9 / 13
第一章 森の中の転生姫は王子と密会する
9. 週末の密会 後編
しおりを挟む_____________________________________________
「エミリは元の世界で何をしていたんだい?」
紅茶を一口飲み、王子は尋ねた。
「私は小学校で…子供達の学校の先生をしていたの」
「へぇ、勉強を教えることが好きなの?」
「うーん、教えることが好きっていうのもあるし、子供達と深く関わって成長を見るのも楽しかったわ…けど、私は子供達を救えな…かった。」
私は不意に生徒たちの顔を思い出して、救ってあげられなかった事への悔しさが蘇り涙が溢れてきた。
(転生してきて色々あったから考える余地も無かったけど、やっぱり悔しい)
王子は私をそっと抱き寄せた。
「エミリ。きっと子供達は君に感謝しているよ。」
私はパッと離れて、
「なっなんでそんなことが言えるのよ!?」
と叫んだ。そんなわけない。子供達は悲しんでいた。
「エミリが精霊達とこんなにも早く打ち解けているのは仲良くなったこともそうだけど、植物に対する愛情も精霊達に伝わっているんだ」
王子は私の手を取り両手で包んだ。
「僕にも君がどんなに愛情深い人か分かる」
「テオ…ドール様…」
私の重い心がスッと軽くなったような気がする。
太陽に当たってキラキラしているエメラルド色の瞳がこちらを覗く。
「…それに、子供が好きなのは僕も同じだよ。」
ニコッと不敵な笑みを浮かべそう答えた。
子供…。王子との子供…
5年以内。
私は考えまいとしていた事が頭に浮かんできて顔がカァッと赤くなった。
「ちょっ!せっかく、その事は忘れていたのに!!」
「忘れるって酷いなあ。これは僕の願望でもあるけど、エミリが元いた世界の子供達を救うことでもあるんだよ!」
私はハッとした。
(そうだ。今すぐにとは無理だけど、儀式を行わなければこの世界だけでなく元いた世界、転生した生徒達もまた救えない事になるんだわ。)
「…ええ。そうだったわ。ごめんなさい」
私が謝ると王子は慌てた様子で、
「ごめん、謝るのはこちらの方だ。君1人に重い責任を押し付けたくない。全力で貴方を守る。辛いことがあったらいつでも頼ってくれ。」
そう言うと、婚約印の入った左腕にキスをした。
キスをした瞬間婚約印は一瞬エメラルドグリーンの光を放ち、すぐに元の緑の刺青に戻った。
「婚約印に通信の魔法をかけた。良かったら毎晩連絡してくれ。」
「ありがとう、テオドール様。毎晩…連絡致します。」
王子は頷き、しかしちょっと不満そうに
「やっぱり、テオって呼んでくれない?それに徐々にで良いから敬語はなしでね!」
「え、そんな急に無理…」
『です。』と言う前に王子は私の唇を塞いだ。
逃げようとしてもソファーの上で両手で壁ドンされているような体制なので動けない。
そっと唇を離して王子は、
「テオって呼ばないとキスを続けるよ?」
そう言いまた唇をを重ねてくる。
今度は唇をなぞる様にペロッと舐められて私は恥ずかしさの限界を迎えた。
顔を真っ赤にさせてポカポカと胸板を叩く。
「ああ、残念。僕の姫はかなりの恥ずかしがり屋のようだ。」
「テっテオ!テオって呼ぶからっ!キス終了!」
王子は嬉しそうな表情を浮かべ満足げに、
「続きは次の週末でね。心の準備しておいて。」
「っ!しません!!」
そう叫ぶと王子は捨てられた子犬のように悲しそうな目をしてあからさまにションボリしたのだ。
くっ!可愛いっ
「…わっ分かった。キスだけ!キスだけならいいよ。」
そう言うと、王子は元気を取り戻してまた唇に軽いキスをし「ありがとう」と呟いた。
(あ、早まったかしら…)
後悔したがもう言ってしまったものは仕方がない。それに、テオにキスされるのは嫌じゃない。
その後森の中を散歩したりお家で食事をしてテオは帰っていった。
「はぁ~!疲れたー!」
緊張で気を張り詰めていたのだろう、眠気でベットに突っ伏してそのまま眠りについた。
_____________________________________________
ありがとうございました。
第一章はあと4.5話で終わる予定です。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる