歪んだ愛に笑う

レイティア

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僕とロデリック様

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物心ついた時には奴隷だった

薄暗くジメジメした牢で、飼われるように、ただ息を吸うだけのように生きていた

そして6歳の時、僕は闇ギルドに買われた

色んな訓練をさせられ、暗殺者になった

沢山の人を殺した

10歳の時、ルニース侯爵の暗殺に失敗し捕まった

暗殺者にとって失敗は死だ

だが口の中に含んでいた毒も取り上げられ、死ぬ事も出来なかった

その上

「お前、俺に雇われないか?
お前の技術は凄い
息子の護衛になってくれ」

と言われた

馬鹿なのだろうか?

自分の命を狙った奴に息子の護衛をしろなどと

でも、失敗した以上戻る事はできない

それに僕は捕まった

敗者に拒否権などない

僕は従者兼護衛になる事を受け入れた


それから2年

色んな教育を受けた

従者として必要な事や、護衛としての技術

僕は三男ロデリックの7歳の誕生日に従者となった

全てを見透かすような深い朱の瞳が、恐ろしくも綺麗だと思った

ロデリックは静かで、よく本を読んでいる

僕が返事をしなくても、色んな事を教えてくれた

基本的な歴史やマナーといった事は2年の間に習った

ロデリック様が教えてくれるのは、日常に溢れたものだったり、異国の言語だったり、薬草についてだったり、とても穏やかに教えてくださった


そして13の夏、ただの気まぐれだったかも知れないけど、僕はロデリック様に押し倒された

優しく微笑み触れる手は心地よく、僕の中を蠢く指は初めての快楽をもたらした

不安を抑えられない僕を、ロデリック様は優しく触れてくださった

沢山のキスもしていただいた

額に、頬に、首筋に…でも唇にはしてくださらない

それが何故かとても苦しかった

それから何度もロデリック様は僕に触れられた

でも、唇にも、最後までもしてくれない…

学園に入られてからは、沢山の女と関わるようになった

それが苦しくて、女どもを八つ裂きにしたくなった

あの指は、笑みは僕のだ

そう、違うのに叫びたくなる…

ただ、側で触れてくださればいいと思っていたのに…

もう…耐えられない

ロデリック様の部屋に入り、眠るロデリック様を見つめる

「ロデリック様…」




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「ロデリック」と「ロデリック様」と2つありますが、これは忠誠度の違いによるものです
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