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番外編【創作あるある】2逆にこんなものはどうか
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「最近流行りの追放系とか、どう思いますか?」
旅行の行き先と大まかな予定を立て終えた私は、自分の部屋に戻り、いろいろと新作の小説ネタを考えていた。そこで思いついた疑問を大鷹さんにぶつけてみた。
今は夕食の時間。今日は寒くてメニューはおでんだ。おでんやシチューを食べると、本格的に冬が来たと思える。
「紗々さんは相変わらず、面白い質問をしますね」
「最近、異世界ファンタジーとかだと、結構流行っている気がするんですよね。たくさんあるので、タイトル見るだけでお腹いっぱいになって、中身を読むことまでしないことが多いですが」
あつあつの大根に卵、ちくわやはんぺん、こんにゃくは、心もお腹も温めてくれる。幸せな食事の時間にこんな話題はいまいちだろうか。とはいえ、気になったことは早めに聞いておきたい体質だ。大鷹さんは特に気にしていないらしく、口に入れたこんにゃくを飲み込んでから、私の質問に答えてくれる。
「そうですねえ。アニメとかもいろいろあるような気がします。僕としては、面白いから流行っていると思うので、問題は無いと思いますけど」
流行っているのは、それなりに世間に受け入れられているから。人気が出るから、同じような内容の物語が大量発生する。それ自体が悪いとは言っていない。ただし。
「有能な人間を追放して追放元の組織、チームが困るって、その追放元の組織がバカ過ぎだなあと思いまして」
追放された○○は、新たな○○で無双する~戻って来いと言われても戻りません~
タイトルとしてこんなものを挙げてみたが、このような類似したタイトルを目にする機会は多い。追放される彼らに共通しているのは。
「追放されるのは、後方支援系の職種が多いんですよね」
そう、彼らは普段の活躍は地味で目立たない。ファンタジーメインで語っていくと、魔法がある世界では、ダンジョン攻略、魔物討伐などにおいてチームを組む際、回復系魔術師、付与魔術師、テイマー、タンクなどが主人公として追放されている。
「今回は何が気になるんですか?後方支援系は確かに目立たない職種ではありますよね。俗にいう、【縁の下の力持ち】的な存在なので、いなくなればその組織が破綻するのは分かりきっていますが」
現代でもありそうな話ですけど。
創作の話をしていたはずなのに、なぜか大鷹さんが複雑そうな顔をして苦笑する。大鷹さんの会社でも追放した社員がいるのだろうか。そして、その社員はかなりの有望株だった。気になるところだが、まあ、それはまた後に聞いてみよう。
「ということで、追放系って、基本、頭の悪いイキッた組織、チームが地味な役職の奴を無能だと決めつけて追放するみたいな流れが基本でしょう?だとしたら、逆転の発想で物語を作れるのではないかと思いまして」
実際に執筆できるかどうかはわからないが、なかなか良いアイデアが思いついた。夕食前に考えていたのだが、忘れないうちにとあらすじを簡単に文字に起こしていた。
これを実際に文字に起こして小説に出来たらいいのだが。長編にしたいとなるとなかなか難しいだろう。思いついたはいいが、長編を耐えるだけのモチベーションを維持するのが難しい。
「気になりますね。その内容って、僕が今、聞いてもいいものですか?」
「普通は他人にプロット段階の資料は見せないですけど、大鷹さんなら見せてもいいですよ。それに」
それが小説の形になり、投稿サイトに投稿できるのか。投稿したとして、完結できるかもわからない。
創作物で難しいのはそこだ。小説のことしかわからないが、良いアイデアを思いついて執筆を始めたが、その後の展開に苦しみ、結局物語は途中で投げ出され、永久に完結せずに終わってしまう。そうなると、その作品を楽しみにしていたが読者が悲しい思いをすることになる。それはなるべく避けたいと、創作者の端くれの私は考えている。
