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決戦の日が来た。王宮の広間は普段よりも重々しい空気に包まれ、グレイヴとメルヴィル伯爵の双方がテーブルを挟んで向かい合う。周囲には役人たちがずらりと並び、その背後にハロルドやオズワルド、そしてリリアナたちが控える形だ。
「では、これよりグレイヴ男爵とメルヴィル伯爵の一連の疑惑について、最終的な審議を行う。王家に仇なす行為があれば相応の罰を受けることになる。覚悟はあるか」
「はい」
グレイヴが静かに肯定する一方、メルヴィル伯爵は貴族然とした態度で頷く。だが、その目には勝ち誇った光が宿っているように見える。
「私もやましいことは何もありません。むしろ男爵の不正を正すため、この場を借りたまでです」
皮肉たっぷりな口調に会場が息を呑むが、役人が淡々と進行を続ける。
「これまでの書類や証言に加え、今回新たに提示された資料がある。まずは公爵家より提出された、伯爵の裏金に関する疑惑を確認したい」
「な、何を言っている。私が裏金など……」
「複数の名義で金銭のやり取りが発生している形跡がある。特定の人物への支払い日が、あなたの提出した証人が現れた日と一致しているという指摘だ」
王宮の役人の言葉に、メルヴィル伯爵は明らかに動揺する。だが、すぐに態度を取り繕うように反論を試みる。
「私の領地の事業の一環だ。それが不正と決めつけるのは早計ではないか」
「では、その事業の詳細を示していただきたい」
伯爵が求められて苦し紛れに書類を出すが、そこには曖昧な数字しか書かれていない。ハロルドが傍らで低い声を漏らす。
「やはり、伯爵は急造の書類しか用意していないようだな」
さらにオズワルドが小声で続ける。
「これで証人への買収を追及できるはず。俺が集めた情報でも、どう考えても事業とは呼べない金の流れがある」
そうして役人たちが伯爵の書類を精査し始めると、さまざまな不備が次々と見つかる。一方、グレイヴ側の資料は厳重に整合性が取れており、領民の証言とも矛盾しない。
「男爵の領地では実際に道路整備や公共施設の補修が行われ、資金の出所も領地の収入と私財から成り立っている。調べるほどに不正の形跡はない」
「それに比べ、伯爵のほうは記録が曖昧だ。証人の存在自体、男爵領の住民名簿と一致しないのも含めると、作り話の可能性が高い」
会場内の空気が一変する。これまで伯爵側に疑念を抱いていなかった者たちも、次第に眉をひそめ始める。メルヴィル伯爵は焦りの色を隠しきれず、声を荒らげた。
「これは男爵と公爵家が結託した陰謀だ。私を貶めるために書類を偽造したに違いない」
「偽造ならば、ここまで綿密にはならない。むしろ、あなたの提出した証拠こそ矛盾だらけだ」
王宮の役人が厳しい口調で伯爵を諫めると、伯爵はついに言葉を失う。その目はギラつき、どうにか反論を探ろうとするが、もはや形勢逆転は明白だった。
「……」
その時、グレイヴは静かに口を開き、審議の場を一瞬で引き締める。
「私が領地を守り、正しい税を納めているのは書類と証言が証明している。これ以上、伯爵の無意味な告発に付き合う必要はない。どう判断されるかは、そちらにお任せする」
すとんと落ち着いた響きに、王宮の者たちはうなずき合う。こうしてメルヴィル伯爵の策略は完全に露呈し、最終的に「伯爵の虚偽告発」と認定される方向で幕を下ろすことになった。
伯爵は厳しい処分を避けられないだろう。今は深い沈黙を守ったまま、うなだれている。リリアナやハロルド、オズワルドはお互いに安堵の笑みを交わし、グレイヴも微かに頷く。
長い戦いにようやく終止符が打たれようとしていた。
「では、これよりグレイヴ男爵とメルヴィル伯爵の一連の疑惑について、最終的な審議を行う。王家に仇なす行為があれば相応の罰を受けることになる。覚悟はあるか」
「はい」
グレイヴが静かに肯定する一方、メルヴィル伯爵は貴族然とした態度で頷く。だが、その目には勝ち誇った光が宿っているように見える。
「私もやましいことは何もありません。むしろ男爵の不正を正すため、この場を借りたまでです」
皮肉たっぷりな口調に会場が息を呑むが、役人が淡々と進行を続ける。
「これまでの書類や証言に加え、今回新たに提示された資料がある。まずは公爵家より提出された、伯爵の裏金に関する疑惑を確認したい」
「な、何を言っている。私が裏金など……」
「複数の名義で金銭のやり取りが発生している形跡がある。特定の人物への支払い日が、あなたの提出した証人が現れた日と一致しているという指摘だ」
王宮の役人の言葉に、メルヴィル伯爵は明らかに動揺する。だが、すぐに態度を取り繕うように反論を試みる。
「私の領地の事業の一環だ。それが不正と決めつけるのは早計ではないか」
「では、その事業の詳細を示していただきたい」
伯爵が求められて苦し紛れに書類を出すが、そこには曖昧な数字しか書かれていない。ハロルドが傍らで低い声を漏らす。
「やはり、伯爵は急造の書類しか用意していないようだな」
さらにオズワルドが小声で続ける。
「これで証人への買収を追及できるはず。俺が集めた情報でも、どう考えても事業とは呼べない金の流れがある」
そうして役人たちが伯爵の書類を精査し始めると、さまざまな不備が次々と見つかる。一方、グレイヴ側の資料は厳重に整合性が取れており、領民の証言とも矛盾しない。
「男爵の領地では実際に道路整備や公共施設の補修が行われ、資金の出所も領地の収入と私財から成り立っている。調べるほどに不正の形跡はない」
「それに比べ、伯爵のほうは記録が曖昧だ。証人の存在自体、男爵領の住民名簿と一致しないのも含めると、作り話の可能性が高い」
会場内の空気が一変する。これまで伯爵側に疑念を抱いていなかった者たちも、次第に眉をひそめ始める。メルヴィル伯爵は焦りの色を隠しきれず、声を荒らげた。
「これは男爵と公爵家が結託した陰謀だ。私を貶めるために書類を偽造したに違いない」
「偽造ならば、ここまで綿密にはならない。むしろ、あなたの提出した証拠こそ矛盾だらけだ」
王宮の役人が厳しい口調で伯爵を諫めると、伯爵はついに言葉を失う。その目はギラつき、どうにか反論を探ろうとするが、もはや形勢逆転は明白だった。
「……」
その時、グレイヴは静かに口を開き、審議の場を一瞬で引き締める。
「私が領地を守り、正しい税を納めているのは書類と証言が証明している。これ以上、伯爵の無意味な告発に付き合う必要はない。どう判断されるかは、そちらにお任せする」
すとんと落ち着いた響きに、王宮の者たちはうなずき合う。こうしてメルヴィル伯爵の策略は完全に露呈し、最終的に「伯爵の虚偽告発」と認定される方向で幕を下ろすことになった。
伯爵は厳しい処分を避けられないだろう。今は深い沈黙を守ったまま、うなだれている。リリアナやハロルド、オズワルドはお互いに安堵の笑みを交わし、グレイヴも微かに頷く。
長い戦いにようやく終止符が打たれようとしていた。
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