういう香菜は?」
「いないなぁ。好きな人はまだいいや」
あははと、笑いながら私をバシバシと叩く。
嫌、香菜さん?微妙に痛いですよ?
香菜はキックボクシングを習っている。
何処なのかは良く分からない。何処だろう?
「香菜って何処でキックボクシングやってるの?」
「あれ?言わなかったっけ?」
「うん」
忘れっぽいなぁ……
誰かのお父さんがやってるとは聞いているけど。
誰の親かな良く分からない。
私は、テニスとダンスと習字を習っている。
部活には入っていないけど。
「さっきーの家だよ?」
「……え?嘘でしょ?」
「ホント。今度体験来る?」
「嫌、……考えとく」
まさかのさっきーだったと言うね。
けど、さっきーってキックボクシングと空手を
習ってるんだよね?サッカーはクラブチームでだっけ
なんか大変なんだなぁ……あ、大翔情報ね。
さっきーって忙しかったりするのかな。
「塾も行き始めたってー」
「え?さっきーが?」
「大翔言ってたじゃん」
あー、確かに騒いでたかも。
『翔が塾!?俺と遊ぶ日がなくなる……』とかね。
大翔ってああ見えてさっきー大好きだからね。
まぁ二人も親友みたいな物だし。さっきーって
男子の群れの真ん中辺りにいるけど……
それって実は男子がさっきーの所にいるだけで。
実はさっきー結構一人も好きなんだって。
まぁそういう雰囲気はあるから。
「さっきー頑張って!!」
「え……俺?」
さっきーはプールサイドの反対側から叫んだ。
叫んだのはさっきーが泳ぐ瞬間。
何か声が出ていた。
後から気づいた、何やってんだ私。
と思いながら恥ずかしがっていた。
けど、さっきーは私の気持ちを考えてくれたのか……
「……ん」
「! ふふ」
顔を背けながら、手を振ってくれた。
若干顔が赤い。
えっ、さっきーが、あのさっきーが……照れてる!?
やばい。さっきーすごい可愛い。
それより手振ってくれるなんて思わなかった。
「良かったね侑花」
「……うん」
「顔赤いぞ~?」
「静かにっ!」
私は必死に顔を隠しながら
香菜の言動を止めた。
なんか、認めて良かったのかもしれない。
今自分がこんなに嬉しいのは……
“好き” という気持ちを認めたからこそある気持ち。
手振ってもらえた。……凄い嬉しい。
他にも何かいいことあるといいなぁ。
さっきーの隣にいたい。
自分がこう思うなんて、席替えした日は絶対
そんな事思うはずないとか言ってたのに。
私の考えや思考も鈍ってきたのかもなぁ…。
けど今回、この気持ちに素直になれたのは私の嫌いな
プールのおかげ。水に感謝だね。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる