転校生をバカにすることなかれ

折原さゆみ

文字の大きさ
17 / 58
続編~中学校編①~

しおりを挟む
 私は「幼馴染」という言葉が大嫌いだ。本やマンガ、映画やドラマでも幼馴染という人間関係が出てくる話はたくさんある。

 そして、恋愛もので幼馴染が出てくると、大抵の物語は、幼馴染同士が結局つき合うことになるのだ。主人公に幼馴染がいる場合、少年マンガやスポーツものでも、かなりの確率で、幼馴染同士が最終的に付き合うことになるのだ。例外もあるとは思うが、私はそれがとても嫌だった。



 実際に私にも家が近くで、小さいころからずっと一緒に過ごしてきた幼馴染が存在する。顔と容姿だけはイケメンで、昔から女子からも男子からも人気が高かった。幼馴染としてそれはそれは誇らしかったのだが、いかんせん、頭の出来が最悪だった。

 そのために幼稚園や小学校低学年くらいまでは良かったのだが、それ以降はただのバカでしかなかった。バカでもイケメンの部類に入るので、女子からは中学校に入ってもいまだにモテモテで、男子からも人望が厚いと来ている。

 容姿さえよければ、何でもいいとはこのことである。



 それはさておき、バカということは、その息子の親としては、どうにかして、少しでも学力を伸ばしたいと思うだろう。そこで、目をつけられたのが、私である。

 ただ家が近かったというだけで、私はそのバカの勉強係兼世話係に任命されてしまった。確かに、私は昔から勉強は得意な方だった。社会の歴史上の人物を暗記するのも得意だったし、数学の文章題を解くのも嫌いではなかった。

 大人に頼まれてしまえば、引き受けざるをえない。仕方なく、私は勉強係兼世話係を引き受けることになった。

 世話係というのは、そいつが本当に顔だけということを証明しているようなものだった。顔以外に何も取り柄がなかったのだ。忘れ物は多いし、もはや朝も満足に起きられないと来ている。どうしようもないクズだった。

 世話係と称して、日常生活の全般も面倒を見なければならないということであった。

 それによって、まさか私たちがお似合いカップルだとうわさされることになるとは思ってもいなかった。


 私の容姿もそのバカには劣るが、そんなに悪くはなかった。不細工と言われることもなかったし、容姿のことで悪く言われたことはなかった。そのせいもあるだろう。ただでさえ、面倒を見ることになり、一緒にいることが多くなってしまったので、私とそのバカが二人でいることが多くなったのは事実だ。

 ただ一緒にいるという事実だけで、あることないことうわさは流れていく。




 面倒を引き受け始めたのは、小学校4年生くらいのことだ。それから1年くらいで、私たちは、クラス内はもちろん、学年内では知らない人はいないというほど有名な幼馴染カップルとなってしまった。先生もそのうわさを信じてしまい、ことあるごとに私たちをからかってくるようになった。

 意味がわからない。そもそも、隣に住んでいる男とは、ただ面倒を見ているだけで、例えれば、金持ちのボンボンとそれに仕えるメイドみたいなものだ。実際にそんなことは決してないのだが、イメージはそんな感じだ。

 こちらは仕事して一緒にいるのであって、バカの親に頼まなれなければ、こんな奴の面倒は見たくもないというのが本音である。

 私の男子の理想はこんなイケメンバカでは決してない。確かに顔はイケメンの方が好みだが、中身が伴っていないイケメンバカは論外である。いくらイケメンでも、バカはしょせんバカなので、内面のバカさ加減が容姿にも反映されて、どうにも好きになることができない。

 それからというもの、私は幼馴染という言葉も、それに関連する内容の話は生理的に受け付けなくなってしまった。あらすじを見るだけでも吐き気が出そうである。

 話の中で、よく転校生などのよそ者が幼馴染の仲を裂こうと出てくることがある。そして、彼らはただの、幼馴染たちのつき合うための一歩を与えるに過ぎない、かませの存在でしか扱われることはない。


 だからこそ、中学校に入って、転校生というものが私のクラスにやってきたときに願ってしまった。


「願わくば、私とイケメンバカの仲を修復不能なくらいぶっ壊してくれないか。」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

処理中です...