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一章
リュカに会いに2
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「いらないんですか?こんなに美味しいのに…」
「……………」
暫く黙ったあと、僕は頷いた。
「「………………」」
僕とノアの間に沈黙が流れた。
ー流れてしまった。
「「……………………………」」
ー気まずい。
「…あ!あれ?何か揉め事でしょうか?」
ノアが何処かを指で指している。
「ん?どこ?」
ノアが指を指した先を目で追う。そこにいたのは…
「ちょっと!止めてよ!離して!」
「ーーーーー」
「…………は?ねぇ!ちょっと、止めて!奴隷になんかなんないって!」
「ーーーーーーーー」
「嫌だ!…嫌だ!貴族に買われるなんて嫌!貴族なんて嫌い!」
リュカがいた。 リュカの腕を掴み無理矢理引きずっているのは、丸々太ったデブな貴族。デブの方は何を言っているのかあまり聞こえない。
「…あれは、無視しとくべきですね…違うとこ行きま…って、トワ様!?」
「……あの!困ってますよ!止めてあげてください!」
「…………あ?…って、トワちゃん?」
何で僕の名前を知っているんだ…?そう思いデブの顔を良く見る。
「?…って、あ~!何か見たことある顔!…誰だっけ?」
はて…?どこかで見たことがあるんだが……誰?
「トワちゃん…俺の甥だろ?親戚なのに見たことある顔って…。ひどくない?」
甥…つまりこいつは僕を虐待していた奴の弟…叔父だ。
ーそんな奴、会いたくない。
「なるほど!僕を虐待してた奴の兄弟?分かった!さよなら!」
そう言い、僕はリュカの手を掴んで立ち去ろうとするーが、
「トワちゃん?何か誤解してるかもしれないから一応言っておくが、この子はセフレ……男と一日寝ることでお金を稼いでたんだ。んでー」
話が長い。
「この子に酷いことしようとしてた事実は変わりません。言い訳しないでください。さよなら。」
「…いや、あの、簡潔に説明するよ!この子は睡眠不足で倒れる寸前だったから、奴隷として良い貴族に買われた方が良いと思ったんだ!最悪俺が買おうとも思ってたんだ!なぁ?」
本当か?…そう思いリュカの方を見るとうんうんと頷いていた。
「なるほど。分かりました。んじゃ、この子僕が買いますので、お金あげます。はい。」
適当な数の札束を雑に彼の手に置く。
「はい。リュカ…あ、これ君の名前ね。君はこれから殿下の…」
「好き!…名前まで付けてくれるなんて…
ーリュカ、貴方のことが好きになりました!」
「……へ?…え、え?」
「トワちゃん…、トワちゃんなら買われても良いよ。今まで貴族のことは嫌いだったけど…トワちゃんなら良い。よ。」
そう言い、僕の手を恋人繋ぎで握るリュカ。
上目遣いでこちらを見上げてくる。
ー可愛すぎない?
というか、どうしてこんなことに~?!
「……………」
暫く黙ったあと、僕は頷いた。
「「………………」」
僕とノアの間に沈黙が流れた。
ー流れてしまった。
「「……………………………」」
ー気まずい。
「…あ!あれ?何か揉め事でしょうか?」
ノアが何処かを指で指している。
「ん?どこ?」
ノアが指を指した先を目で追う。そこにいたのは…
「ちょっと!止めてよ!離して!」
「ーーーーー」
「…………は?ねぇ!ちょっと、止めて!奴隷になんかなんないって!」
「ーーーーーーーー」
「嫌だ!…嫌だ!貴族に買われるなんて嫌!貴族なんて嫌い!」
リュカがいた。 リュカの腕を掴み無理矢理引きずっているのは、丸々太ったデブな貴族。デブの方は何を言っているのかあまり聞こえない。
「…あれは、無視しとくべきですね…違うとこ行きま…って、トワ様!?」
「……あの!困ってますよ!止めてあげてください!」
「…………あ?…って、トワちゃん?」
何で僕の名前を知っているんだ…?そう思いデブの顔を良く見る。
「?…って、あ~!何か見たことある顔!…誰だっけ?」
はて…?どこかで見たことがあるんだが……誰?
「トワちゃん…俺の甥だろ?親戚なのに見たことある顔って…。ひどくない?」
甥…つまりこいつは僕を虐待していた奴の弟…叔父だ。
ーそんな奴、会いたくない。
「なるほど!僕を虐待してた奴の兄弟?分かった!さよなら!」
そう言い、僕はリュカの手を掴んで立ち去ろうとするーが、
「トワちゃん?何か誤解してるかもしれないから一応言っておくが、この子はセフレ……男と一日寝ることでお金を稼いでたんだ。んでー」
話が長い。
「この子に酷いことしようとしてた事実は変わりません。言い訳しないでください。さよなら。」
「…いや、あの、簡潔に説明するよ!この子は睡眠不足で倒れる寸前だったから、奴隷として良い貴族に買われた方が良いと思ったんだ!最悪俺が買おうとも思ってたんだ!なぁ?」
本当か?…そう思いリュカの方を見るとうんうんと頷いていた。
「なるほど。分かりました。んじゃ、この子僕が買いますので、お金あげます。はい。」
適当な数の札束を雑に彼の手に置く。
「はい。リュカ…あ、これ君の名前ね。君はこれから殿下の…」
「好き!…名前まで付けてくれるなんて…
ーリュカ、貴方のことが好きになりました!」
「……へ?…え、え?」
「トワちゃん…、トワちゃんなら買われても良いよ。今まで貴族のことは嫌いだったけど…トワちゃんなら良い。よ。」
そう言い、僕の手を恋人繋ぎで握るリュカ。
上目遣いでこちらを見上げてくる。
ー可愛すぎない?
というか、どうしてこんなことに~?!
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