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2章:神の種と迷宮都市
43:伍瞳
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いきなり、伍瞳が開眼した。今はもう、フロンも元の状態に戻っていた。
意識を取り戻してすぐに「みっともない姿をお見せしました!」と謝ってきたが、かわいかったし、俺的には役得だ。そっと吸われた分の魔力は生贄で回収しておいた。
俺たちは、今通路を歩いている。入口にいると、誰かが戻ってきたり、入ってきたりするからだ。
「そろそろいいか。『天星ノ瞳』」
俺は天星ノ瞳を使って、ある程度の周りの地形、誰か人はいるかどうかを調べた。
人はいなかったが、魔物が2体、俺たちのいる通路を曲がってすぐにいた。
その時、エルの解析が終わった。
《伍瞳:夢偽ノ瞳の詳細を説明します》
伍瞳:夢偽ノ瞳オネイロス
夢操:寝ている相手に悪夢を見せたり、一部情報の改ざんが可能。
幻義:目を合わせた相手に幻を見せることができる。
ちょうどいいな。
「今そこを曲がったところにスケルトンが2体いる。こいつらは俺に任せてくれ、試したいことがある」
俺がそういうと、二人は頷いて返す。
道を進み、右に角を曲がると、そこには案の定スケルトンが二体いた。手には湾曲した剣いわゆるサーベルを持っていた。
『視影ノ瞳』
俺は弐瞳を使い解析する。魔力は最小限に抑えてスキルが見えるところまでだ。
『スケルトン・ソルジャー
属性:なし
状態:アンデット
スキル:剣術
武器:サーベル
防具:鉄の胴鎧』
さすが1階層まだ弱い。
俺たちに気づき、2体はこちらに向かってくる。今先頭に立っているのは俺で、その二体が狙うのももちろん俺なわけで、その視線は自然と交差する。
『夢偽ノ瞳』
俺は伍瞳を発動させる。
赤い眼、黒い瞳の中に、赤い魔法陣が浮かび上がる。
俺が目を合わせたスケルトンは動きを止める。そしてもう一体のスケルトンが俺を攻撃する直前、動きを止めていたスケルトンがもう一体の背中を斬りつけた。
その状況に訳が分からず、困惑するティナたち。
それもそうだ、いきなり襲い掛かってきたスケルトン共が同士討ちを始めたのだ。
少しして、その弐体の決着が終わると同時に、もう一体のスケルトンにとどめを刺して、ダンジョンの初戦闘が終了した。
「次、俺が戦闘に参加するのは、お前たち危なくなった時だ。ちゃんと見ているが、何かあったらすぐに俺の近くに来い」
「「はい」」
その後は、順調すぎるほど順調に進んだ。まだ浅い階層では、罠などほとんどなく、魔物どもも弱い。2.3体ぐらいなら、ティナでも余裕で勝てるぐらいだ。
俺が敵を見つけ、ノワールが呼び寄せ、万全の態勢で、相手を迎え撃つ。そんなことを繰り返しながら、1層2層と確実に進んでいく。
そこで驚いたのは、フロンだ。魔法はまだ使えず、近距離で戦うことが多いが、これがまたすごいのだ。
ここはダンジョン、光はあるものの影が多い。そこを影移動を駆使して壁や天井からフロンが出てくるのだ。流石吸血鬼というべきなのか。戦闘に関する才能が特に相手の死角から攻撃するという才能がずば抜けて高い。まだ、負ける気はしないが、フロンは強くなるだろう。
ティナも周りがよく見えている。危ないところにカバーに入り、傷つけば、略式詠唱で回復魔法を唱え、その場その場に臨機応変の対応する。レイピアの使い方も以前とは比べ物にならないくらいに、うまくなっている。
今は5階層手前だが、まだ俺の出番はない。
ちょうど俺たちの目の前で、5層に降り追うとしているグループが、罠の解除を行っていた。
