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第弐拾六話
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また時間が流れて、今度は段々と暑くなってきた。夏がもうすぐやってくる。
別に夏は嫌いじゃないけど、極力家の外には出るなって暁光さんに言われた。私の体質が問題らしいけど、あまりよく分からない。
家の中で一人のんびりしていたけど、やっぱり一人だと暇だよ。今日も暁光さんはお出掛けでいない。暁光さんのお出掛け先って何処なんだろう。
と、少し気になったので暁光さんから直接聞いてみる事にした。
「あの、暁光さん。」
「如何した氷柱?」
「暁光さんってよくお出掛けしますけど、基本的には何処に行ってるんですか?」
そんな事聞いてこないと思っていたのか、暁光さんは驚いた顔をして、そして少しばつが悪そうに視線を逸らした。あれ、もしかして聞いちゃいけない事だったのかな。
私が首を傾げていると、暁光さんは困った表情のまま私を見た。
「お前の住んでた村。」
「え?」
如何してそんな所に。
「いや、ちょっと、お前には悪いとは思ってるけど、お前の事が色々気になって…………」
そう言えば何だかんだ暁光さんと一緒にいたけど、私は自分の事を暁光さんには離していないし、暁光さんの事も聞いてなかった。気になるのは当たり前かもしれない。
「あの、それで何かあったんですか?」
「お前の村って、まだあの言い伝え残ってんのか?」
「言い伝え…………」
災厄が起きたら異形の子を生贄に捧げると言う言い伝え。
「あります。」
「まだあるのかよ。人が死んで入れ替わっても、そう言うのって残るんだな。」
「?暁光さん、一体何時からいるんですか?」
「もうずっと昔。お前の爺ちゃんよりもずっと俺は長生きなんだよ。」
私のお爺さんの事は何も知らないけど、暁光さんの見た目は全然老いていない。そんな人に長生きと言われても、正直説得力と言うか、何と言うかが無い。
「あの、それでその言い伝えがどうかしたんですか?」
「あそこにまだ厄神がずっと居たからだよ。」
「厄神?」
「厄しか招かない神の事だよ。あの村には厄神が住み付いてんだ。」
「え、でも村には守り神様が……………」
「あそこにゃもう守り神は居ねぇよ。」
「え。」
前に村にあるお社に村の人達全員がお祈りしていて、私一人がしていなかったのを見て大激怒していた事があったけど。其れなら村の人達は一体何にお祈りしていたの?村の人達の祈りの意味は何だったの?
「兎に角だ、お前は絶対に村には行くな。」
「この見た目ですからね。」
誰がどう見ても異形と答えるであろう、この見た目。もしも災厄が起きた時に私がいたなら確実に生贄に出される。
「それにしても、守り神様は一体何だったんですかね。」
「………………………」
「あの村には最初は居たんですかね。」
「………………………」
「?暁光さん?」
「なぁ氷柱、お前の質問に答えてやるよ。」
「え?」
「あの村の元々の、本当の守り神ってのは俺なんだ。」
「え?」
暁光さんが守り神?
「事の発端は社を新しく、ついでに村の中に移動するのが目的だったんだろうけど、あいつ等馬鹿でよ、新しくする時はどっかしらに前の社の木材入れなきゃいけないんだよ。それなのに全部新しい物で作ったせいで俺はそっちに移動出来なかった。だけど其の代わりにあの空っぽの社には厄神が住み付いたんだ。」
「そうだったんですか。」
じゃあ、私が一緒にいた暁光さんは本当は凄い人だったんだ。
「じゃああれですか、暁光さんじゃなくて暁光様の方が……………」
「いや、其れ何か距離があるから嫌だ。暁光さんで良い、本当は呼び捨てが良いけど。」
凄く困った様子の暁光さんを見てついつい笑ってしまった。
そんな生活が終わったのは、思っていたよりも早かった。
別に夏は嫌いじゃないけど、極力家の外には出るなって暁光さんに言われた。私の体質が問題らしいけど、あまりよく分からない。
家の中で一人のんびりしていたけど、やっぱり一人だと暇だよ。今日も暁光さんはお出掛けでいない。暁光さんのお出掛け先って何処なんだろう。
と、少し気になったので暁光さんから直接聞いてみる事にした。
「あの、暁光さん。」
「如何した氷柱?」
「暁光さんってよくお出掛けしますけど、基本的には何処に行ってるんですか?」
そんな事聞いてこないと思っていたのか、暁光さんは驚いた顔をして、そして少しばつが悪そうに視線を逸らした。あれ、もしかして聞いちゃいけない事だったのかな。
私が首を傾げていると、暁光さんは困った表情のまま私を見た。
「お前の住んでた村。」
「え?」
如何してそんな所に。
「いや、ちょっと、お前には悪いとは思ってるけど、お前の事が色々気になって…………」
そう言えば何だかんだ暁光さんと一緒にいたけど、私は自分の事を暁光さんには離していないし、暁光さんの事も聞いてなかった。気になるのは当たり前かもしれない。
「あの、それで何かあったんですか?」
「お前の村って、まだあの言い伝え残ってんのか?」
「言い伝え…………」
災厄が起きたら異形の子を生贄に捧げると言う言い伝え。
「あります。」
「まだあるのかよ。人が死んで入れ替わっても、そう言うのって残るんだな。」
「?暁光さん、一体何時からいるんですか?」
「もうずっと昔。お前の爺ちゃんよりもずっと俺は長生きなんだよ。」
私のお爺さんの事は何も知らないけど、暁光さんの見た目は全然老いていない。そんな人に長生きと言われても、正直説得力と言うか、何と言うかが無い。
「あの、それでその言い伝えがどうかしたんですか?」
「あそこにまだ厄神がずっと居たからだよ。」
「厄神?」
「厄しか招かない神の事だよ。あの村には厄神が住み付いてんだ。」
「え、でも村には守り神様が……………」
「あそこにゃもう守り神は居ねぇよ。」
「え。」
前に村にあるお社に村の人達全員がお祈りしていて、私一人がしていなかったのを見て大激怒していた事があったけど。其れなら村の人達は一体何にお祈りしていたの?村の人達の祈りの意味は何だったの?
「兎に角だ、お前は絶対に村には行くな。」
「この見た目ですからね。」
誰がどう見ても異形と答えるであろう、この見た目。もしも災厄が起きた時に私がいたなら確実に生贄に出される。
「それにしても、守り神様は一体何だったんですかね。」
「………………………」
「あの村には最初は居たんですかね。」
「………………………」
「?暁光さん?」
「なぁ氷柱、お前の質問に答えてやるよ。」
「え?」
「あの村の元々の、本当の守り神ってのは俺なんだ。」
「え?」
暁光さんが守り神?
「事の発端は社を新しく、ついでに村の中に移動するのが目的だったんだろうけど、あいつ等馬鹿でよ、新しくする時はどっかしらに前の社の木材入れなきゃいけないんだよ。それなのに全部新しい物で作ったせいで俺はそっちに移動出来なかった。だけど其の代わりにあの空っぽの社には厄神が住み付いたんだ。」
「そうだったんですか。」
じゃあ、私が一緒にいた暁光さんは本当は凄い人だったんだ。
「じゃああれですか、暁光さんじゃなくて暁光様の方が……………」
「いや、其れ何か距離があるから嫌だ。暁光さんで良い、本当は呼び捨てが良いけど。」
凄く困った様子の暁光さんを見てついつい笑ってしまった。
そんな生活が終わったのは、思っていたよりも早かった。
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