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11学校での双子~ミツキ~
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弟のミツキも教室に入る前に深呼吸をしていた。ミツキは、ヒナタよりも卒業後の進路の話題に敏感になっていた。
「当たり前だよな。俺なんか、母親に高校に行くなと言われているからな。進路についての話に敏感にならないわけがない。」
教室のドアに手をかける。
「俺は水藤ミツキ。それだけわかっていればいい。」
「おはよう。ミツキ。」
「おはよう。ミツキ君。」
「おはよう。」
ミツキもヒナタと同様に成績優秀、運動神経もよかった。顔も兄のヒナタとそっくりのため、それだけでクラスの人気者だった。しかし、それ以外の面ではヒナタとは正反対だった。
ミツキも周りのことに関心はなかった。兄のヒナタさえ居ればいいと思っていた。それが顕著に現れていた。ヒナタは他人に関心がなくとも、クラス内で浮かないように行動をしていたが、ミツキはそれすら面倒だと思っていた。
ヒナタにさえ、嫌われなければいい。それだけだったので、必要以上にクラスメイトと話すことはなかった。
クラスメイトからは、クールキャラとして人気を集めていた。女子から告白もされるが、クールなキャラでいるせいか、女子に興味がないように見えるのか、男子からも人気があった。しかし、完全にクールというわけでもなかった。気に入らないことがあると、つい本音をそのまま相手にぶつけてしまうことがあった。
「ミツキは、高校をどこにするのか決めた?私は、A高にしようと思っているけど。」
ミツキのクールな性格にもへこたれずに話しかけるクラスメイトがいた。双子の家の近所に住んでいる、俗にいう幼馴染だ。彼女は昔から双子のことを知っているので、クールなミツキが話しかけると、きちんと答えてくれることを知っていた。
「さあな。俺がどこの高校に行こうがどうでもいいだろ。幼馴染だからといって、高校まで一緒とかマジキモい。」
ミツキもヒナタ同様、苛立っていた。ヒナタよりひどいかもしれない。母親から高校に行くなと言われているのだ。腹が立つに決まっている。いつもより、突き放す言葉になってしまった。
「ひどい。そんなこと言わなくてもいいじゃない。キモいというなら、あんたたち双子の方がよっぽどキモいわよ。暇さえあれば一緒に居て、いい加減、自立したらどうなの。この先もずっと一緒に居られるわけないんだから。」
幼馴染の彼女の悪いところは、空気が読めないことであった。何年も一緒に居るというのに、双子に対して、言ってはいけないことを言ってしまうくらいには空気が読めていなかった。
彼女は、双子に好意を抱いていた。A高校に行きたい理由は、双子と一緒に居たいがためだった。しかし、A高校は地元でも有名な進学校であり、彼女の成績では到底合格できそうになかった。それでも、双子がA校に行くと信じて、A高に行くと宣言していた。
自分が双子と釣り合う唯一の女だと自負していた。
「はあ。もう一度行ってみろ。くそ女。」
「何度でも言うわよ。キモいのよ、いつまでも双子同士で仲がいいなんて。」
「この。」
「キーンコーン、カーンコーン。」
ミツキはチャイムの音で我に返る。自分は今、このクラスメイトに何をしようとしていたのか。自分の握られた拳が幼馴染の顔の前まで伸びていた。彼女は、恐怖で目をつむって震えていた。
「ばかばかしい。お前なんて殴る価値もない。」
そう吐き捨てて、ミツキは自分の席に着いた。いつの間にか、ミツキと彼女の周りには人だかりができていたが、ミツキが席に着くと、皆もおとなしく席に着くのだった。
ミツキもまた、憂鬱な一日が始まる予感がしていた。
放課後、双子は各担任に呼びだされていた。双子は、昼休みにどう先生に言い訳しようか、人気のない特別教室につながる階段で話し合っていた。
「今日は散々だった。幼馴染面してうざい、あいつは特に。」
「いつものことだろ。俺だって、高校の進路について聞かれて苛立ったよ。」
「珍しい。ヒナタが『俺』なんて。よっぽど、ヒナタも腹が立ってるんだな。」
「当たり前だろう。」
まずは、今日の出来事の愚痴を言い合う。そして、問題の先生に対する進路の答えをどうするか考え始めた。
「で、先生にはどう答えようか。」
「ヒナタはK学園でいいだろ。母親がそう言っているんだから問題ない。問題なのは俺の方だ。俺もK学園って言ってもいいかどうかだ。」
「僕がK学園というなら、ミツキもK学園にしなよ。僕たちは一緒に高校に行くんだろう。そうだ、ずっと一緒にいると決めているだろう。」
「それもそうだ。」
二人は再度、自分たちがずっと一緒に居ることを確認した。今回は一緒に居るための試練だと考えることにした。試練を乗り越えるために、二人は知恵を絞る必要があった。
「二人ともK学園が妥当だな。お金はどうするって言われても、じいさんから援助してもらえるって言っておけばいいだろ。」
「そうだね。うちの家のお金だけじゃあ、どうしようもないし。でも、祖父のことは言わない方がいいかもしれない。祖父のことは聞かれるまで秘密にしておこう。」
「それが無難だな。」
二人はお互いの額をこつんと合わせて、微笑み合う。
「ずっと一緒に居ような。ヒナタ。」
「そっちこそ、離れるなよ。ミツキ。」
二人だけの、まるで恋人同士の甘い空気がその場に広がる。双子はチャイムが鳴るまでじっとそのまま動くことはなかった。
双子の担任は、K学園に行きたいという希望に反対することはなかった。お金に対して聞かれることもなかった。不思議に思った双子だったが、追及されないに越したことはない。そのまま、何事もなく夏休みに突入するのだった。
「当たり前だよな。俺なんか、母親に高校に行くなと言われているからな。進路についての話に敏感にならないわけがない。」
教室のドアに手をかける。
「俺は水藤ミツキ。それだけわかっていればいい。」
「おはよう。ミツキ。」
「おはよう。ミツキ君。」
「おはよう。」
ミツキもヒナタと同様に成績優秀、運動神経もよかった。顔も兄のヒナタとそっくりのため、それだけでクラスの人気者だった。しかし、それ以外の面ではヒナタとは正反対だった。
ミツキも周りのことに関心はなかった。兄のヒナタさえ居ればいいと思っていた。それが顕著に現れていた。ヒナタは他人に関心がなくとも、クラス内で浮かないように行動をしていたが、ミツキはそれすら面倒だと思っていた。
ヒナタにさえ、嫌われなければいい。それだけだったので、必要以上にクラスメイトと話すことはなかった。
クラスメイトからは、クールキャラとして人気を集めていた。女子から告白もされるが、クールなキャラでいるせいか、女子に興味がないように見えるのか、男子からも人気があった。しかし、完全にクールというわけでもなかった。気に入らないことがあると、つい本音をそのまま相手にぶつけてしまうことがあった。
「ミツキは、高校をどこにするのか決めた?私は、A高にしようと思っているけど。」
ミツキのクールな性格にもへこたれずに話しかけるクラスメイトがいた。双子の家の近所に住んでいる、俗にいう幼馴染だ。彼女は昔から双子のことを知っているので、クールなミツキが話しかけると、きちんと答えてくれることを知っていた。
「さあな。俺がどこの高校に行こうがどうでもいいだろ。幼馴染だからといって、高校まで一緒とかマジキモい。」
ミツキもヒナタ同様、苛立っていた。ヒナタよりひどいかもしれない。母親から高校に行くなと言われているのだ。腹が立つに決まっている。いつもより、突き放す言葉になってしまった。
「ひどい。そんなこと言わなくてもいいじゃない。キモいというなら、あんたたち双子の方がよっぽどキモいわよ。暇さえあれば一緒に居て、いい加減、自立したらどうなの。この先もずっと一緒に居られるわけないんだから。」
幼馴染の彼女の悪いところは、空気が読めないことであった。何年も一緒に居るというのに、双子に対して、言ってはいけないことを言ってしまうくらいには空気が読めていなかった。
彼女は、双子に好意を抱いていた。A高校に行きたい理由は、双子と一緒に居たいがためだった。しかし、A高校は地元でも有名な進学校であり、彼女の成績では到底合格できそうになかった。それでも、双子がA校に行くと信じて、A高に行くと宣言していた。
自分が双子と釣り合う唯一の女だと自負していた。
「はあ。もう一度行ってみろ。くそ女。」
「何度でも言うわよ。キモいのよ、いつまでも双子同士で仲がいいなんて。」
「この。」
「キーンコーン、カーンコーン。」
ミツキはチャイムの音で我に返る。自分は今、このクラスメイトに何をしようとしていたのか。自分の握られた拳が幼馴染の顔の前まで伸びていた。彼女は、恐怖で目をつむって震えていた。
「ばかばかしい。お前なんて殴る価値もない。」
そう吐き捨てて、ミツキは自分の席に着いた。いつの間にか、ミツキと彼女の周りには人だかりができていたが、ミツキが席に着くと、皆もおとなしく席に着くのだった。
ミツキもまた、憂鬱な一日が始まる予感がしていた。
放課後、双子は各担任に呼びだされていた。双子は、昼休みにどう先生に言い訳しようか、人気のない特別教室につながる階段で話し合っていた。
「今日は散々だった。幼馴染面してうざい、あいつは特に。」
「いつものことだろ。俺だって、高校の進路について聞かれて苛立ったよ。」
「珍しい。ヒナタが『俺』なんて。よっぽど、ヒナタも腹が立ってるんだな。」
「当たり前だろう。」
まずは、今日の出来事の愚痴を言い合う。そして、問題の先生に対する進路の答えをどうするか考え始めた。
「で、先生にはどう答えようか。」
「ヒナタはK学園でいいだろ。母親がそう言っているんだから問題ない。問題なのは俺の方だ。俺もK学園って言ってもいいかどうかだ。」
「僕がK学園というなら、ミツキもK学園にしなよ。僕たちは一緒に高校に行くんだろう。そうだ、ずっと一緒にいると決めているだろう。」
「それもそうだ。」
二人は再度、自分たちがずっと一緒に居ることを確認した。今回は一緒に居るための試練だと考えることにした。試練を乗り越えるために、二人は知恵を絞る必要があった。
「二人ともK学園が妥当だな。お金はどうするって言われても、じいさんから援助してもらえるって言っておけばいいだろ。」
「そうだね。うちの家のお金だけじゃあ、どうしようもないし。でも、祖父のことは言わない方がいいかもしれない。祖父のことは聞かれるまで秘密にしておこう。」
「それが無難だな。」
二人はお互いの額をこつんと合わせて、微笑み合う。
「ずっと一緒に居ような。ヒナタ。」
「そっちこそ、離れるなよ。ミツキ。」
二人だけの、まるで恋人同士の甘い空気がその場に広がる。双子はチャイムが鳴るまでじっとそのまま動くことはなかった。
双子の担任は、K学園に行きたいという希望に反対することはなかった。お金に対して聞かれることもなかった。不思議に思った双子だったが、追及されないに越したことはない。そのまま、何事もなく夏休みに突入するのだった。
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