妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

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2章:神の種と迷宮都市

31:契約

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 俺たちが、用意された部屋に向かうと、すでにティナがいた。
 ティナは驚いているだろう。だって、俺の腕には女の子がいて、しかもその女の子は見るからに弱っている。明らかに目的の奴隷とは違うのだからだ。

「ユウ様、その子は一体?」
「あぁ、この子を買うことにした。詳しくは後で話すから今は納得してくれ」
「わかりました」

 とりあえず、女の子を床に寝かせる。結構辛そうだ。息き切れしてるし、若干だが、顔も赤い。

「奴隷商、早速契約を始めてくれ、俺はどうすればいい?」

 俺は奴隷の契約方法なんて知らないし、けど首輪をはめさせるのは嫌だ。そのために、紋章選んだんだしな。
 そうすると、奴隷商は、俺に女の子の左胸に触れるように言ってきた。俺は奴隷商を睨むが、どうやら本当みたいだ。それにティナも何も言ってこない。多分、正式な契約方法なんだろう。
 そして奴隷商は俺の左手、つまり胸に触れてない方の手の親指をナイフで傷つけ、その血を俺の右手の上へと垂らす。
 それと同時に奴隷商が詠唱を始めた。そして、その血が俺の手を伝い、女の子の胸へと垂れる。それと同時に奴隷商が詠唱を終えた。
 すると、俺の手と女の子の間に赤い魔法陣が浮かぶ。
 それは一時的に膨張すると女の子の体が跳ね上がる。
 そして、一気に縮小し消滅した。どうやらこれで契約が完了したみたいだ。奴隷商はそれを確認すると。

「では、1時間後に」

 そういって部屋を出て行った。
 まだ、女の子は目を覚ましていない。一応少しは説明しておこう。

「この子は、あの部屋に入って見つけたんだよ。で、この子は吸血鬼。つまり魔族だ」

 その言葉を聞き、ティナが半歩引く。
 まぁ、それもしょうがない。魔族は今、魔王軍に属する者とは敵対している。

「あの、確か吸血鬼って、絶滅したんじゃ……」

 は? 絶滅だと。ちょっと聞くことが増えたな。
 すると、女の子が目を開けた。

「……ここは?」
「まだ、奴隷会場の中だ。この部屋を借り切って、さっき契約したところだ」

 女の子は上半身を起こし、立ち上がろうとする。だが、本調子に戻っていない上、吸血鬼に必要な血が足りていないからか、大きくバランスを崩し、倒れそうになる。
 倒れそうになるところを、しっかり支える。

「無理はするな」
「あ、ありがとうございます。あの、どうしてご主人様は、私を購入したのですか」

 それはきっと、不明な病気にかかっている人種・・の女の子の私をって意味だろう。だが、俺は知っている。

「お前の状況はだいたい把握している」

 俺の言葉に女の子は動揺を隠せない。さっきの名前を言い当てた件もあるからだろう。

「安心しろ、今のところそれを知ってるのは、俺とそこにいる俺の連れだけだ」
「知っているって、どこまで……」

 知っていることか、エルの情報を聞いている俺には、エルがこの子を解析してでた結果もある程度走っている。

「そうだな、俺が知っているのは、名前がフロン・フィール、種族は魔族で、絶滅されたと言われている吸血鬼の生き残りであり、元お姫様。隠蔽、変化の能力を使って、ステータスと容姿を偽っている。そして、血を補給していないことぐらいか」

 俺は解析結果をある程度話した。まだティナたちにも言ってないことがあったので、ティナは驚いているが、それでも俺の規格外さに慣れてしまったのか、すぐに冷静に戻る。
 フロンはというと、目を点にして驚いていた。それもそうだろう。奴隷商ですら知らない、自分の素性、今の状態についても言い当てられたのだから。

「それって、ほとんどじゃないですか」
「じゃあ、今の状況を理解したところで、俺はこれからお前のことをフロンと呼ぶがいいか?」
「奴隷の私に、そういうことは聞かなくてもいいかと」

 そういえば、奴隷契約したら、相手のステータスとか、契約内容を見れるんだっけか。
 まぁ、それは後でいい。

「そういえばちゃんと、奴隷紋はついているのか?」
「はい、ついてると思いますよ」

 フロンはそう答えると、ためらいながらも服をめくろうとする。

「ちょっと待て、俺に見せる必要はない。自分で確認できればそれでいい」

 そういうとフロンは後ろを向き、服をめくり、奴隷紋があるのを確かめた。

「なぜ裸を見ようとしないんですか? そういう用途で買ったのではないのですか?」

 フロンが言っているのは、性奴隷として私を買ったのではないのか。ということだろう。
 そう言えば、まだ目的とか俺たちについての話とかしてないな。

「いや、そういう目的じゃない」
「でしたらなぜ? 私の素性、状況を知って購入する用途がそれぐらいしか……」
「まぁ、そこら辺の話は、後だ。今はお前の状況の改善からだ」
「状況の改善とは?」

 とりあえず、体調の話だ。今話してても、咳がひどい。立ちくらみもあるようだ。だから、その原因を取り除くのだ。

「じゃあ、フロン。これが最初の命令だ。俺の血を吸え」
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