朝餉添えの贄

琴里 美海

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第弐拾七話

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 其れは偶然私が暁光さんの家の外に出ていた時。多分狩りか何かに来ていた村の人が結構奥まで入って来て、丁度家の外に出ていた私を見付けてしまった。

「お前、その姿、塵芥か?」
「あ…………」

 一気に血の気が引いた。頭が冷えるのがすぐに分かった。
 私は慌てて走って村の人から逃げた。だけど相手は大人、それに山や森には慣れているらしく、すぐに私に追い付いて腕を掴まれてしまった。

「は、離して!!」
「お前のせいか?」
「え?」

 私のせいって一体何の事?

「今村で起こっている災厄はお前のせいか?」
「ど、どう言う……………」
「お前が生きていながら守り神様にお祈りをしなかったから!!」
「ち、違っ!!」

 あの村に居るのは守り神様なんかじゃない、厄を招く厄神様しかいない。だけど私がそんな事を言った所で村の人は聞いてくれない。それどころか「何を罰当たりな!!」と言って顔を叩いて一切話を聞いてくれない。
 村の人はすぐに私の引っ張って村に帰ろうとした。

「止めて!!」

 帰っても生贄にされるだけ。そんなの嫌。
 必死に振り解こうとするけどガッチリと掴まれているせいで逃げられない。
 もう駄目と思った時だった。

「氷柱?」

 暁光さんの声が聞こえてきた。
 慌てて横を見ると、木の実を採りに行っていた暁光さんが帰って来ていた。

「何だよお前……………」
「暁光さん!!」

 怖いと言う気持ちと、暁光さんが帰って来たと言う安心感で私はつい泣いてしまった。
 その涙を見てなのかは分からないけど、暁光さんは今まで見たい事が無いくらいの凄い形相をした。

「暁光さん?」

 私が名前を呼んだその瞬間、暁光さんの後ろから凄い勢いの炎が発生した。

「!?」
「何だこの炎は!!まさかお前が災厄の原因か!?」
「煩ェよ人間が。今すぐに氷柱から手ェ離せ。」

 炎が一気にこっちに来ると私は怖くて動けなかった。
 炎は私には当たらない様に動いたけど、このままだと村の人が殺される。その思った瞬間、突然凄い風が吹いて炎が消えた。

「!?」
「誰だ手前ェ!!」

 私の後ろを見て暁光さんはそう言うと、私はすぐに後ろを向いた。其処には真っ黒い髪と服をした、男の人にしては少し長い髪の人が立っていた。

「お初にお目にかかります、私は鴉と言います。あの村の守り神をしています。」
「神様!!おぉお助けください!!」
「えぇ勿論。」

 鴉と名乗ったその人が暁光さんに手を向けると、突然凄い風が吹いて暁光さんを吹き飛ばした。

「暁光さん!!!」
「あぁ、貴方はどうやら妖術を掛けられたみたいですね。」
「そ!!そんな事されていません!!」
「貴方はその子を連れて村にお戻りください。」
「あぁ。」
「や!!離して!!暁光さん!!!暁光さん!!!!」

 私が名前を呼ぶと暁光さんはすぐに起き上がって私の所へ来ようとしてくれたけど、また突然の強風が吹いて暁光さんを吹き飛ばしてしまった。
 結局そのまま村に連れて行かれてしまった。
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