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巫女の里
96:カルの思いとその答え
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ティナたちは部屋着の状態で、3人と1匹は楽しき喋っていたフロンの膝の上ではノワールが静かに寝息を立てていた。
「ティナねーちゃん!」
そんな夜遅く。そんな声がティナ達のいる部屋に響く部屋の中に響く。
声の主はカルだ。
「どうしたの」
「いや、あのちょっと……話があって」
するとカルは、平然と返事を返すティナを見て顔を赤らめる。
ティナはそんなカルの様子に気づかない。
そして何となく状況を察したフロンとフィリアが二人がティナとカルを交互に見てニヤニヤしだす。
「ちょ、ちょっと二人ともどうしたの?」
「いーえ?」
「なーんにも?」
フロンとフィリアは息を合わせてそう答えた。
「で、カル君。だっけ? ティナとお話があるならどうぞー持っていってください」
「私たちのことは気にしなくてもいいわ。二人で話してきて」
「な、なんでそんな私を物扱いのように」
フロンとフィリアはティナを部屋から追い出すようにして二人っきりの状況を作ってやる。
その後、フロンとフィリアはお互いに向き合い。フロンは寝ているノワールの頭を撫で、フィリアは自分のきれいな赤髪の毛先を指でいじくる。
「青春だね~」
「そうね~」
二人してそんなことをつぶやいた後に自分の状況を再確認して、二人そろってため息をついた。
「それで、お話って?」
あの後、廊下で話すのもあれだからと、私はカルに連れられ家の外に出ていた。
こんな時間だ人が外にいることもない。
私たちは里の端、夜景が一番楽しめる場所まで来ていた。
夜空を見上げると、無数の星がキラキラと輝いている。
そんな中、カルは私を見つめ、小さめの声で悲しそうに私に聞いて来た。
「ティナねーちゃんは明日。また里を出ていくんだよね?」
「そうだね。明日にはお別れかな」
「あの男についていくんでしょ?」
「……うん」
「なんでだよ!」
突然カルが声をあげる。私はカルの顔をよく見た。
その顔は赤く、それでいて目からは涙がこぼれそうになっていた。
「あの男のどこがいいんだよ! 一緒に居てもティナねーちゃんが危険だよ。それにあんな奴なんかよりも俺の方が……俺の方がティナねーちゃんのことを好きに思ってるんだ!」
私はカルの思いに気づいていないわけではなかった。
昔からよく一緒に遊んで、一緒に過ごして、それはそれで楽しかった。
でも私がカルに向けている思いはカルが私に向けている思いとは違う。
私がカルに向けている感情は弟に対するそれだ。
だから私は静かにカルの頭を撫でた。まるで泣いている弟を慰めるように。
「ごめんね、カル。私はあなたの気持ちには答えられない。私にはもう心に決めた人がいる。いや出来てしまったの。この里を出た短い時間でね?」
「それはあいつ?」
「うん、そうだよ。私が好きなのはあの人。あの人は自分が一度決めたことは曲げない。それに色んな人を惹きつける魅力があって、でも以外に初心なところもあって、かわいいし。けど、いざ戦いになると表情を変えて仲間の為に自分の為に戦う。それが私の好きなユウ様だよ」
私はカルに思いを伝えた。
この短い間に自分が感じた、ただまっすぐな思いを。カルにとってこの話を聞くのは辛いかもしれない。
そりゃあ好きな人が違うやつのことを語るんだ。私でも嫉妬っしてしまうだろ。
好きな人にはいつでも自分を見ていて欲しいものだ。
けど私はカルには私なんかより、いい人を見つけて欲しいから。だから私は話を続ける。
「カル。この里の外は広い。いろいろな人がいて、様々な出会いを繰り返す。カルも大きくなったらこの里を出ていろんなところを回ればいい。きっといろんな出会いに巡り合える。でも! 危険なことをしちゃだめだよ。カルが死んじゃったら私は勿論。悲しむ人が出ちゃうからね。おねーちゃんとの約束だよ」
私はまたカルの頭に手を置いて優しくその頭を撫でた。
カルの顔を見るとすでに涙でぐちゃぐちゃになっていた。
カルはその涙を必死で拭うがそのたびに涙がまたあふれてくる。
「わかったよ、ティナねーちゃん。俺この里を出て今以上に強くなる」
ティナはその思いを聞くと「今日はもう寝よ?」といって家の中へと戻っていく。
カルは一人、夜空を見上げて決意する。
「強くなって、あいつにも勝つぐらい強くなってティナねーちゃんを迎えに行く。そしたら今度こそ振り向いてくれるかな?」
カルが大きくなり里を出て冒険者になって、迷宮都市にて活躍するのはまた別の話。
次の日の朝、ユウたちは森で狩った魔物を全て里へと置いていった。
それは魔物死体、丸ごとでありギルドに討伐部位だけでも持っていけばそれなりのお金になるだろう。ソルなんかは口を開けてびっくりしていた。
魔物の素材は皮や爪などは武器防具にも肉にいたっては浄化をしてからしっかり焼けば食料としては充分だ。
ここは巫女の里、ティナと同じ巫女がまだ数人残っている。浄化を行えるものがいるとあらかじめ聞いていたからこそ、ユウは置いていくものに魔物の死体を選んだのだ。
ユウたちが里を出るときは誰もいない祠の方から、ノワールを大きくして飛んだ。
次に向かう先はフィリアの故郷ともいえる場所。
妖精種の国だ。
「ティナねーちゃん!」
そんな夜遅く。そんな声がティナ達のいる部屋に響く部屋の中に響く。
声の主はカルだ。
「どうしたの」
「いや、あのちょっと……話があって」
するとカルは、平然と返事を返すティナを見て顔を赤らめる。
ティナはそんなカルの様子に気づかない。
そして何となく状況を察したフロンとフィリアが二人がティナとカルを交互に見てニヤニヤしだす。
「ちょ、ちょっと二人ともどうしたの?」
「いーえ?」
「なーんにも?」
フロンとフィリアは息を合わせてそう答えた。
「で、カル君。だっけ? ティナとお話があるならどうぞー持っていってください」
「私たちのことは気にしなくてもいいわ。二人で話してきて」
「な、なんでそんな私を物扱いのように」
フロンとフィリアはティナを部屋から追い出すようにして二人っきりの状況を作ってやる。
その後、フロンとフィリアはお互いに向き合い。フロンは寝ているノワールの頭を撫で、フィリアは自分のきれいな赤髪の毛先を指でいじくる。
「青春だね~」
「そうね~」
二人してそんなことをつぶやいた後に自分の状況を再確認して、二人そろってため息をついた。
「それで、お話って?」
あの後、廊下で話すのもあれだからと、私はカルに連れられ家の外に出ていた。
こんな時間だ人が外にいることもない。
私たちは里の端、夜景が一番楽しめる場所まで来ていた。
夜空を見上げると、無数の星がキラキラと輝いている。
そんな中、カルは私を見つめ、小さめの声で悲しそうに私に聞いて来た。
「ティナねーちゃんは明日。また里を出ていくんだよね?」
「そうだね。明日にはお別れかな」
「あの男についていくんでしょ?」
「……うん」
「なんでだよ!」
突然カルが声をあげる。私はカルの顔をよく見た。
その顔は赤く、それでいて目からは涙がこぼれそうになっていた。
「あの男のどこがいいんだよ! 一緒に居てもティナねーちゃんが危険だよ。それにあんな奴なんかよりも俺の方が……俺の方がティナねーちゃんのことを好きに思ってるんだ!」
私はカルの思いに気づいていないわけではなかった。
昔からよく一緒に遊んで、一緒に過ごして、それはそれで楽しかった。
でも私がカルに向けている思いはカルが私に向けている思いとは違う。
私がカルに向けている感情は弟に対するそれだ。
だから私は静かにカルの頭を撫でた。まるで泣いている弟を慰めるように。
「ごめんね、カル。私はあなたの気持ちには答えられない。私にはもう心に決めた人がいる。いや出来てしまったの。この里を出た短い時間でね?」
「それはあいつ?」
「うん、そうだよ。私が好きなのはあの人。あの人は自分が一度決めたことは曲げない。それに色んな人を惹きつける魅力があって、でも以外に初心なところもあって、かわいいし。けど、いざ戦いになると表情を変えて仲間の為に自分の為に戦う。それが私の好きなユウ様だよ」
私はカルに思いを伝えた。
この短い間に自分が感じた、ただまっすぐな思いを。カルにとってこの話を聞くのは辛いかもしれない。
そりゃあ好きな人が違うやつのことを語るんだ。私でも嫉妬っしてしまうだろ。
好きな人にはいつでも自分を見ていて欲しいものだ。
けど私はカルには私なんかより、いい人を見つけて欲しいから。だから私は話を続ける。
「カル。この里の外は広い。いろいろな人がいて、様々な出会いを繰り返す。カルも大きくなったらこの里を出ていろんなところを回ればいい。きっといろんな出会いに巡り合える。でも! 危険なことをしちゃだめだよ。カルが死んじゃったら私は勿論。悲しむ人が出ちゃうからね。おねーちゃんとの約束だよ」
私はまたカルの頭に手を置いて優しくその頭を撫でた。
カルの顔を見るとすでに涙でぐちゃぐちゃになっていた。
カルはその涙を必死で拭うがそのたびに涙がまたあふれてくる。
「わかったよ、ティナねーちゃん。俺この里を出て今以上に強くなる」
ティナはその思いを聞くと「今日はもう寝よ?」といって家の中へと戻っていく。
カルは一人、夜空を見上げて決意する。
「強くなって、あいつにも勝つぐらい強くなってティナねーちゃんを迎えに行く。そしたら今度こそ振り向いてくれるかな?」
カルが大きくなり里を出て冒険者になって、迷宮都市にて活躍するのはまた別の話。
次の日の朝、ユウたちは森で狩った魔物を全て里へと置いていった。
それは魔物死体、丸ごとでありギルドに討伐部位だけでも持っていけばそれなりのお金になるだろう。ソルなんかは口を開けてびっくりしていた。
魔物の素材は皮や爪などは武器防具にも肉にいたっては浄化をしてからしっかり焼けば食料としては充分だ。
ここは巫女の里、ティナと同じ巫女がまだ数人残っている。浄化を行えるものがいるとあらかじめ聞いていたからこそ、ユウは置いていくものに魔物の死体を選んだのだ。
ユウたちが里を出るときは誰もいない祠の方から、ノワールを大きくして飛んだ。
次に向かう先はフィリアの故郷ともいえる場所。
妖精種の国だ。
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