白銀の死神姫

Alice

文字の大きさ
24 / 31
二章 忍び寄る影

episode22 恐喝とかいてお願いと読む

しおりを挟む

「ただいま戻りました!」

   パタパタと小さな足音が聞こえたかと思うと、3人が待機する自室に、五分もせずに白雪がひょっこりと顔を出した。

「…おかえり。で、許可は…」

「はい!それはもう私のお願いに、快く、二つ返事で許可を出してくれました!」

   やりきった~と言う顔をする白雪がくいっとかいてない汗を拭うふりをする。動作は可愛いが、純血の死神鎌ヴィルジニテ・ラ・モルテがしっかりと握られ、その白い刃先は赤く染まっている。
   じーっと、レオンがそこに注目していることに気づいて、サッと亜空間にしまう。

「へぇ…。お願いね、恐喝お願いの間違いじゃ…。いや、それは置いといて。さっきの、血だよね…?」

「いえ、ケチャップです!」

   満面の笑みで答える白雪。

「いや、違うよね?!そんな誤魔化しきかないからね?!やっぱり、リーリア王国の現国王が白雪ちゃんのこと積極的に隠したの知ってるよね?!根に持ってるね!絶対!!」

「い~え~?ちょっとだけ、いえ、ほんの少し、ものすごく微量は気にしてますけど、そんなにしつこい性格じゃないですよー!」

「すごい根に持ってるってことは分かったよ!!」

   ニコニコといい笑顔で語る彼女に、はぁ、と頭を抱えるレオン。
   本来、リーリア王国の現国王であるルイゼン王は、各国でも恐れられる程の政治の手腕と、威厳を兼ね備えた男で、大国であるリーリア王国が他国に攻めいられずに平和であるのは殆どがルイゼンのおかげである。
   しかし、彼はかなりの頑固者で、自分で決めたことは絶対に覆さない自己中心的な面もあり、白雪がただ頼んだだけではひと蹴りしていただろう。自国で客として扱われている白雪が何か問題を起こせば、未知なアストレア王国ではなく、リーリア王国にとばっちりが来るのは目に見えている。
   と、自分が白雪を隠したことは棚において、白雪に迷惑をかけられるのを嫌がった王は、白雪のお願いを拒否しようとした。
   が、白雪の恐喝(お願い)の前には無力だった。

「一応聞くけど、殺してはいないよね?五体満足?」

「はい、それはもう、私の治癒魔法で元気ハツラツですね!持病の癪まで治ったと、それはもう悔しそうな顔でお礼まで言われましたねぇ~」

   その時のルイゼン王の顔を思い出しているのか、スッキリした顔でニヤニヤしている。

「まぁ、死んでないならひとまず良いかな~。じゃあ、続き話し合おうか。……僕としては、却下されて欲しかったんだけど」

   父親に対してあまりにも淡白だが、元より、魔物だと白雪を軽率に扱っていた父親に、いい感情を抱いていなかったし、下の弟達とは違い、自分より手柄を立てた英雄のレオンに対してよく思っていなかったルイゼン王はレオンを放任していたので自業自得と言うやつだろう。

「そうですね!」

「じゃあまず、あっちに着くまでに学園への入学の手配は済ませておくよ。リーリア王国の遠縁の伯爵家って事にしとくからね。本当はもっと上の階級が良いんだけど、これ以上となると家が少なくなるからバレかねない」

「了解です。名前はどうしますか?」

「名前は……。うん、アリス・スノウホワイトってのはどう?」

「いいですね!アリスはアストレアからで、スノウホワイトは白雪からとったんですね!安直です!!」

   ぱぁぁと顔をほころばせる白雪。

「あ、安直は褒め言葉じゃないんだよ…?」

   ちょっとショックを受けた顔でヨロつくレオン。ちなみに、この世界での言語はゼルス語が共通言語となっており、スノウや、ホワイトなどはサンセ語と言い、知ってるものは貴族など高位の者に限られるが、一部は庶民も使うことがある。また、他にもエルフ族が使うことのあるシスン語などもあるが、人間が使うことは滅多にない。

「では、私早速行ってまいります!」

「えっ!早くない?!」

「おいおい、いくらなんでも早すぎねぇか?!」

「もうちょっとゆっくりしていこうね?」

   では、と敬礼のポーズをして出ていこうとする白雪を3人で慌てて引き止める。

「まだ一番大事なことがあるんだよ!はいっ、白雪ちゃん、これ制服。それとこれは、顔の認識阻害の眼鏡だよ。この眼鏡をかければ、普通の顔になるから、白雪ちゃんだってバレない!こっちは目と髪色を変えるチョーカー。どっちもエルド作のスグレモノだよ!」

「へぇ~!」

   レオンの説明を聞いて、楽しそうに目をキラキラさせる白雪は、早速渡された眼鏡をかけ、チョーカーもつけてみる。その途端、透けるような銀髪は黒髪に、顔は元の顔に比べればかなり地味だが、周りの女子に比べれば可愛い程度の顔になり、目も黒いろになった。また、チョーカーの効果なのか、胸も縮んでBあるかないかくらいの貧乳になっている。

「え!胸がなくなった?!凄い!見た目だけじゃなくて、ちゃんと縮んでる…!」

   驚きと感動が入り交じった目で胸をペタリと触る。軽くなったー!と言いながらその場で飛び跳ねている。

「おう。眼鏡を取ったらちゃんと戻るから安心しろ。だが、眼鏡を取ったら目と髪の色以外全部戻るからな。気をつけろよ。
……予定では普通な顔になるはずだったんだがな。元が良すぎたか?白ではこの項目の実験は出来ないな」

   新作品の実験結果(白雪でお試しをしてみた)を手持ちのメモ帳に書き込むと、ちらりと白雪を見たあと、注意するエルド。その後ボソボソと顎に手を当てて思案している。既に自分の世界に入ってしまっていた。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

こんばんは!アリスです!

今回は更新が遅れてすみませんでした💧
次回からも不定期になるかもしれませんが、暖かい目で見守っていただければ幸いです。
今回の話で、白雪ちゃんをアリスにしたのは別に自分がアリスだからじゃないです(アリスという名前が好きなだけです 笑)

それと、お気に入り登録350も!ありがとうございます(*^^*)
学校が始まって小説を書く時間がなくなるので、投稿できない日もあると思いますが、なるべく投稿できるように頑張ります!

ではでは、これからも白雪ちゃん共々よろしくお願いしますm(_ _)m
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

【完結】前世聖女のかけだし悪女

たちばな立花
ファンタジー
 魔王を退治し世界を救った聖女が早世した。  しかし、彼女は聖女の能力と記憶を残したまま、実兄の末娘リリアナとして生まれ変わる。  妹や妻を失い優しい性格が冷酷に変わってしまった父、母を失い心を閉ざした兄。  前世、世界のために家族を守れなかったリリアナは、世間から悪と言われようとも、今世の力は家族のために使うと決意する。  まずは父と兄の心を開いて、普通の貴族令嬢ライフを送ろうと思ったけど、倒したはずの魔王が執事として現れて――!?  無表情な父とツンがすぎる兄と変人執事に囲まれたニューライフが始まる!

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

豚公子の逆襲蘇生

ヤネコ
ファンタジー
肥満体の公爵令息ポルコは婚約者の裏切りを目撃し、憤死で生涯を終えるはずだった。だが、憤怒の中に燃え尽きたはずのポルコの魂は、社内政争に敗れ命を落とした男武藤の魂と混じり合う。 アニメ化も決定した超人気ロマンスファンタジー『婚約者の豚公子に虐げられていましたが隣国皇子様から溺愛されています』を舞台に、『舞台装置』と『負け犬』落伍者達の魂は、徹底した自己管理と泥塗れの知略で再点火する。 ※主人公の『原作知識』は断片的(広告バナーで見た一部分のみ)なものとなります。 己の努力と知略を武器に戦う、ハーレム・チート・聖人化無しの復讐ファンタジーです。 準備を重ねて牙を剥く、じっくり型主人公をお楽しみください。 【お知らせ】 第7話「結実の前夜」は2026/02/09 08:00公開予定です。

処理中です...