天星ノ瞳で、罠のだいたいの位置はわかるが、解除はできなかったため、大きく回る必要があったのだ。
だが俺は今、罠解除を目視で確認した。
その冒険者たちとは、特に何もなく、解除している間の魔物の対応を請け負い、罠が解除が済んだところを、少し間をあけて進んだ。
今日はいい収入があった。伍瞳に、フロンたちがどれくらい動けるのかの確認。ダンジョンの魔物の強さ、それと罠解除のスキル。
解析が終わり、俺が覚えることはできなかったみたいだが、フロンは覚えることができたため、手を握り、譲渡した。
譲渡するとき、魔力を送る感覚に似ているためか、フロンが身悶える。これは先日のコピペ作業の時もだ。俺は必死に目を反らすことしかできない。
ちょうどいいころ合いだったため、5階層で探索を打ち切り、地上へと帰還した。
狩った魔物は勿論、棺の中だ。
俺たちはギルドへと戻り、フェルへと話しかける。
「おかえりなさい。無事に戻ってこられましたね、よかったです」
そう俺に対して、笑顔を向けるフェル。
それを見た、ほかの冒険者は、
「フェルちゃんに笑顔を向けてもらえるとか、羨ましい」
「あんな奴ここにいたか?」
「あんなかわいい子二人連れてて、フェルちゃんまで狙う気かよ」
とか言ってやがる。まぁ、無視安定だ。
そして俺はフェルに用件を伝えた。これをしなければ、俺にまた面倒がくる。
「それで、やって欲しいことと約束をお願いしたいのだが」
俺の質問の意味が分からず、一瞬間が開いたが、それでもさすがプロ。俺の問いに小さく頷いた。
俺は横を見るとティナとフロンがいた。そして俺の意図を察したのか、そろって頷いた。
「魔物の精算を行いたいのだが、部屋を貸してくれ。量があるから大きめの部屋が望ましい、約束についてはそこで話す。あまり人には言えないことなんだ」
そう言って、俺はフェルに大銀貨を手渡した。
ぎょっとした目をするが「か、畏まりました」といって、一度奥へと戻る。
しばらくし、戻ってくると俺たちをギルドの裏の工房へと案内し、その一室を借りた。
「ですが、魔物など見当たりませんが……」
「あぁ、今出すが俺が今から言うことを守ってほしい。もちろん解体してくれる人には伝えてもいい。だが、二人ともこのことを口外しないと約束してくれ」
俺の真剣な表情を見て、フェルは「はい」と言って頷いた。
「めんどくさいから直球で伝えるぞ、俺は空間魔法が使える」
「……え?」
少しの間と共にフェルの驚きの声が漏れた。
「まぁ、見てもらった方が早いな」
そう言って、俺は棺の能力を使い、今日狩ったスケルトンの死骸を取り出し床に置いた。
半信半疑で聞いていたフェルもこれを見ては認めるしかなかった。
そのあとフェルが、もう一人がたいのでかいおっさんを連れてきて、同じ説明を繰り返し、同じものを見せた。
どうやら二人は、納得してくれたようだ。
このおっさんはこの工房の工房長らしい。名前をテクルというらしい。これから世話になるやつだ覚えておこう。
ちなみに俺は釘を差すことを忘れない。
「ちなみに、うわさが広まったらまず二人を疑う。俺にはどちらが話したかわかるから言わないことをおススメする」
そう言って、脅すように覇気を使った。フェルは床に崩れ、テクルは飛びのいた。
そのあと、俺はどんどんと魔物を棺から取り出していく。
「お前、何者だよ」
そういうテクルをよそに、フェルはユウに質問した。
「今日、初ダンジョンですよね? 何階層まで行ったんですか? この量、1階層だと無理だと思うんですけど」
「5階層だが」
俺の言葉を聞き、フェルとテクルは驚愕した。何しろその攻略速度は、Sランク冒険者パーティーのそれと一緒なのだから。
