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一章 目覚めた死神姫
episode12 前日の訓練で
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ークラス対抗戦前日ー
あれから白雪は、武術の授業など、身体を使うもの以外の授業は真面目に受けていた。
何故、武術の授業を受けないのかと言うと、実は白雪は吸血鬼では希に、身体が弱いのだ。戦う時は常に身体強化を施していないと、吸血鬼としての力に身体が付いてこない。吸血鬼の純血で真祖である白雪の力は計り知れないが、それを万全に活かすことは出来なかった。
そして、身体を動かす時は身体強化をしないと、身体に負担がかかってしまうので、必然的に魔力を減らすことになってしまう。だが、魔法剣士である白雪は、魔力の温存は必須なため、有事の際に必ず動けるよう、無駄な魔力の消費をしたくなくて、身体を動かす授業は全て見学していた。
ただ、クラスの人達の実力は知っておきたかったので、白いレースのついた可愛い日傘をさしながら用意された椅子に座って見ているけれど。
「…ねぇ、貴方本当に戦えますの?」
(…たしかこの人はクラスメイトの…。副委員長的な少女でしたかね)
「はい」
ニコリと笑ってみせると、他にも校庭で武術と魔法の授業を受けていたSクラスの生徒達が集まってくる。
「ほんとかよ…。こんなほっせぇ体で?」
「はい。魔法を使いますよ」
(どうせ、剣を使いますと言っても誰も信じないでしょうし)
と、あえて魔法を使うといいながら、剣には触れないが、嘘は言っていない。
この前のSクラス前の廊下での事件は、ノヴァがあの令嬢達3人以外の記憶から消している。つまり、あの3人以外白雪が剣を握っていたことは覚えていないのだ。
さっきから白雪を疑っているのは、Sクラスの委員長的(レオンにさせるのは恐れ多くて代役してるらしい)存在の、クラウス・ファーガンソン、公爵家の一人息子だ。もう1人の女子は、リコリス・エティア。エティア侯爵家の長女。
二人共、何かと世話焼きな性格らしく、よく構ってくる。
「なるほどな。魔法なら非力なやつでも扱えるしな」
「あら、非力とは失礼でしてよ。ふふっ、何を隠そう、わたくしはあの魔法の名門家、エティア出身ですの。剣より魔法の方が有用ですわ!」
「なんだと?それを言ったら俺だって剣の名門家ファーガンソン出身だ。間違いなく、魔法みたいな後衛より、前衛の方がかっこいいし、強いに決まっている!」
「……」
(面倒臭いな……。どっちでもいい…)
心底あっちいって欲しいと思う白雪には気づかず、口喧嘩を始める2人。この2人は一緒に白雪に構いに来ては口喧嘩をしている。
「はいはい、二人とも。白雪ちゃんが困ってるから~」
グイッと2人を押しのけてレオンが割り込んできた。すると、先程まで勢いよくケンカしていたリコリスとクラウスは、触られた肩をビクリと揺らし、慌てて離れていく。
「もっ、申し訳ございませんわ!レオン様」
「す、すみませんでしたっ!」
バッと、風を切るほどの勢いで頭を下げる2人。よく見ると、リコリスの方はさわられた肩に手で触れ、恍惚とした表情を浮かべているし、クラウスは尊敬の眼差しでレオンを見ている。
「……なんか私の時と態度が違うくないですか?」
「あ、当たり前ですわ!!レオン様と言ったら、魔王討伐に参加した唯一無二で最強の人族で、私達人族のあこがれの的ですのよ!紳士な態度で、思いやりが溢れる素晴らしい御人ですわ!!」
「そうだぜ!!俺の父ちゃんもレオン様には何百年経ってもかなわねぇっていってたしな!何より、あの剣さばき!見たら誰もが虜になるぜ!!」
「へ、へぇ……」
(聞かなきゃよかった。誰ですか、それ…。紳士な人は女性の下着を見てニヤついたりしませんよ)
ヒクヒクと頬を引き攣らせながら、相槌を打つ白雪。隣でレオンは完璧に仮面の笑顔を浮かべていた。きっと心の中で悶えているだろう。
(って言うか、私も一応魔王討伐、行ったんですけどねぇ…)
目の前でレオンが絶賛されているのが複雑な白雪は、内心渋面をしている。
「まぁ、安心して下さい。足は引っ張りませんよ。それならいいでしょう?」
「そうだな」 「そうですわね」
(仲良しか)
同じタイミングでほぼ同じことを言うリコリスとクラウスに、心の中でツッコミを入れた白雪は、パタンと日傘をたたむと、そのまま校舎に入っていった。
そして、校舎に入って、三階にある教室へ向かう途中の廊下。
すれ違った白雪に、通りすがりの男子がボソリと呟く。
「さすが、Sクラス様は余裕だな。でもラッキーだぜ。今年はお前みたいな軟弱者も出るらしいからな。せいぜい殺されないよう気をつけろよ」
ピタリと足を止めた白雪が振り返って見ているのも気にせず、その男子はそれだけ言うと去っていった。
「あのバッチの色は…Aクラスですね」
さっき、ちらりと白雪が盗み見た男子の胸元についたバッチは、Aクラスの証である赤色のバッチが付いていた。
因みに、Sクラスが金で、Bクラスが青。Cクラスが緑で、Dクラスが黒だ。
廊下にある窓から入り込んだ風が、白雪の長い銀髪をふわりと揺らした。
あれから白雪は、武術の授業など、身体を使うもの以外の授業は真面目に受けていた。
何故、武術の授業を受けないのかと言うと、実は白雪は吸血鬼では希に、身体が弱いのだ。戦う時は常に身体強化を施していないと、吸血鬼としての力に身体が付いてこない。吸血鬼の純血で真祖である白雪の力は計り知れないが、それを万全に活かすことは出来なかった。
そして、身体を動かす時は身体強化をしないと、身体に負担がかかってしまうので、必然的に魔力を減らすことになってしまう。だが、魔法剣士である白雪は、魔力の温存は必須なため、有事の際に必ず動けるよう、無駄な魔力の消費をしたくなくて、身体を動かす授業は全て見学していた。
ただ、クラスの人達の実力は知っておきたかったので、白いレースのついた可愛い日傘をさしながら用意された椅子に座って見ているけれど。
「…ねぇ、貴方本当に戦えますの?」
(…たしかこの人はクラスメイトの…。副委員長的な少女でしたかね)
「はい」
ニコリと笑ってみせると、他にも校庭で武術と魔法の授業を受けていたSクラスの生徒達が集まってくる。
「ほんとかよ…。こんなほっせぇ体で?」
「はい。魔法を使いますよ」
(どうせ、剣を使いますと言っても誰も信じないでしょうし)
と、あえて魔法を使うといいながら、剣には触れないが、嘘は言っていない。
この前のSクラス前の廊下での事件は、ノヴァがあの令嬢達3人以外の記憶から消している。つまり、あの3人以外白雪が剣を握っていたことは覚えていないのだ。
さっきから白雪を疑っているのは、Sクラスの委員長的(レオンにさせるのは恐れ多くて代役してるらしい)存在の、クラウス・ファーガンソン、公爵家の一人息子だ。もう1人の女子は、リコリス・エティア。エティア侯爵家の長女。
二人共、何かと世話焼きな性格らしく、よく構ってくる。
「なるほどな。魔法なら非力なやつでも扱えるしな」
「あら、非力とは失礼でしてよ。ふふっ、何を隠そう、わたくしはあの魔法の名門家、エティア出身ですの。剣より魔法の方が有用ですわ!」
「なんだと?それを言ったら俺だって剣の名門家ファーガンソン出身だ。間違いなく、魔法みたいな後衛より、前衛の方がかっこいいし、強いに決まっている!」
「……」
(面倒臭いな……。どっちでもいい…)
心底あっちいって欲しいと思う白雪には気づかず、口喧嘩を始める2人。この2人は一緒に白雪に構いに来ては口喧嘩をしている。
「はいはい、二人とも。白雪ちゃんが困ってるから~」
グイッと2人を押しのけてレオンが割り込んできた。すると、先程まで勢いよくケンカしていたリコリスとクラウスは、触られた肩をビクリと揺らし、慌てて離れていく。
「もっ、申し訳ございませんわ!レオン様」
「す、すみませんでしたっ!」
バッと、風を切るほどの勢いで頭を下げる2人。よく見ると、リコリスの方はさわられた肩に手で触れ、恍惚とした表情を浮かべているし、クラウスは尊敬の眼差しでレオンを見ている。
「……なんか私の時と態度が違うくないですか?」
「あ、当たり前ですわ!!レオン様と言ったら、魔王討伐に参加した唯一無二で最強の人族で、私達人族のあこがれの的ですのよ!紳士な態度で、思いやりが溢れる素晴らしい御人ですわ!!」
「そうだぜ!!俺の父ちゃんもレオン様には何百年経ってもかなわねぇっていってたしな!何より、あの剣さばき!見たら誰もが虜になるぜ!!」
「へ、へぇ……」
(聞かなきゃよかった。誰ですか、それ…。紳士な人は女性の下着を見てニヤついたりしませんよ)
ヒクヒクと頬を引き攣らせながら、相槌を打つ白雪。隣でレオンは完璧に仮面の笑顔を浮かべていた。きっと心の中で悶えているだろう。
(って言うか、私も一応魔王討伐、行ったんですけどねぇ…)
目の前でレオンが絶賛されているのが複雑な白雪は、内心渋面をしている。
「まぁ、安心して下さい。足は引っ張りませんよ。それならいいでしょう?」
「そうだな」 「そうですわね」
(仲良しか)
同じタイミングでほぼ同じことを言うリコリスとクラウスに、心の中でツッコミを入れた白雪は、パタンと日傘をたたむと、そのまま校舎に入っていった。
そして、校舎に入って、三階にある教室へ向かう途中の廊下。
すれ違った白雪に、通りすがりの男子がボソリと呟く。
「さすが、Sクラス様は余裕だな。でもラッキーだぜ。今年はお前みたいな軟弱者も出るらしいからな。せいぜい殺されないよう気をつけろよ」
ピタリと足を止めた白雪が振り返って見ているのも気にせず、その男子はそれだけ言うと去っていった。
「あのバッチの色は…Aクラスですね」
さっき、ちらりと白雪が盗み見た男子の胸元についたバッチは、Aクラスの証である赤色のバッチが付いていた。
因みに、Sクラスが金で、Bクラスが青。Cクラスが緑で、Dクラスが黒だ。
廊下にある窓から入り込んだ風が、白雪の長い銀髪をふわりと揺らした。
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