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10学校での双子~ヒナタ~
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朝、いつものように双子は一緒に学校へ登校していた。
「今日、進路について、担任に絶対聞かれるよ。結局、話し合いにならなかったけど、どうしたらいいかな。」
「マジやばい状況だよな。結局、俺たちの意見は通りそうにないし、挙句の果てに、制服と勉強用具以外、全部捨てられる始末だし。」
捨てられたものに未練はなかった。もともと、物に執着するタイプではなかったので、なかったらなくても問題はないものばかりだった。部活は、ちょうど大会が終了し、その大会を最後に三年生は引退することになっていた。ユニホームや道具がなくても困ることはなかった。
学校に到着し、校門を通り、玄関で外靴から、上靴に履き替える。
「それじゃあ、また。」
「じゃあ、また。」
双子はそれぞれ自分の教室に向かって歩き出した。
ヒナタは、教室に入る前に深呼吸した。自分の進路をクラスメイトに話したことはない。ヒナタは、弟のミツキと一緒に高校に行くことができれば、それ以外どうでもよかった。クラスで高校の話題が出ても、適当にはぐらかしていた。
先週からの三者面談で、クラスは進路についての話題で盛り上がっているだろう。その話題をこれまで通り、適当にはぐらかすことができるだろうか。笑顔で答えることができるだろうか。ヒナタには自信がなかった。
「それでも、僕は水藤ヒナタ。いつも通りに過ごすだけだ。」
教室の扉を開けて、いつも通りに教室に笑顔を振りまくヒナタ。
「おはよう。ヒナタ。」
「おはよう。ヒナタ君。」
すでに教室にいた複数のクラスメイトがヒナタに挨拶する。それにおはようと答えて席に着く。
ヒナタは、学校ではいわゆる優等生だ。成績優秀で運動神経もよかった。加えてイケメンだった。そのため、女子から告白されることも多かった。自分のことを自慢せず、嫌味なところがないため、男子からも人気があった。クラスの中心にいる人物といえるだろう。
生徒だけでなく、先生からの人望も厚かった。周りを観察し、自分がどのように行動したらよいかを瞬時に判断する能力に長けていた。その行動が、結果的に困っている人を助けることになっていて、さらにクラスの人気を高めていた。
クラスの人気者で、困っている人を助けるいい人であると印象付けられているヒナタだが、本来の性格は正反対だ。ヒナタにとっては、弟のミツキが一番だった。ミツキと一緒に居ることができれば、他はどうでもよかった。
クラスメイトはどれも同じ顔に見えていた。ヒナタを友達と認識して、遊びに誘ってくれるクラスメイト、自分を嫌っているクラスメイト、どちらもヒナタにとっては、ミツキ以外の人間という認識でしかなかった。告白してきた女子も同様で、告白してきた数分後にはその女子が誰かを忘れている始末だ。
「ヒナタは、高校をどこにするか決めたのか。」
ヒナタは苦笑した。クラスメイトの一人、ヒナタを友達だと思っている「小田」と呼ばれるクラスメイトが話しかける。
「どうしようか迷っているところだよ。小田は確か、スポーツ推薦でS高校だったっけ。」
ヒナタ自身は地元のA高校に進学のつもりだったのだが、母親に反対されている。しかし、そんなことをクラスメイトに言う必要はない。
「まあな。S校は陸上部が強い。高校でもガンガン記録を伸ばしてやるぜ。」
自身満々な表情がうらやましい。きっと、親も納得しているのだろう。自分の家とは大違いだ。いつもは思わないことだが、最近の理不尽な母親の行動にヒナタは苛立っていた。つい、言う必要もないことを口走る。
「小田はいいよな。自分の行きたい高校に行けるんだもんな。俺たちと違って。」
普段の一人称は弟のミツキと区別するために「僕」と使用しているが、無意識に俺となっていた。それほど、ヒナタにとっては心乱される状況だった。
「えっ。」
「ああ、いや。独り言。ただ、僕はまだ高校を決めかねているから、行きたい高校を決めている小田がうらやましくなっただけだ。」
「そうか。珍しいな。ヒナタが悩んでいるなんて。頭もいいから、てっきりA高校を志望しているのかと思っていたけど。」
小田は決まっていないことを不審に思うことなく、そのまま自分の席に戻っていく。
「はあ。」
この手の質問をされるたびに俺は心が乱されるのか。憂鬱な一日が始まりそうだ。ヒナタの思いは、クラスメイトに気づかれることはなかった。
「今日、進路について、担任に絶対聞かれるよ。結局、話し合いにならなかったけど、どうしたらいいかな。」
「マジやばい状況だよな。結局、俺たちの意見は通りそうにないし、挙句の果てに、制服と勉強用具以外、全部捨てられる始末だし。」
捨てられたものに未練はなかった。もともと、物に執着するタイプではなかったので、なかったらなくても問題はないものばかりだった。部活は、ちょうど大会が終了し、その大会を最後に三年生は引退することになっていた。ユニホームや道具がなくても困ることはなかった。
学校に到着し、校門を通り、玄関で外靴から、上靴に履き替える。
「それじゃあ、また。」
「じゃあ、また。」
双子はそれぞれ自分の教室に向かって歩き出した。
ヒナタは、教室に入る前に深呼吸した。自分の進路をクラスメイトに話したことはない。ヒナタは、弟のミツキと一緒に高校に行くことができれば、それ以外どうでもよかった。クラスで高校の話題が出ても、適当にはぐらかしていた。
先週からの三者面談で、クラスは進路についての話題で盛り上がっているだろう。その話題をこれまで通り、適当にはぐらかすことができるだろうか。笑顔で答えることができるだろうか。ヒナタには自信がなかった。
「それでも、僕は水藤ヒナタ。いつも通りに過ごすだけだ。」
教室の扉を開けて、いつも通りに教室に笑顔を振りまくヒナタ。
「おはよう。ヒナタ。」
「おはよう。ヒナタ君。」
すでに教室にいた複数のクラスメイトがヒナタに挨拶する。それにおはようと答えて席に着く。
ヒナタは、学校ではいわゆる優等生だ。成績優秀で運動神経もよかった。加えてイケメンだった。そのため、女子から告白されることも多かった。自分のことを自慢せず、嫌味なところがないため、男子からも人気があった。クラスの中心にいる人物といえるだろう。
生徒だけでなく、先生からの人望も厚かった。周りを観察し、自分がどのように行動したらよいかを瞬時に判断する能力に長けていた。その行動が、結果的に困っている人を助けることになっていて、さらにクラスの人気を高めていた。
クラスの人気者で、困っている人を助けるいい人であると印象付けられているヒナタだが、本来の性格は正反対だ。ヒナタにとっては、弟のミツキが一番だった。ミツキと一緒に居ることができれば、他はどうでもよかった。
クラスメイトはどれも同じ顔に見えていた。ヒナタを友達と認識して、遊びに誘ってくれるクラスメイト、自分を嫌っているクラスメイト、どちらもヒナタにとっては、ミツキ以外の人間という認識でしかなかった。告白してきた女子も同様で、告白してきた数分後にはその女子が誰かを忘れている始末だ。
「ヒナタは、高校をどこにするか決めたのか。」
ヒナタは苦笑した。クラスメイトの一人、ヒナタを友達だと思っている「小田」と呼ばれるクラスメイトが話しかける。
「どうしようか迷っているところだよ。小田は確か、スポーツ推薦でS高校だったっけ。」
ヒナタ自身は地元のA高校に進学のつもりだったのだが、母親に反対されている。しかし、そんなことをクラスメイトに言う必要はない。
「まあな。S校は陸上部が強い。高校でもガンガン記録を伸ばしてやるぜ。」
自身満々な表情がうらやましい。きっと、親も納得しているのだろう。自分の家とは大違いだ。いつもは思わないことだが、最近の理不尽な母親の行動にヒナタは苛立っていた。つい、言う必要もないことを口走る。
「小田はいいよな。自分の行きたい高校に行けるんだもんな。俺たちと違って。」
普段の一人称は弟のミツキと区別するために「僕」と使用しているが、無意識に俺となっていた。それほど、ヒナタにとっては心乱される状況だった。
「えっ。」
「ああ、いや。独り言。ただ、僕はまだ高校を決めかねているから、行きたい高校を決めている小田がうらやましくなっただけだ。」
「そうか。珍しいな。ヒナタが悩んでいるなんて。頭もいいから、てっきりA高校を志望しているのかと思っていたけど。」
小田は決まっていないことを不審に思うことなく、そのまま自分の席に戻っていく。
「はあ。」
この手の質問をされるたびに俺は心が乱されるのか。憂鬱な一日が始まりそうだ。ヒナタの思いは、クラスメイトに気づかれることはなかった。
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