俺はそんなこと知らずに魔物の解体、精算を二人に任せ、宿へと戻ることにした。
部屋の中には、驚くことしかできなかった、二人が残されていた。
意識を取り戻してすぐに「みっともない姿をお見せしました!」と謝ってきたが、かわいかったし、俺的には役得だ。そっと吸われた分の魔力は生贄で回収しておいた。
俺たちは、今通路を歩いている。入口にいると、誰かが戻ってきたり、入ってきたりするからだ。
「そろそろいいか。『天星ノ瞳』」
俺は天星ノ瞳を使って、ある程度の周りの地形、誰か人はいるかどうかを調べた。
人はいなかったが、魔物が2体、俺たちのいる通路を曲がってすぐにいた。
その時、エルの解析が終わった。
《伍瞳:夢偽ノ瞳の詳細を説明します》
伍瞳:夢偽ノ瞳オネイロス
夢操:寝ている相手に悪夢を見せたり、一部情報の改ざんが可能。
幻義:目を合わせた相手に幻を見せることができる。
ちょうどいいな。
「今そこを曲がったところにスケルトンが2体いる。こいつらは俺に任せてくれ、試したいことがある」
俺がそういうと、二人は頷いて返す。
道を進み、右に角を曲がると、そこには案の定スケルトンが二体いた。手には湾曲した剣いわゆるサーベルを持っていた。
『視影ノ瞳』
俺は弐瞳を使い解析する。魔力は最小限に抑えてスキルが見えるところまでだ。
『スケルトン・ソルジャー
属性:なし
状態:アンデット
スキル:剣術
武器:サーベル
防具:鉄の胴鎧』
さすが1階層まだ弱い。
俺たちに気づき、2体はこちらに向かってくる。今先頭に立っているのは俺で、その二体が狙うのももちろん俺なわけで、その視線は自然と交差する。
『夢偽ノ瞳』
俺は伍瞳を発動させる。
赤い眼、黒い瞳の中に、赤い魔法陣が浮かび上がる。
俺が目を合わせたスケルトンは動きを止める。そしてもう一体のスケルトンが俺を攻撃する直前、動きを止めていたスケルトンがもう一体の背中を斬りつけた。
その状況に訳が分からず、困惑するティナたち。
それもそうだ、いきなり襲い掛かってきたスケルトン共が同士討ちを始めたのだ。
少しして、その弐体の決着が終わると同時に、もう一体のスケルトンにとどめを刺して、ダンジョンの初戦闘が終了した。
「次、俺が戦闘に参加するのは、お前たち危なくなった時だ。ちゃんと見ているが、何かあったらすぐに俺の近くに来い」
「「はい」」
その後は、順調すぎるほど順調に進んだ。まだ浅い階層では、罠などほとんどなく、魔物どもも弱い。2.3体ぐらいなら、ティナでも余裕で勝てるぐらいだ。
俺が敵を見つけ、ノワールが呼び寄せ、万全の態勢で、相手を迎え撃つ。そんなことを繰り返しながら、1層2層と確実に進んでいく。
そこで驚いたのは、フロンだ。魔法はまだ使えず、近距離で戦うことが多いが、これがまたすごいのだ。
ここはダンジョン、光はあるものの影が多い。そこを影移動を駆使して壁や天井からフロンが出てくるのだ。流石吸血鬼というべきなのか。戦闘に関する才能が特に相手の死角から攻撃するという才能がずば抜けて高い。まだ、負ける気はしないが、フロンは強くなるだろう。
ティナも周りがよく見えている。危ないところにカバーに入り、傷つけば、略式詠唱で回復魔法を唱え、その場その場に臨機応変の対応する。レイピアの使い方も以前とは比べ物にならないくらいに、うまくなっている。
今は5階層手前だが、まだ俺の出番はない。
ちょうど俺たちの目の前で、5層に降り追うとしているグループが、罠の解除を行っていた。
天星ノ瞳で、罠のだいたいの位置はわかるが、解除はできなかったため、大きく回る必要があったのだ。
