森の中の転生姫は王子に溺愛され世界を救う

もも苺

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第一章 森の中の転生姫は王子と密会する

9. 週末の密会 後編

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「エミリは元の世界で何をしていたんだい?」


紅茶を一口飲み、王子は尋ねた。


「私は小学校で…子供達の学校の先生をしていたの」


「へぇ、勉強を教えることが好きなの?」


「うーん、教えることが好きっていうのもあるし、子供達と深く関わって成長を見るのも楽しかったわ…けど、私は子供達を救えな…かった。」


私は不意に生徒たちの顔を思い出して、救ってあげられなかった事への悔しさが蘇り涙が溢れてきた。


(転生してきて色々あったから考える余地も無かったけど、やっぱり悔しい)


王子は私をそっと抱き寄せた。


「エミリ。きっと子供達は君に感謝しているよ。」


私はパッと離れて、

「なっなんでそんなことが言えるのよ!?」

と叫んだ。そんなわけない。子供達は悲しんでいた。


「エミリが精霊達とこんなにも早く打ち解けているのは仲良くなったこともそうだけど、植物に対する愛情も精霊達に伝わっているんだ」


王子は私の手を取り両手で包んだ。


「僕にも君がどんなに愛情深い人か分かる」


「テオ…ドール様…」


私の重い心がスッと軽くなったような気がする。

太陽に当たってキラキラしているエメラルド色の瞳がこちらを覗く。


「…それに、子供が好きなのは僕も同じだよ。」


ニコッと不敵な笑みを浮かべそう答えた。


子供…。王子との子供…
5年以内。


私は考えまいとしていた事が頭に浮かんできて顔がカァッと赤くなった。


「ちょっ!せっかく、その事は忘れていたのに!!」


「忘れるって酷いなあ。これは僕の願望でもあるけど、エミリが元いた世界の子供達を救うことでもあるんだよ!」


私はハッとした。


(そうだ。今すぐにとは無理だけど、儀式を行わなければこの世界だけでなく元いた世界、転生した生徒達もまた救えない事になるんだわ。)


「…ええ。そうだったわ。ごめんなさい」


私が謝ると王子は慌てた様子で、


「ごめん、謝るのはこちらの方だ。君1人に重い責任を押し付けたくない。全力で貴方を守る。辛いことがあったらいつでも頼ってくれ。」


そう言うと、婚約印の入った左腕にキスをした。


キスをした瞬間婚約印は一瞬エメラルドグリーンの光を放ち、すぐに元の緑の刺青に戻った。


「婚約印に通信の魔法をかけた。良かったら毎晩連絡してくれ。」


「ありがとう、テオドール様。毎晩…連絡致します。」


王子は頷き、しかしちょっと不満そうに


「やっぱり、テオって呼んでくれない?それに徐々にで良いから敬語はなしでね!」


「え、そんな急に無理…」


『です。』と言う前に王子は私の唇を塞いだ。


逃げようとしてもソファーの上で両手で壁ドンされているような体制なので動けない。


そっと唇を離して王子は、


「テオって呼ばないとキスを続けるよ?」


そう言いまた唇をを重ねてくる。

今度は唇をなぞる様にペロッと舐められて私は恥ずかしさの限界を迎えた。


顔を真っ赤にさせてポカポカと胸板を叩く。


「ああ、残念。僕の姫はかなりの恥ずかしがり屋のようだ。」


「テっテオ!テオって呼ぶからっ!キス終了!」


王子は嬉しそうな表情を浮かべ満足げに、


「続きは次の週末でね。心の準備しておいて。」


「っ!しません!!」


そう叫ぶと王子は捨てられた子犬のように悲しそうな目をしてあからさまにションボリしたのだ。

くっ!可愛いっ

「…わっ分かった。キスだけ!キスだけならいいよ。」

そう言うと、王子は元気を取り戻してまた唇に軽いキスをし「ありがとう」と呟いた。

(あ、早まったかしら…)


後悔したがもう言ってしまったものは仕方がない。それに、テオにキスされるのは嫌じゃない。


その後森の中を散歩したりお家で食事をしてテオは帰っていった。


「はぁ~!疲れたー!」


緊張で気を張り詰めていたのだろう、眠気でベットに突っ伏してそのまま眠りについた。



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ありがとうございました。

第一章はあと4.5話で終わる予定です。
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