9 / 49
Ⅱ Proficiency
2-2 遊興
しおりを挟む
大魔術師アルバトロス生誕の地で知られるマレストリ王国は、三方を海に囲まれた半島という土地的特性から、つい半年ほど前に唯一の隣接国であるウルマ帝国から宣戦布告を受けるまで、近年至って平和な国として順調に発展を繰り返してきた。
半島の持つ交易面での短所も大規模転移呪文の発明と共に解消され、今や経済的、社会システム的に先進国と呼んで差し支えない王国は、旅行場所や隠居先となる事も多い恵まれた国と言えた。
そして、王宮や騎士団本部のある国の中心部、ソラニア市とその周辺も、当然のように観光名所や娯楽施設を数多く有した活気のある街となっている。
「いやー、やっぱり映像娯楽はアクションに限るねー。あのでっかいスクリーンでわざわざラブストーリーとか見る奴の神経がわかんないよ」
平日の昼過ぎ、人通りの多い道の上、赤髪の若い女がパンフレットを片手に呟く。
「俺からすれば、この時代は見るもの全てが映像娯楽のようなものだがな」
言葉を返したのは、肩が触れ合うほどの近さ、恋人の距離で隣に並んだ黒髪の男。
「で、次はどこ行く? アルバは行きたいとことかないの?」
「特にはない。強いて言うなら、あのビルにでも引っ込んでいた方がいいだろう」
並んだ男女はアルバトロスとアンナの二人、近過ぎる距離は護衛と要人の距離だった。
アルバトロスは白いローブではなく現代風の服装を身に着け、アンナもまたスーツや戦闘用の装束ではなく自らの私服を纏った自然体の姿。
「もう、なんでアルバはそんなに乗り気じゃないの?」
「むしろ、なんでお前がそんなに乗り気なのかが不思議だ。外になど出ずに篭城を決め込んでいた方が護衛としては楽なはずだが」
「だって、ずっと引きこもってても退屈でしょ。せっかく時間が空いてるんだから、遊ばなくっちゃ損じゃん」
「そうか」
視線を向けず、興味を見せないアルバトロスに、アンナが頬を膨らませて前に回り込む。
「それより、外では護衛とか口にしちゃ駄目って言ったでしょ。あと、私の事はちゃんとアンナって呼ばないと恋人に見えないじゃん」
「前者については非を認めない事もないが、後者は拒絶しただろう。この姿ならまず俺が誰だかわかる事はないし、それで気付かれる相手ならば拙い恋人の演技などで誤魔化せるわけがない」
「それはそうだけど……じゃあ、恋人ごっこはいいから名前で呼んでよ」
「遊びだったと認めるのか。潔いが、嫌だ」
覗き込むようなアンナから視線を逸らし、きっぱりと拒絶する。
「えーっ、なんでー。私だってそっちの要望に答えてアルバって呼んでるんだから、アルバだって私の事アンナって呼んでくれてもいいじゃん」
「お前に呼び名を指図した覚えはない。それに、人の話を盗み聞きするような相手と必要以上に親しく付き合っていくつもりもない」
「げっ、また口滑らせた? でもでも、あれは仕方ないじゃん、一応あの時から、もう私が護衛任されてたんだからっ」
更に顔の前に回り込んだアンナの必死の弁解を遮るように、アルバトロスは顔の前に開いた観光ガイド本を持ってくる。
「そうだな、どうしても籠っているのが嫌だというなら、この俺の記念館とやらにでも行ってみる事にしよう」
「話聞いてないしっ! というか、記念館? プライドとか高くなさそうだと思ってたんだけど、アルバってそういうの好きなタイプだったの?」
「讃えられるのは嫌いではない。それに、千年後の世の中で自分について語り継がれているとなれば、それがどういったものか気になるのは当然だ」
「あー、まぁ、それもそっか。うん、じゃあいいよ、行こっか」
衝立代わりのガイド本を掻っ攫うと、アンナは体の向きを反転させる。
「アルバトロス記念館なら、こっちの方に歩いてすぐのとこに――」
羽の生えたような軽い足取りは、しかし一歩を踏み出したところで止まった。
「楽しそうですね、アンナさん」
「げっ……ロシ。こんなところで何してんの?」
一気にあからさまにうんざりした顔へと変わったアンナと対照的に、いつの間にか向かい合う形でそこにいた藍色の髪の青年は涼やかな笑みを浮かべる。
「何、と言われましても……ただ移動していただけですが」
ロシと呼ばれた青年が、視線を隣のアルバトロスへと移す。
「そちらの男性とデートですか。羨ましいですね」
「それほどいいものでもない」
口を開きかけたアンナよりも早く、ロシの言葉にはアルバトロスが返す。
「おや。だそうですよ、アンナさん」
「わざわざ報告せんでいいわ。あんただって、これがどういう状況かわかってんでしょ」
「要は、護衛にかこつけて遊んでるんですよね?」
「そーいう事。そっちも仕事中なんだから、油売ってないでさっさと行け」
「言われなくても。ティアさんに怒られるのは嫌……でもないですけど、色々と面倒な事もありますからね」
ロシが軽く手を振って去っていくよりも先に、すでにアンナは前へと一歩を踏み出していた。
「あれは?」
「ロシ・キルギス。王国騎士団の団長補佐、実質的には副団長みたいなものかな」
慌てるでもなく着いて来たアルバトロスの問いに簡潔に返し、アンナは隣に視線を移す。
「アルバは、あいつの事知ってるんじゃないの?」
「継承された記憶の中に、という意味なら、たしかにそうだ。だが、元から用意された記憶よりも自ら見聞きした知識の方が信用できるのもまた確かだろう。どこから触れるべきかすらわからない一般常識の把握には、この記憶も重宝するが」
「アーチライトの記憶、かぁ。私はそっちの方も気になるかな」
どこか意味あり気に視線を上に移したアンナに、しかし追及の言葉は掛からない。
「さて、どうやらここのようだな。随分と立派な建物だ」
アルバトロスの見上げた先、当人の名が記された巨大な看板とその後ろにある白く巨大な建造物に、アンナも慌ててその足を止めた。
「改めて見ると結構すごいねー。私も入るのは初めてだからちょっと楽しみかも」
「こういった場所を楽しむような性格には見えないが」
「まぁ普通は、ね。でも、奉られてる張本人が一緒ならきっと楽しいでしょ」
屈託のない笑顔を浮かべるアンナと足並みを揃え、アルバトロスは城を象った記念館へと向かっていった。
半島の持つ交易面での短所も大規模転移呪文の発明と共に解消され、今や経済的、社会システム的に先進国と呼んで差し支えない王国は、旅行場所や隠居先となる事も多い恵まれた国と言えた。
そして、王宮や騎士団本部のある国の中心部、ソラニア市とその周辺も、当然のように観光名所や娯楽施設を数多く有した活気のある街となっている。
「いやー、やっぱり映像娯楽はアクションに限るねー。あのでっかいスクリーンでわざわざラブストーリーとか見る奴の神経がわかんないよ」
平日の昼過ぎ、人通りの多い道の上、赤髪の若い女がパンフレットを片手に呟く。
「俺からすれば、この時代は見るもの全てが映像娯楽のようなものだがな」
言葉を返したのは、肩が触れ合うほどの近さ、恋人の距離で隣に並んだ黒髪の男。
「で、次はどこ行く? アルバは行きたいとことかないの?」
「特にはない。強いて言うなら、あのビルにでも引っ込んでいた方がいいだろう」
並んだ男女はアルバトロスとアンナの二人、近過ぎる距離は護衛と要人の距離だった。
アルバトロスは白いローブではなく現代風の服装を身に着け、アンナもまたスーツや戦闘用の装束ではなく自らの私服を纏った自然体の姿。
「もう、なんでアルバはそんなに乗り気じゃないの?」
「むしろ、なんでお前がそんなに乗り気なのかが不思議だ。外になど出ずに篭城を決め込んでいた方が護衛としては楽なはずだが」
「だって、ずっと引きこもってても退屈でしょ。せっかく時間が空いてるんだから、遊ばなくっちゃ損じゃん」
「そうか」
視線を向けず、興味を見せないアルバトロスに、アンナが頬を膨らませて前に回り込む。
「それより、外では護衛とか口にしちゃ駄目って言ったでしょ。あと、私の事はちゃんとアンナって呼ばないと恋人に見えないじゃん」
「前者については非を認めない事もないが、後者は拒絶しただろう。この姿ならまず俺が誰だかわかる事はないし、それで気付かれる相手ならば拙い恋人の演技などで誤魔化せるわけがない」
「それはそうだけど……じゃあ、恋人ごっこはいいから名前で呼んでよ」
「遊びだったと認めるのか。潔いが、嫌だ」
覗き込むようなアンナから視線を逸らし、きっぱりと拒絶する。
「えーっ、なんでー。私だってそっちの要望に答えてアルバって呼んでるんだから、アルバだって私の事アンナって呼んでくれてもいいじゃん」
「お前に呼び名を指図した覚えはない。それに、人の話を盗み聞きするような相手と必要以上に親しく付き合っていくつもりもない」
「げっ、また口滑らせた? でもでも、あれは仕方ないじゃん、一応あの時から、もう私が護衛任されてたんだからっ」
更に顔の前に回り込んだアンナの必死の弁解を遮るように、アルバトロスは顔の前に開いた観光ガイド本を持ってくる。
「そうだな、どうしても籠っているのが嫌だというなら、この俺の記念館とやらにでも行ってみる事にしよう」
「話聞いてないしっ! というか、記念館? プライドとか高くなさそうだと思ってたんだけど、アルバってそういうの好きなタイプだったの?」
「讃えられるのは嫌いではない。それに、千年後の世の中で自分について語り継がれているとなれば、それがどういったものか気になるのは当然だ」
「あー、まぁ、それもそっか。うん、じゃあいいよ、行こっか」
衝立代わりのガイド本を掻っ攫うと、アンナは体の向きを反転させる。
「アルバトロス記念館なら、こっちの方に歩いてすぐのとこに――」
羽の生えたような軽い足取りは、しかし一歩を踏み出したところで止まった。
「楽しそうですね、アンナさん」
「げっ……ロシ。こんなところで何してんの?」
一気にあからさまにうんざりした顔へと変わったアンナと対照的に、いつの間にか向かい合う形でそこにいた藍色の髪の青年は涼やかな笑みを浮かべる。
「何、と言われましても……ただ移動していただけですが」
ロシと呼ばれた青年が、視線を隣のアルバトロスへと移す。
「そちらの男性とデートですか。羨ましいですね」
「それほどいいものでもない」
口を開きかけたアンナよりも早く、ロシの言葉にはアルバトロスが返す。
「おや。だそうですよ、アンナさん」
