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番外編【恒例行事になりそうです】10お菓子交換
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「……ということがありまして。まさか、スーパーで彼に会うとは思いませんでした」
「私も、最近、会社外で当間に会いましたよ」
『はあ』
私と大鷹さんはお互いに視線を合わせて、深いため息を吐く。夕食時、大鷹さんが近くのスーパーで当間を見かけたことを話してくれた。偶然にも、私もファミレスで当間に会っている。会社の知り合いに会うなど、めったにないのだが、どうして当間はこうも、立て続けに私たちの前に現れるのか。話題に上がるだけで、憂鬱な気分になる。せっかくの今日の夕食の鳥鍋がおいしく感じなくなってしまう。
「まったく、嫌になりますね。もういっそのこと、当間に私たちの前に現れるなって、言っておきますか?」
「別に言わなくても良いと思います。彼だって僕たちと遭遇したくて遭遇していないと思いますので。あくまで本当に偶然、僕たちと居合わせてしまったのだと思いたい、です」
明日、会社で当間に会ったら、ビシッと言ってやろうと意気込んでいたら、大鷹さんにやんわりと止められる。しかし、偶然というのが信じられないのか、語尾がしりすぼみになっている。これ以上、当間の話をしていたら、どんどん暗い気持ちになり、せっかくの大鷹さんとの団らんタイムが楽しめなくなってしまう。
「当間の話はこの辺にしましょう?それで、わざわざお菓子の買い出しに行ってきたらしいですが、今年はなにをくれる予定ですか?」
守君たちとお菓子作りをしたということは、今年のバレンタインも私に何かしらのお菓子をくれるということだ。昨年は秘密にして、サプライズでくれたが、今年は事前に買物に行ったと話してくれた。中身は当日開けてのお楽しみ、でも構わないが、教えてくれたらそれはそれで当日が待ち遠しくなる。
「今年は……」
ここで大鷹さんが口をつぐむ。何やらあごに手を当てて考え込んでいる。私はまた何か、変な事を言っただろうか。振り返ってみるが、特に思い当たる節はない。
「彼と会ってしまったことが衝撃的過ぎて、つい、紗々さんに今年のバレンタインも手作りお菓子をあげることを話してしまいました。本当はサプライズにしたかったのですが……」
なるほど、それなら中身は当日のお楽しみということだろう。それにしても、今年も男四人でお菓子作りとは、彼らは相当仲が良いようだ。
「大鷹さんって、もしかして友達が少ない、とかですか?」
「いきなりですね。なぜ、そう思ったんですか?」
「だって、今年も守君たちと仲良くお菓子作りをしているので。あとは、最近、大鷹さんって、友達と食事や旅行に出かけていないなと思いまして」
「別に少なくはないと思いますけど。そもそも、僕は友達よりも、紗々さんと過ごす方が大切というか」
大鷹さんは私の言葉に心外だという顔をしていたが、私と過ごす時間を優先して、という言葉が引っかかる。
「私を優先しなかったら、遊びに行くってことですか?」
「いや、そんなわけ」
そうだとしたら、何だというのか。今日の私はどうかしている。きっと、当間が私たちの前にやたら現れるせいだ。
「とりあえず、友達の件はおいておいて、男四人という点を萌えポイントにします」
「紗々さんがそれで納得してくれたのなら、それでいいですけど。紗々さんは僕に何を作ってくれるんですか?河合江子たちと作ったのでしょう?」
「エエト……。私も当日のサプライズということにしてください」
私が河合さんたちと一緒に作ったのはマカロンだ。河合さんと梨々花さんがオシャレで可愛らしいものということで勝手に選んでいた。当然、私に拒否権はなく、買い出しをして一緒に作った。とはいえ、彼女達がお菓子作りの経験者だったので、失敗することなくマカロンは無事に完成した。味見もしたのだが、とてもおいしかった。これなら大鷹さんも喜んでくれるだろう。