だが俺は今、罠解除を目視で確認した。
その冒険者たちとは、特に何もなく、解除している間の魔物の対応を請け負い、罠が解除が済んだところを、少し間をあけて進んだ。
今日はいい収入があった。伍瞳に、フロンたちがどれくらい動けるのかの確認。ダンジョンの魔物の強さ、それと罠解除のスキル。
解析が終わり、俺が覚えることはできなかったみたいだが、フロンは覚えることができたため、手を握り、譲渡した。
譲渡するとき、魔力を送る感覚に似ているためか、フロンが身悶える。これは先日のコピペ作業の時もだ。俺は必死に目を反らすことしかできない。
ちょうどいいころ合いだったため、5階層で探索を打ち切り、地上へと帰還した。
狩った魔物は勿論、棺の中だ。
俺たちはギルドへと戻り、フェルへと話しかける。
「おかえりなさい。無事に戻ってこられましたね、よかったです」
そう俺に対して、笑顔を向けるフェル。
それを見た、ほかの冒険者は、
「フェルちゃんに笑顔を向けてもらえるとか、羨ましい」
「あんな奴ここにいたか?」
「あんなかわいい子二人連れてて、フェルちゃんまで狙う気かよ」
とか言ってやがる。まぁ、無視安定だ。
そして俺はフェルに用件を伝えた。これをしなければ、俺にまた面倒がくる。
「それで、やって欲しいことと約束をお願いしたいのだが」
俺の質問の意味が分からず、一瞬間が開いたが、それでもさすがプロ。俺の問いに小さく頷いた。
俺は横を見るとティナとフロンがいた。そして俺の意図を察したのか、そろって頷いた。
「魔物の精算を行いたいのだが、部屋を貸してくれ。量があるから大きめの部屋が望ましい、約束についてはそこで話す。あまり人には言えないことなんだ」
そう言って、俺はフェルに大銀貨を手渡した。
ぎょっとした目をするが「か、畏まりました」といって、一度奥へと戻る。
しばらくし、戻ってくると俺たちをギルドの裏の工房へと案内し、その一室を借りた。
「ですが、魔物など見当たりませんが……」
「あぁ、今出すが俺が今から言うことを守ってほしい。もちろん解体してくれる人には伝えてもいい。だが、二人ともこのことを口外しないと約束してくれ」
俺の真剣な表情を見て、フェルは「はい」と言って頷いた。
「めんどくさいから直球で伝えるぞ、俺は空間魔法が使える」
「……え?」
少しの間と共にフェルの驚きの声が漏れた。
「まぁ、見てもらった方が早いな」
そう言って、俺は棺の能力を使い、今日狩ったスケルトンの死骸を取り出し床に置いた。
半信半疑で聞いていたフェルもこれを見ては認めるしかなかった。
そのあとフェルが、もう一人がたいのでかいおっさんを連れてきて、同じ説明を繰り返し、同じものを見せた。
どうやら二人は、納得してくれたようだ。
このおっさんはこの工房の工房長らしい。名前をテクルというらしい。これから世話になるやつだ覚えておこう。
ちなみに俺は釘を差すことを忘れない。
「ちなみに、うわさが広まったらまず二人を疑う。俺にはどちらが話したかわかるから言わないことをおススメする」
そう言って、脅すように覇気を使った。フェルは床に崩れ、テクルは飛びのいた。
そのあと、俺はどんどんと魔物を棺から取り出していく。
「お前、何者だよ」
そういうテクルをよそに、フェルはユウに質問した。
「今日、初ダンジョンですよね? 何階層まで行ったんですか? この量、1階層だと無理だと思うんですけど」
「5階層だが」
俺の言葉を聞き、フェルとテクルは驚愕した。何しろその攻略速度は、Sランク冒険者パーティーのそれと一緒なのだから。
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