「わざわざ報告せんでいいわ。あんただって、これがどういう状況かわかってんでしょ」
「要は、護衛にかこつけて遊んでるんですよね?」
「そーいう事。そっちも仕事中なんだから、油売ってないでさっさと行け」
「言われなくても。ティアさんに怒られるのは嫌……でもないですけど、色々と面倒な事もありますからね」
ロシが軽く手を振って去っていくよりも先に、すでにアンナは前へと一歩を踏み出していた。
「あれは?」
「ロシ・キルギス。王国騎士団の団長補佐、実質的には副団長みたいなものかな」
慌てるでもなく着いて来たアルバトロスの問いに簡潔に返し、アンナは隣に視線を移す。
「アルバは、あいつの事知ってるんじゃないの?」
「継承された記憶の中に、という意味なら、たしかにそうだ。だが、元から用意された記憶よりも自ら見聞きした知識の方が信用できるのもまた確かだろう。どこから触れるべきかすらわからない一般常識の把握には、この記憶も重宝するが」
「アーチライトの記憶、かぁ。私はそっちの方も気になるかな」
どこか意味あり気に視線を上に移したアンナに、しかし追及の言葉は掛からない。
「さて、どうやらここのようだな。随分と立派な建物だ」
アルバトロスの見上げた先、当人の名が記された巨大な看板とその後ろにある白く巨大な建造物に、アンナも慌ててその足を止めた。
「改めて見ると結構すごいねー。私も入るのは初めてだからちょっと楽しみかも」
「こういった場所を楽しむような性格には見えないが」
「まぁ普通は、ね。でも、奉られてる張本人が一緒ならきっと楽しいでしょ」
屈託のない笑顔を浮かべるアンナと足並みを揃え、アルバトロスは城を象った記念館へと向かっていった。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー
白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。
その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。
人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。
異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ
主人公はあまり戦ったりはしません。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち
せいめ
恋愛
侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。
病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。
また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。
「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」
無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。
そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。
生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。
マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。
「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」
三度目の人生はどうなる⁈
まずはアンネマリー編から。
誤字脱字、お許しください。
素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】存在しないことにされていた管理ギフトの少女、王宮で真の家族に出会う 〜冷遇された日々は、王宮での溺愛で上書きします〜
小豆缶
恋愛
「願った結果を、ほんの少しだけ変えてしまう力」
私に与えられたギフトは、才能というにはあまりにも残酷な自分も人の運命も狂わせるギフトだった。
そのあまりの危うさと国からの管理を逃れるために、リリアーナは、生まれたことそのものが秘匿され、軟禁され、育てられる。
しかし、純粋な心が願うギフトは、ある出来事をきっかけに発動され、運命が動き出す。
二度とそのギフトを使わないと決めて生きてきたのよ
だが、自分にせまる命の危機ーー
逃げていた力と再び向き合わなければならない状況は、ある日、突然訪れる。
残酷なギフトは、リリアーナを取り巻く人たちの、過去、未来に影響し、更には王宮の過去の闇も暴いていく。
私の愛する人がどうか幸せになりますように...
そう、リリアーナが願ったギフトは、どう愛する人に届くのか?
孤独だったリリアーナのギフトが今、王宮で本当の幸せを見つけるために動き始める
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる