朝餉添えの贄

琴里 美海

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第参拾七話

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 少し前、暁光さんが鴉さんを追って何処かへ行ってしまった後、村の人達が私達の所へ武器を持ってやって来た。それに対して雀さんは驚いた声を上げつつも、容赦無く村の人達を倒していっていた。

「まぁ人間相手に雀は負けないしな。」
「鳥の姿の時は随分と愛らしいのにのう、いざ人になるとこうも戦えるから驚きじゃ。」
「あんさん達手伝ってくれても良いじゃないっすか!!」
「ご、ごめんなさい。」
「氷柱さんじゃないっす!!氷柱さんにそんな無理させたくないっす!!」

 村の人達が向かって来るのを止めると、雀さんは大分疲れた様子だった。

「雀さん、大丈夫ですか?」
「つ、疲れたっす、もう、動けないっす…………」
「とか何だとか言いながら、好物前に出された凄い速さで動くんだよな。」
「鳩は少しくらいは動いてほしいっす!!」
「じゃあ穀物寄こせ。」
「持って無いっすよ!!」

 そんな話をいていると、突然何処かから沢山の烏が飛んで来て私達に向かって来た。

「え。」
「氷柱さん!!」

 一直線に私に向かって来ると、鶴さんが私を引き寄せて守ってくれた。

「鶴さん!!」
「鴉の意地も大概にしてもらいたいのう、余程そなたが気に入った様じゃ。」

 また人に迷惑を掛けちゃう。

「!!鶴さん!!」
「!?」

 後ろから飛んで来た烏が鶴さんの首に刺さると、鶴さんはすぐに引き抜いたけどその場に蹲った。

「姉さん!!」
「姐御!!」

 鶴さんは傷口に手を当てて傷を治しているけど、傷は大分深そうだった。

「!!」

 突然体がふわりと浮いたと思った時には、一気に上空まで連れて行かれていた。

「氷柱さん!!」

 雀さんはすぐに飛び上がろうとしたけど、烏が一斉に雀さん達に向かって行った。
 もう村から離され、結構な距離が出てしまった。

「何処に連れて行くんですか!?」

 と声を掛けても、そもそも聞こえていないのか何の反応もしてくれなかった。と言うより、普通の鳥とお話しって出来るのかな?
 そんな事を考えている間にもどんどん村から離された。

「氷柱!!」
「え?」

 暁光さんの声が聞こえて下を見ると、暁光さんと鴉さんがいた。鴉さんの方が大分怪我をしていた。
 烏は一気に降下して鴉さんの前に降ろされた。
 鴉さんに腕を掴まれると腕を後ろで縛られてしまった。

「ああああああああ!!!手前ェゴラァ!!!」

 暁光さんは鴉さんを指差していた。その指は、と言うよりも腕がガタガタと動いていて、怒りを露わにしていた。

「氷柱から手ェ離せ!!!」
「離すとお思いで?」
「チッ!!」

 暁光さんは腕を降ろして鴉さんを睨んだ。

「んで?どうせ用件か何かがあるんだろ?何だよ。」
「流石よくお分かりで。そうですね何にしましょうか。」

 そう言って不敵な笑みを浮かべる鴉さんを見て嫌な予感がした。

「暁光さん!!私の事は気にしないでください!!」
「あぁ!?お前の事気にしないとか無理だから!!」

 いや、そう言う意味じゃなくてですね。と言った所で暁光さんが分かってくれるとは思わないので口を閉じた。

「そうですね、交換しましょうか。」
「何をだよ。」

「そうですね、私は氷柱さんを、貴方は心臓を、と言うのはどうでしょうか。」
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