36 / 39
第参拾六話
しおりを挟む
本当だったらいろんな事を言いたい。
お前がいなかった間、俺がどんだけお前の事を考えていたのかって事を伝えたい。だけど今はそれは置いておこう。
俺が近付くと鴉は立ち上がって俺に向かって手を振って強風を起こした。
若干飛ばされそうになったが、すぐに地面に足を突き刺して堪えた。
「そんな事をして大丈夫ですか!?」
目の前に一瞬で鴉が来ると、俺は鴉の服を掴んで思い切り投げ飛ばした。
足元で爆発を起こして足を引っこ抜くと、さっき投げ飛ばした鴉の後を追った。
鴉に追い付くともう一回服を掴んで更に投げ飛ばした。
「さて、と。此処まで来りゃ良いだろ。」
もう何も無い森の中までやって来た。
「んじゃま、そろそろ本気でやるとするか。」
「今まで本気じゃなかったと?」
「まぁな。」
「!!」
結構な距離を一瞬で移動して鴉の顔に思い切り膝をめり込ませると、鴉は盛大に吹っ飛んだ。
そのまま鴉の真横に立つと、思い切り腕を振って鴉の着地点で爆発を起こした。
「ガッ!!!」
鴉は俺に向けて腕を振ると、先が随分と鋭い羽根が幾つも飛んで来た。
正直真横にいたせいで避けられないが、そもそも氷柱が思い出してくれたお陰で力が戻った今なら避ける必要が無い。
羽根は俺に当たる事無く弾かれて地面に落ちた。
「なっ!!」
「ったくよぉ、正直俺は戦闘ってのは得意じゃねぇんだよ。」
本当は人間に気付かれずに、唯悠然と飛んで人間のその行いを見続けたいだけ。人間共があれこれ勝手に俺の事言ってくるだけ。
本当は守り神なんてこっちから願い下げだった。だから俺は元々住んでいた社から出てあの家でひっそりと暮らしていた。
だけど、ある日氷柱が現れて、出会って、それからは氷柱の為なら何でもしようと思った。
簡単に折れる冬に現れる氷柱の様に、あいつは何時も弱々しくて折れてしまいそうで。だから俺はそんなあいつを守るって決めたんだ。あの村の事とか、鴉とか、正直どうでも良いとすら思ってる。
「だけどな、氷柱に手ェ出すってんなら話は別なんだよ。」
俺が力を入れると足元から大量の炎が出てきた。
「あ、貴方は一体何者なんですか………………」
「俺?まぁあいつ等だって一応は分かってるだろうけど、そういや本当の名前は言った事無かったな。俺は『鳳凰』。不死鳥だ。」
「なっ!!」
不死鳥はそう簡単にゃ死なない。
そう、だからそもそも俺に喧嘩を売った時点で、こいつの勝ちなんてもんは最初っから存在してないんだよ。
「…………………でしたら、少々卑怯な手を使わせていただきますかね。」
「あ?」
鴉が手を上げると村の方で大量の鳥の鳴き声がした。
俺が村の方を向くと鴉が殴り掛かって来たが、其の手を掴んで思い切り投げ飛ばした。
「何だよ、今の声。」
「そろそろですよ、少々お待ち下さい。」
「あ?」
一瞬で空が暗くなると天変地異でも起きたかと思ったがそうじゃない、空を覆い尽くす程の大量の烏が飛んでいた。そしてそんな黒の中で一際目立つ白を見付けた。
「氷柱!!!」
お前がいなかった間、俺がどんだけお前の事を考えていたのかって事を伝えたい。だけど今はそれは置いておこう。
俺が近付くと鴉は立ち上がって俺に向かって手を振って強風を起こした。
若干飛ばされそうになったが、すぐに地面に足を突き刺して堪えた。
「そんな事をして大丈夫ですか!?」
目の前に一瞬で鴉が来ると、俺は鴉の服を掴んで思い切り投げ飛ばした。
足元で爆発を起こして足を引っこ抜くと、さっき投げ飛ばした鴉の後を追った。
鴉に追い付くともう一回服を掴んで更に投げ飛ばした。
「さて、と。此処まで来りゃ良いだろ。」
もう何も無い森の中までやって来た。
「んじゃま、そろそろ本気でやるとするか。」
「今まで本気じゃなかったと?」
「まぁな。」
「!!」
結構な距離を一瞬で移動して鴉の顔に思い切り膝をめり込ませると、鴉は盛大に吹っ飛んだ。
そのまま鴉の真横に立つと、思い切り腕を振って鴉の着地点で爆発を起こした。
「ガッ!!!」
鴉は俺に向けて腕を振ると、先が随分と鋭い羽根が幾つも飛んで来た。
正直真横にいたせいで避けられないが、そもそも氷柱が思い出してくれたお陰で力が戻った今なら避ける必要が無い。
羽根は俺に当たる事無く弾かれて地面に落ちた。
「なっ!!」
「ったくよぉ、正直俺は戦闘ってのは得意じゃねぇんだよ。」
本当は人間に気付かれずに、唯悠然と飛んで人間のその行いを見続けたいだけ。人間共があれこれ勝手に俺の事言ってくるだけ。
本当は守り神なんてこっちから願い下げだった。だから俺は元々住んでいた社から出てあの家でひっそりと暮らしていた。
だけど、ある日氷柱が現れて、出会って、それからは氷柱の為なら何でもしようと思った。
簡単に折れる冬に現れる氷柱の様に、あいつは何時も弱々しくて折れてしまいそうで。だから俺はそんなあいつを守るって決めたんだ。あの村の事とか、鴉とか、正直どうでも良いとすら思ってる。
「だけどな、氷柱に手ェ出すってんなら話は別なんだよ。」
俺が力を入れると足元から大量の炎が出てきた。
「あ、貴方は一体何者なんですか………………」
「俺?まぁあいつ等だって一応は分かってるだろうけど、そういや本当の名前は言った事無かったな。俺は『鳳凰』。不死鳥だ。」
「なっ!!」
不死鳥はそう簡単にゃ死なない。
そう、だからそもそも俺に喧嘩を売った時点で、こいつの勝ちなんてもんは最初っから存在してないんだよ。
「…………………でしたら、少々卑怯な手を使わせていただきますかね。」
「あ?」
鴉が手を上げると村の方で大量の鳥の鳴き声がした。
俺が村の方を向くと鴉が殴り掛かって来たが、其の手を掴んで思い切り投げ飛ばした。
「何だよ、今の声。」
「そろそろですよ、少々お待ち下さい。」
「あ?」
一瞬で空が暗くなると天変地異でも起きたかと思ったがそうじゃない、空を覆い尽くす程の大量の烏が飛んでいた。そしてそんな黒の中で一際目立つ白を見付けた。
「氷柱!!!」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる