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最終話
しおりを挟むその後のお話を少しだけします。
鴉さんがいなくなり、災厄が終わって村の人達は喜んでいました。ですが、皆掌を返す様に態度を変えました。それに怒った暁光さんは静かに、でも凄く怒った様子で村の人達にこう言いました。
「あのな、俺はそうやって簡単に態度変えてくる奴は嫌いなんだよ。ついでに言うと俺はもうこの村に戻るつもりは無いからな。せいぜいあの社に面倒な奴が来ない様に頑張る事だな。」
そう言って私を連れて村を出て行きました。
「と、何だかんだそんな事がありましたね。」
「そうだな。」
雀さんも鳩さんも情報屋のお仕事で暫く遠くの方へ行くらしく、今日から暫くの間会えないらしい。
鶴さんは鶴さんで、気が向いた時に、気が向いた方へ行くらしく、いつかまた来るらしいです。
だから暫くの間は、本当に暁光さんと二人きり。
二人きりだけど、昔結構な間二人きりで過ごしていたから、暁光さんが基本的にどんな生活を送っているのかは分かっている。
そう言えば、昔の事を思い出した時暁光さんに凄い質問攻めにされたな。それはもう、凄く嬉しそうに笑いながら聞いて来たっけ。
「あの、暁光さん、どうしてこんなに綺麗な服。」
「良いだろ、ここ数日の事で大分ボロボロになってたし。」
そう言って慣れた手付きで服を着せてくれた。
「私は別に、裾が解れていても気にしませんよ。」
「俺が気にすんだ!!」
「え。」
と言うより、私から見れば前のあの服だってまだ全然ボロボロなんかじゃないし、まだまだ着れたと思うのに。正直結構勿体無い。
「これで良し。」
そう言って私の背中を軽く叩いた。
「まぁまた解れたりしたら言えよ、すぐ直すか新しいの出してやるから。」
「い、いえ良いですよ。」
「遠慮すんなって。また一緒に暮らすんだから。」
もしもまた離れなければいけない様な事が起きない限り、私は絶対に暁光さんの所からは出て行かない。と言うか、多分暁光さんが離してくれない。
何があっても離してくれない事が、最初は嫌だったのに、知らない内にこんなにも嬉しい事になっていた。
「暁光さん。」
「あ?」
私はその場に正座して頭を下げた。
「不束者ですが、どうぞ宜しくお願いします。」
「な!!お前何処でそんな言葉!!!」
「鶴さんが教えてくれました。」
「あいつ!!」
あれ、使い方可笑しかったかな。
「いや、お前、何つーかその………………雰囲気が……………」
「?」
何だろう、私何か可笑しな所があったのかな?
暫く困った様子で視線を逸らしていたけど、暁光さんは笑って私を見た。
「俺も大して凄い奴じゃねぇけど。」
いや、神様じゃないですか。凄い人じゃないですか。
「まぁ何だ、不束者同士、宜しくな。」
そう言って私の頭を撫でてくれた。それが嬉しくて、私は笑った。
何時か私が死んでも、幽霊になっても暁光さんの傍に居る事を誓います。
なんて事は流石に恥ずかしくて言えないので、私は口を閉じました。
だけど、この気持ちに嘘偽りは一切ありません。
ずっと、ずっと、暁光さんの傍にいます。
それだけで幸せです。
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