「食べ終わったら、私の部屋で特別に見せてあげますよ」
「楽しみです」
話していたら、食事がおろそかになっていた。すっかり冷めてしまったおでんの卵を口に詰め込み、私たちは急いで食事を終らせて、私の部屋に向かった。
以下、私の描き起こした今回のプロットもどき(仮)
・タイトル候補
【追放され要素が満載の○○ですが、今のチームが気に入っているので出ていきません。チームもまた、僕の事を手放そうとはしないので、問題なし。なぜ、追放系が流行っているのかわかりません】
・簡単なあらすじ、話の流れ
地味な役割の職種の人間が追放される事件が多発している
自分の友達も追放されて路頭に迷っていた
自分も追放されやすい職種だったが、大丈夫だろうか
主人公の所属しているチームの各役割
リーダーの剣士(物理攻撃系)、シスター(回復系)、魔法使い(特殊攻撃系)、
補助魔法(サポート)←主人公
リーダーは女好きだが、主人公のことを高く評価。後方支援という地味な役割の主人公に文句をいうことはあるが、報酬はきちんと山分けするし、無茶ぶりを言うことは無い
ほかのメンバーも、主人公に差別することなく接してくれる
ほかのチームには高圧的だが、仲間内では絆が深い
「自分を追放する予定はあるか」
主人公は友達の件を受けて、自分の所属しているチームに追放される覚悟をしておくためにリーダーに質問する
後方支援系の地味職の追放が多発している
自分は追放されるようなことをしているつもりはないが、もしかしたら内心ではいらないと思われているかもしれない
リーダーの返答
そんなことを思っていたのか
俺たちはお前の重要性を理解している。追放するなどありえない
お前ほど補助魔法や守り、後方支援全般をしてくれる人間を俺達は知らない
お前が出ていきたいと言っても、外に出すつもりはない
まさかの束縛系。
とはいえ、主人公もまた、自分のチームを抜ける気はないのでちょうどよかった
主人公一行はそのままダンジョン最下層まで進む躍進を見せて、有名になる
◇
追放されたという人間が主人公たちのチームに加入したいとやってくる
主人公と同じ後方支援系の役職
リーダーは悩んでいたが、一度実力を測りたいと、一緒にダンジョン攻略をするために下層に潜ってみることにした
最下層で追放された男はかなりの実力であることが証明される
しかし、圧倒的に自己アピールが足りていなかった
自分がすごいことを自覚していない
主人公は考える
このままだと、自分より能力が高そうな追放された男に役職を奪われてしまい、自分が今度は追放されるのではないか
チームで必要なのは結局、強さが一番だ
個々の能力が強ければ、それだけ最下層のダンジョンを攻略することができる
追放しないとは言われたが、それでも今回は覚悟を決めたほうがいいかもしれない
幸い、自分もそこまでほかの後方支援職の人間と比べて劣っているとは思えない
すぐに新しい仕事、ギルドが見つかるはずだ
しかし、後日、追放された男は主人公のチームを離れて別のギルドへの紹介状をもらって出ていった
リーダーに理由を尋ねると、追放された男の卑屈さが気に入らなかったらしい
能力があっても、自分に自信がない奴はお断りだ
その点、俺達はお前の能力を買っているし、お前も俺たちに見合うとわかっている
そういうのが後々の信頼関係につながっていると思う
主人公は少しだけリーダーを見直した
とはいえ、身内に甘すぎる
確かに自分の能力はほかにはないものだと自負している
表面上は、追放された男の方が能力が上だと感じていたが、心の奥底ではそれでも自分の方が上だと思っていたかもしれない
◇
その後、なぜか後方支援をしている主人公を高値で買いたいというギルドが多く現れる
破格の給料や福利厚生が示されるが、そのたびにリーダーが売らないと突っぱねる
ほかの仲間もそれに加勢する
結局、男は定年までずっとリーダー率いるギルドで働き続けた
