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第参拾八話
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「そうですね、私は氷柱さんを、貴方は心臓を、と言うのはどうでしょうか。」
「!!?」
「あ?」
「暁光!!氷柱さーん!!」
雀さんの声が聞こえて顔を上げると、雀さん達三人が走って来ていた。
「あああああああ!!!鴉っす!!!」
「力取り戻した暁光相手に勝てないって悟って、今度は人質か。卑怯って言うかなんていうか。」
「卑怯ではなく巧みと言ってください。それにこんな事はどんな方でも行う事ですよ。さて暁光さん、如何しますか?別に貴方の心臓じゃなくても構いませんよ?」
「何と言う条件を……………」
「最低っす!!」
「幾ら暁光でも死なないにしても結構長い期間動けなくなるっての。」
「………………………」
暁光さんは特に困った様子も無く、だけど真剣に何かを考えている様子だった。
「暁光さん?」
私が声を掛けても暁光さんは反応してくれなかった。
「なぁ、一つ質問するぞ?」
「はい、何ですか?」
「別に俺のじゃなくても良いんだよな?」
「えぇ。貴方のでも、そちらの貴方のお仲間でも、あの村の人間の物でも構いませんよ。」
「そうかい、良かった。」
さっきまで鴉さんの方が不敵な笑みを浮かべていたけど、今度は暁光さんの方がニタリと笑った。其れを見て鴉さんは驚いた顔をした。
一瞬。
ほんの一瞬何かが横を通り過ぎた。その変わり暁光さんの姿が無かった。
「………………は?」
私は鴉さんを見上げると、其の左胸に薄らと血が見えた。
私は慌てて鴉さんから離れて後ろを見ると、暁光さんが立っていた。
「な、何、が……………」
鴉さんは左胸を押さえながら後ろを見ると、暁光さんは大きく溜め息を吐いてから振り返った。その手にはまだ脈打つ心臓が握られていた。
「あ、あぁ……………!!」
「別に誰のでも良いんだろ?」
「ああああああああああああああああああああああ!!!」
鴉さんから変な音が聞こえると、バラバラと羽根が散り、鴉さんの姿が消えて行った。
「え、え!?」
暁光さんに引き寄せられると、もう其の手には心臓は無かった。
「ぎょ、暁光さん……………」
「殺しちゃいねぇよ。」
羽根が落ちるのが止まると、其処には一羽の普通の烏がちょこんと立っていた。
「別に俺は殺生は好きじゃねぇんだよ。だから、妖怪の力だけを引っこ抜いただけだ。」
「じゃあ、この子が鴉さん?」
「そう言うこった、まぁ今は唯の普通の烏だけどな。」
元鴉さんは羽をはばたかせて何処かに飛んで行ってしまった。
「行っちゃった。」
「氷柱さーん!!!」
「わっ!!」
雀さんが飛び付いて来ると前に倒れそうになったけど、暁光さんが支えてくれた。それから雀さんは暁光さんに引っ張られた。
「よぉ雀、氷柱が転んだらどうするつもりだ、あぁ!?」
「だから何でそんなに怒るんっすか!!」
「煩ェ!!!」
「これはあれですかね姐御。」
「そうじゃのう、一件落着と言うやつじゃ。」
そんな周りの人達のやり取りを見て、私はついつい笑ってしまった。
「!!?」
「あ?」
「暁光!!氷柱さーん!!」
雀さんの声が聞こえて顔を上げると、雀さん達三人が走って来ていた。
「あああああああ!!!鴉っす!!!」
「力取り戻した暁光相手に勝てないって悟って、今度は人質か。卑怯って言うかなんていうか。」
「卑怯ではなく巧みと言ってください。それにこんな事はどんな方でも行う事ですよ。さて暁光さん、如何しますか?別に貴方の心臓じゃなくても構いませんよ?」
「何と言う条件を……………」
「最低っす!!」
「幾ら暁光でも死なないにしても結構長い期間動けなくなるっての。」
「………………………」
暁光さんは特に困った様子も無く、だけど真剣に何かを考えている様子だった。
「暁光さん?」
私が声を掛けても暁光さんは反応してくれなかった。
「なぁ、一つ質問するぞ?」
「はい、何ですか?」
「別に俺のじゃなくても良いんだよな?」
「えぇ。貴方のでも、そちらの貴方のお仲間でも、あの村の人間の物でも構いませんよ。」
「そうかい、良かった。」
さっきまで鴉さんの方が不敵な笑みを浮かべていたけど、今度は暁光さんの方がニタリと笑った。其れを見て鴉さんは驚いた顔をした。
一瞬。
ほんの一瞬何かが横を通り過ぎた。その変わり暁光さんの姿が無かった。
「………………は?」
私は鴉さんを見上げると、其の左胸に薄らと血が見えた。
私は慌てて鴉さんから離れて後ろを見ると、暁光さんが立っていた。
「な、何、が……………」
鴉さんは左胸を押さえながら後ろを見ると、暁光さんは大きく溜め息を吐いてから振り返った。その手にはまだ脈打つ心臓が握られていた。
「あ、あぁ……………!!」
「別に誰のでも良いんだろ?」
「ああああああああああああああああああああああ!!!」
鴉さんから変な音が聞こえると、バラバラと羽根が散り、鴉さんの姿が消えて行った。
「え、え!?」
暁光さんに引き寄せられると、もう其の手には心臓は無かった。
「ぎょ、暁光さん……………」
「殺しちゃいねぇよ。」
羽根が落ちるのが止まると、其処には一羽の普通の烏がちょこんと立っていた。
「別に俺は殺生は好きじゃねぇんだよ。だから、妖怪の力だけを引っこ抜いただけだ。」
「じゃあ、この子が鴉さん?」
「そう言うこった、まぁ今は唯の普通の烏だけどな。」
元鴉さんは羽をはばたかせて何処かに飛んで行ってしまった。
「行っちゃった。」
「氷柱さーん!!!」
「わっ!!」
雀さんが飛び付いて来ると前に倒れそうになったけど、暁光さんが支えてくれた。それから雀さんは暁光さんに引っ張られた。
「よぉ雀、氷柱が転んだらどうするつもりだ、あぁ!?」
「だから何でそんなに怒るんっすか!!」
「煩ェ!!!」
「これはあれですかね姐御。」
「そうじゃのう、一件落着と言うやつじゃ。」
そんな周りの人達のやり取りを見て、私はついつい笑ってしまった。
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