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二章 忍び寄る影
episode27 吸血鬼事件⑤
しおりを挟むどうやら、このクラスでのルセのカーストはかなり上位のようだ。
(なんですか?ほんと、このめんどくさい人達は!)
(知らねぇよ!こいつらに言え。俺だって関わりたくなかったっつーのに!)
(貴方がこのクラスのボス的なアレなんでしょう!)
(何だよボスって!!)
「…」
「…」
無言で見つめ合いながら念話で会話する2人。見つめあってから全く動く気配がない2人に、生徒達が困惑した表情をしている。
(とりあえず、今日はもう帰ります。これで授業も終わりみたいですし)
(わかった。調査で報告が来ている。後でお前の家に向かう)
それだけ念話で伝えた白雪は、そのまま校庭の端にある門へ日傘をさしながら歩いていった。
魔道具で色を変えた長い黒髪を風になびかせながら去る白雪の背中を、マリーがいつもの可愛い表情を消し、目に憎悪を宿しながら見ていた。
......................................................
「それで、吸血鬼事件の進展を聞かせて下さい」
その夜、ルセは言った通りに白雪の家へ来ていた。ルセが部屋へ上がるなり、早速話を聞く。
「はいはい。まずは、あの男の事だが…。間違いなく吸血鬼だ。顔は完全に隠されて見えないが、月光を浴びた時あの男の顔あたりが赤く光ったそうだ。聖水で怯んだのもあるし、間違いないな」
「同族…。私は、吸血鬼達のことは知りませんよ。あの時、皆…」
(私を置いていったから)
その言葉をぐっと飲み込み、俯く。同じ吸血鬼で、元はその者達の頂点である王族だったのに情けない。そう思った。
「別に、そこは期待してない。知ってそうだったらすぐに教会本部に連れて行って吐かせるけどな」
そう言って、膝の上で震えていた白雪の手を取った。
「ーっ!」
まだ剣の呪いのせいで癒えてない傷を触られ、今度は痛みに震えた。
「え、あっ…。わりぃ…」
「いえ…。ですが、次にあの男と会うことになった時、武器を持てないと言うのは痛いですね」
「……何が言いたい」
「あれ?わかってるんじゃないんですか~?」
「チッ………早く済ませろ」
「えっへへ~」
白雪は嬉しそうにルセをベッドの上に引っ張ると、ぴょんとその膝の上に飛び乗った。
その際、白雪の豊満な胸がむにゅりと当たって、ルセの顔が真っ赤になる。しかし、すぐにニヤリと悪い笑みを浮かべて…
「ただし献血で」
「………え?」
「え?じゃねぇよ!あんなん何回もできるかっつゥの!!別に献血でも回復できるってことは今日教会で確認済みだ」
「ええええぇ!っケチ!!」
「ならやめとこう。じゃ、俺は帰るから」
そう言って立ち去ろうと腰を浮かしかけた彼を慌ててベッドに押し込む白雪。
「も、貰います貰わせて頂きます!!」
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