ほかの仲間もリーダーを含めて、ほぼ変わらずに働いた
◇
追放されなくても、問題ない生活を送ることができた
Fin
旅行の行き先と大まかな予定を立て終えた私は、自分の部屋に戻り、いろいろと新作の小説ネタを考えていた。そこで思いついた疑問を大鷹さんにぶつけてみた。
今は夕食の時間。今日は寒くてメニューはおでんだ。おでんやシチューを食べると、本格的に冬が来たと思える。
「紗々さんは相変わらず、面白い質問をしますね」
「最近、異世界ファンタジーとかだと、結構流行っている気がするんですよね。たくさんあるので、タイトル見るだけでお腹いっぱいになって、中身を読むことまでしないことが多いですが」
あつあつの大根に卵、ちくわやはんぺん、こんにゃくは、心もお腹も温めてくれる。幸せな食事の時間にこんな話題はいまいちだろうか。とはいえ、気になったことは早めに聞いておきたい体質だ。大鷹さんは特に気にしていないらしく、口に入れたこんにゃくを飲み込んでから、私の質問に答えてくれる。
「そうですねえ。アニメとかもいろいろあるような気がします。僕としては、面白いから流行っていると思うので、問題は無いと思いますけど」
流行っているのは、それなりに世間に受け入れられているから。人気が出るから、同じような内容の物語が大量発生する。それ自体が悪いとは言っていない。ただし。
「有能な人間を追放して追放元の組織、チームが困るって、その追放元の組織がバカ過ぎだなあと思いまして」
追放された○○は、新たな○○で無双する~戻って来いと言われても戻りません~
タイトルとしてこんなものを挙げてみたが、このような類似したタイトルを目にする機会は多い。追放される彼らに共通しているのは。
「追放されるのは、後方支援系の職種が多いんですよね」
そう、彼らは普段の活躍は地味で目立たない。ファンタジーメインで語っていくと、魔法がある世界では、ダンジョン攻略、魔物討伐などにおいてチームを組む際、回復系魔術師、付与魔術師、テイマー、タンクなどが主人公として追放されている。
「今回は何が気になるんですか?後方支援系は確かに目立たない職種ではありますよね。俗にいう、【縁の下の力持ち】的な存在なので、いなくなればその組織が破綻するのは分かりきっていますが」
現代でもありそうな話ですけど。
創作の話をしていたはずなのに、なぜか大鷹さんが複雑そうな顔をして苦笑する。大鷹さんの会社でも追放した社員がいるのだろうか。そして、その社員はかなりの有望株だった。気になるところだが、まあ、それはまた後に聞いてみよう。
「ということで、追放系って、基本、頭の悪いイキッた組織、チームが地味な役職の奴を無能だと決めつけて追放するみたいな流れが基本でしょう?だとしたら、逆転の発想で物語を作れるのではないかと思いまして」
実際に執筆できるかどうかはわからないが、なかなか良いアイデアが思いついた。夕食前に考えていたのだが、忘れないうちにとあらすじを簡単に文字に起こしていた。
これを実際に文字に起こして小説に出来たらいいのだが。長編にしたいとなるとなかなか難しいだろう。思いついたはいいが、長編を耐えるだけのモチベーションを維持するのが難しい。
「気になりますね。その内容って、僕が今、聞いてもいいものですか?」
「普通は他人にプロット段階の資料は見せないですけど、大鷹さんなら見せてもいいですよ。それに」
それが小説の形になり、投稿サイトに投稿できるのか。投稿したとして、完結できるかもわからない。
創作物で難しいのはそこだ。小説のことしかわからないが、良いアイデアを思いついて執筆を始めたが、その後の展開に苦しみ、結局物語は途中で投げ出され、永久に完結せずに終わってしまう。そうなると、その作品を楽しみにしていたが読者が悲しい思いをすることになる。それはなるべく避けたいと、創作者の端くれの私は考えている。
「食べ終わったら、私の部屋で特別に見せてあげますよ」
「楽しみです」
話していたら、食事がおろそかになっていた。すっかり冷めてしまったおでんの卵を口に詰め込み、私たちは急いで食事を終らせて、私の部屋に向かった。
以下、私の描き起こした今回のプロットもどき(仮)
・タイトル候補
【追放され要素が満載の○○ですが、今のチームが気に入っているので出ていきません。チームもまた、僕の事を手放そうとはしないので、問題なし。なぜ、追放系が流行っているのかわかりません】
・簡単なあらすじ、話の流れ
地味な役割の職種の人間が追放される事件が多発している
自分の友達も追放されて路頭に迷っていた
自分も追放されやすい職種だったが、大丈夫だろうか
主人公の所属しているチームの各役割
リーダーの剣士(物理攻撃系)、シスター(回復系)、魔法使い(特殊攻撃系)、
補助魔法(サポート)←主人公
リーダーは女好きだが、主人公のことを高く評価。後方支援という地味な役割の主人公に文句をいうことはあるが、報酬はきちんと山分けするし、無茶ぶりを言うことは無い
ほかのメンバーも、主人公に差別することなく接してくれる
ほかのチームには高圧的だが、仲間内では絆が深い
「自分を追放する予定はあるか」
主人公は友達の件を受けて、自分の所属しているチームに追放される覚悟をしておくためにリーダーに質問する
後方支援系の地味職の追放が多発している
自分は追放されるようなことをしているつもりはないが、もしかしたら内心ではいらないと思われているかもしれない
リーダーの返答
そんなことを思っていたのか
俺たちはお前の重要性を理解している。追放するなどありえない
お前ほど補助魔法や守り、後方支援全般をしてくれる人間を俺達は知らない
お前が出ていきたいと言っても、外に出すつもりはない
まさかの束縛系。
とはいえ、主人公もまた、自分のチームを抜ける気はないのでちょうどよかった
主人公一行はそのままダンジョン最下層まで進む躍進を見せて、有名になる
◇
追放されたという人間が主人公たちのチームに加入したいとやってくる
主人公と同じ後方支援系の役職
リーダーは悩んでいたが、一度実力を測りたいと、一緒にダンジョン攻略をするために下層に潜ってみることにした
最下層で追放された男はかなりの実力であることが証明される
しかし、圧倒的に自己アピールが足りていなかった
自分がすごいことを自覚していない
主人公は考える
このままだと、自分より能力が高そうな追放された男に役職を奪われてしまい、自分が今度は追放されるのではないか
チームで必要なのは結局、強さが一番だ
個々の能力が強ければ、それだけ最下層のダンジョンを攻略することができる
追放しないとは言われたが、それでも今回は覚悟を決めたほうがいいかもしれない
幸い、自分もそこまでほかの後方支援職の人間と比べて劣っているとは思えない
すぐに新しい仕事、ギルドが見つかるはずだ
しかし、後日、追放された男は主人公のチームを離れて別のギルドへの紹介状をもらって出ていった
リーダーに理由を尋ねると、追放された男の卑屈さが気に入らなかったらしい
能力があっても、自分に自信がない奴はお断りだ
その点、俺達はお前の能力を買っているし、お前も俺たちに見合うとわかっている
そういうのが後々の信頼関係につながっていると思う
主人公は少しだけリーダーを見直した
とはいえ、身内に甘すぎる
確かに自分の能力はほかにはないものだと自負している
表面上は、追放された男の方が能力が上だと感じていたが、心の奥底ではそれでも自分の方が上だと思っていたかもしれない
◇
その後、なぜか後方支援をしている主人公を高値で買いたいというギルドが多く現れる
破格の給料や福利厚生が示されるが、そのたびにリーダーが売らないと突っぱねる
ほかの仲間もそれに加勢する
結局、男は定年までずっとリーダー率いるギルドで働き続けた
ほかの仲間もリーダーを含めて、ほぼ変わらずに働いた
◇
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