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第弐話
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閉じ込められて早一日。いい加減に騒ぐのは止めた。
どうしてこんな事になっているのか、冷静になって考えてもやっぱり分からなかった。だけどあの人にはあの人なりの目的があるのは予想出来る。
あの人の目的って一体何だろう。例えば私に恨みがあって此処に監禁しているとか、例えばあの村を滅ぼす為に私を此処に監禁している。他にも色々考えたけど、そもそも私はあの人を知らないから分からない。
(お腹空いた。)
そう言えば最後にちゃんとお腹いっぱい御飯を食べたのは何時だったっけ。毎日少しずつ食べてるけど、お腹いっぱいに食べたのって、考えてみると数える事が出来るくらいの少ない回数だった気がする。
そんな事を考えていると突然部屋の扉が開いた。
慌てて扉の方を見ると、湯気の揺らぐ料理をおぼんに乗せた暁光さんが、お行儀が悪いけど足で扉を開けて私を見ていた。
「よ。」
「あ、えっと、それは何ですか?」
「飯だよ飯。」
そう言って私の前におぼんを置いて座った。
如何したら良いのか分からず、私は料理を見続けていた。こんなに豪華な物初めて見た。
「いや見てないで食えよ。」
「え!あ、はい。」
食べて良いから持って来てくれたって事は分かるけど、良い物を自分が食べて良いのかが分からない。
食べようと手を伸ばすと暁光さんに手を掴まれた。
「お前何で手で食べようとするんだよ!!」
「え、え?」
「あ?」
「手以外で物食べた事ありません。」
私がそう言うと暁光さんは驚いた顔をしてから大きく溜め息を吐いた。そう言えば私が昨日服を脱ごうとした時も暁光さんは止めたけど、私が普段からやってきた事って普通はやらない事なのかな。
おぼんの私側にあった二本の棒を手に取ると私に持たせてくれた。それも親指と人差し指の間に。
「持ち方教えてやるから、これ使って食え。」
「あ、はい。」
結局覚えて使える様になるまで結構な時間が掛かったけど、暁光さんは最後まで私に付き合ってくれた。
全部食べ終わると、暁光さんはおぼんを持って歩いて行ってしまった。相変らず足の枷は外してくれなかった。
温かくて美味しい御飯は初めて食べた。今まで冷たくて硬くて大して美味しくない御飯しか食べて来なかったし、そもそも御飯をちゃんと食べられるってこんなに幸せな事だったんだ。
驚いた。まさか常識が一切通用しないとは思わなかった。
目の前で服脱ごうとするわ熱い料理素手で食おうとするわで、多分探せばまだまだ出てくるだろうけどな。
「あいつ今まで本当にどんな生活送ってたんだよ。」
そう疑問に思わざるを得ない。
親は如何してんだよ、何であいつにあんな悲しそうな顔させてんだよ。
「……………いや、俺が何か言えた立場じゃねぇよな。」
親でも何でもないし、別に友人って訳でもないし。そもそもあいつをあの村から助け出す機会何回もあったのに、その時にしなかった俺が悪い。俺が怠惰だったのだが悪い。
それでも社に閉じ込められた時、何とかしないとって思ったんだよな。
そっからは早かった。
村人が社から離れた瞬間に近付いて中からあいつを連れ出して、俺の住んでる此処まで連れて来た。
あいつが俺を覚えてない可能性だって勿論あった。それも覚悟で、あいつにどんな文句を言われても良いと覚悟してあいつを連れて来た。
「でも文句じゃなかったな……………」
あんなに悲しそうな顔してあんな事言われるとは流石に思ってなかったな。
どうやったら笑ってくれるか、考えても分からなかった。うん、こう言う事は俺が考えても分からない。ってな訳であいつを呼ぶか。
「雀!!雀ー!!!どうせ居るんだろ!!?」
「あいあい!!」
俺が名前を呼んだ瞬間に窓の外からひょっこりと顔を出したのは、ちょくちょく俺の家の中に入り込んでくる女、雀だ。
見た目幼いがそこそこの年齢だ。
「あんさんがあっしを呼ぶなんて珍しいっすね!」
「んな事ァどうでも良いだろ。兎に角お前に頼みたい事があるんだよ。」
「あんさんが頼み事!?明日は雪っすかね!?」
「焼き鳥にするぞ?」
「止めてくださいっす!!!」
まぁ流石に焼き鳥は冗談だ。
「俺が頼みたい事はあいつの話を聞いてやって欲しいんだ。」
「あいつ?誰っすか?」
「あいつはあいつだよ……………」
「いや、だから名前を…………」
そう言われて俺は固まった。
「すっかり忘れてた。」
「?何がっすか?」
「まぁ良いや、付いて来い。」
雀は窓の縁に手を突いて飛び上がって家の中に入ると、俺の後を付いて来た。
どうしてこんな事になっているのか、冷静になって考えてもやっぱり分からなかった。だけどあの人にはあの人なりの目的があるのは予想出来る。
あの人の目的って一体何だろう。例えば私に恨みがあって此処に監禁しているとか、例えばあの村を滅ぼす為に私を此処に監禁している。他にも色々考えたけど、そもそも私はあの人を知らないから分からない。
(お腹空いた。)
そう言えば最後にちゃんとお腹いっぱい御飯を食べたのは何時だったっけ。毎日少しずつ食べてるけど、お腹いっぱいに食べたのって、考えてみると数える事が出来るくらいの少ない回数だった気がする。
そんな事を考えていると突然部屋の扉が開いた。
慌てて扉の方を見ると、湯気の揺らぐ料理をおぼんに乗せた暁光さんが、お行儀が悪いけど足で扉を開けて私を見ていた。
「よ。」
「あ、えっと、それは何ですか?」
「飯だよ飯。」
そう言って私の前におぼんを置いて座った。
如何したら良いのか分からず、私は料理を見続けていた。こんなに豪華な物初めて見た。
「いや見てないで食えよ。」
「え!あ、はい。」
食べて良いから持って来てくれたって事は分かるけど、良い物を自分が食べて良いのかが分からない。
食べようと手を伸ばすと暁光さんに手を掴まれた。
「お前何で手で食べようとするんだよ!!」
「え、え?」
「あ?」
「手以外で物食べた事ありません。」
私がそう言うと暁光さんは驚いた顔をしてから大きく溜め息を吐いた。そう言えば私が昨日服を脱ごうとした時も暁光さんは止めたけど、私が普段からやってきた事って普通はやらない事なのかな。
おぼんの私側にあった二本の棒を手に取ると私に持たせてくれた。それも親指と人差し指の間に。
「持ち方教えてやるから、これ使って食え。」
「あ、はい。」
結局覚えて使える様になるまで結構な時間が掛かったけど、暁光さんは最後まで私に付き合ってくれた。
全部食べ終わると、暁光さんはおぼんを持って歩いて行ってしまった。相変らず足の枷は外してくれなかった。
温かくて美味しい御飯は初めて食べた。今まで冷たくて硬くて大して美味しくない御飯しか食べて来なかったし、そもそも御飯をちゃんと食べられるってこんなに幸せな事だったんだ。
驚いた。まさか常識が一切通用しないとは思わなかった。
目の前で服脱ごうとするわ熱い料理素手で食おうとするわで、多分探せばまだまだ出てくるだろうけどな。
「あいつ今まで本当にどんな生活送ってたんだよ。」
そう疑問に思わざるを得ない。
親は如何してんだよ、何であいつにあんな悲しそうな顔させてんだよ。
「……………いや、俺が何か言えた立場じゃねぇよな。」
親でも何でもないし、別に友人って訳でもないし。そもそもあいつをあの村から助け出す機会何回もあったのに、その時にしなかった俺が悪い。俺が怠惰だったのだが悪い。
それでも社に閉じ込められた時、何とかしないとって思ったんだよな。
そっからは早かった。
村人が社から離れた瞬間に近付いて中からあいつを連れ出して、俺の住んでる此処まで連れて来た。
あいつが俺を覚えてない可能性だって勿論あった。それも覚悟で、あいつにどんな文句を言われても良いと覚悟してあいつを連れて来た。
「でも文句じゃなかったな……………」
あんなに悲しそうな顔してあんな事言われるとは流石に思ってなかったな。
どうやったら笑ってくれるか、考えても分からなかった。うん、こう言う事は俺が考えても分からない。ってな訳であいつを呼ぶか。
「雀!!雀ー!!!どうせ居るんだろ!!?」
「あいあい!!」
俺が名前を呼んだ瞬間に窓の外からひょっこりと顔を出したのは、ちょくちょく俺の家の中に入り込んでくる女、雀だ。
見た目幼いがそこそこの年齢だ。
「あんさんがあっしを呼ぶなんて珍しいっすね!」
「んな事ァどうでも良いだろ。兎に角お前に頼みたい事があるんだよ。」
「あんさんが頼み事!?明日は雪っすかね!?」
「焼き鳥にするぞ?」
「止めてくださいっす!!!」
まぁ流石に焼き鳥は冗談だ。
「俺が頼みたい事はあいつの話を聞いてやって欲しいんだ。」
「あいつ?誰っすか?」
「あいつはあいつだよ……………」
「いや、だから名前を…………」
そう言われて俺は固まった。
「すっかり忘れてた。」
「?何がっすか?」
「まぁ良いや、付いて来い。」
雀は窓の縁に手を突いて飛び上がって家の中に入ると、俺の後を付いて来た。
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