ちなみにきらりさんは、大鷹さんが言っていた通り、料理全般が苦手なようだった。とはいえ、私たちの迷惑にならないように河合さんたちの指示に素直に従って動いていた。
今年のバレンタインは手作りお菓子の交換ということになる。お互いに他の人と一緒に作る共同作業になったが、手作りお菓子の交換ということに変わりない。
「大人になっても、一緒にお菓子を作ってくれる人がいるって、なんだかいいですね」
「まあ、悪くはないですね。今年のバレンタインが楽しみです」
「もう、明日に迫っていますけどね」
大鷹さんと視線が合い、お互いににっこりと微笑む。すでに私も大鷹さんも明日あげるお菓子の準備は万端だ。
「明日が楽しみです。バレンタインって、女性から男性に贈るイベントだと思っていますけど、こうやってお互いに手作りお菓子を交換というのも、アリな気がします」
「そう言ってもらえると、作った甲斐があるというものです」
明日はいよいよ、バレンタイン当日。あいにくの平日だが、仕事終わりが楽しみだ。
「私も、最近、会社外で当間に会いましたよ」
『はあ』
私と大鷹さんはお互いに視線を合わせて、深いため息を吐く。夕食時、大鷹さんが近くのスーパーで当間を見かけたことを話してくれた。偶然にも、私もファミレスで当間に会っている。会社の知り合いに会うなど、めったにないのだが、どうして当間はこうも、立て続けに私たちの前に現れるのか。話題に上がるだけで、憂鬱な気分になる。せっかくの今日の夕食の鳥鍋がおいしく感じなくなってしまう。
「まったく、嫌になりますね。もういっそのこと、当間に私たちの前に現れるなって、言っておきますか?」
「別に言わなくても良いと思います。彼だって僕たちと遭遇したくて遭遇していないと思いますので。あくまで本当に偶然、僕たちと居合わせてしまったのだと思いたい、です」
明日、会社で当間に会ったら、ビシッと言ってやろうと意気込んでいたら、大鷹さんにやんわりと止められる。しかし、偶然というのが信じられないのか、語尾がしりすぼみになっている。これ以上、当間の話をしていたら、どんどん暗い気持ちになり、せっかくの大鷹さんとの団らんタイムが楽しめなくなってしまう。
「当間の話はこの辺にしましょう?それで、わざわざお菓子の買い出しに行ってきたらしいですが、今年はなにをくれる予定ですか?」
守君たちとお菓子作りをしたということは、今年のバレンタインも私に何かしらのお菓子をくれるということだ。昨年は秘密にして、サプライズでくれたが、今年は事前に買物に行ったと話してくれた。中身は当日開けてのお楽しみ、でも構わないが、教えてくれたらそれはそれで当日が待ち遠しくなる。
「今年は……」
ここで大鷹さんが口をつぐむ。何やらあごに手を当てて考え込んでいる。私はまた何か、変な事を言っただろうか。振り返ってみるが、特に思い当たる節はない。
「彼と会ってしまったことが衝撃的過ぎて、つい、紗々さんに今年のバレンタインも手作りお菓子をあげることを話してしまいました。本当はサプライズにしたかったのですが……」
なるほど、それなら中身は当日のお楽しみということだろう。それにしても、今年も男四人でお菓子作りとは、彼らは相当仲が良いようだ。
「大鷹さんって、もしかして友達が少ない、とかですか?」
「いきなりですね。なぜ、そう思ったんですか?」
「だって、今年も守君たちと仲良くお菓子作りをしているので。あとは、最近、大鷹さんって、友達と食事や旅行に出かけていないなと思いまして」
「別に少なくはないと思いますけど。そもそも、僕は友達よりも、紗々さんと過ごす方が大切というか」
大鷹さんは私の言葉に心外だという顔をしていたが、私と過ごす時間を優先して、という言葉が引っかかる。
「私を優先しなかったら、遊びに行くってことですか?」
「いや、そんなわけ」
そうだとしたら、何だというのか。今日の私はどうかしている。きっと、当間が私たちの前にやたら現れるせいだ。
「とりあえず、友達の件はおいておいて、男四人という点を萌えポイントにします」
「紗々さんがそれで納得してくれたのなら、それでいいですけど。紗々さんは僕に何を作ってくれるんですか?河合江子たちと作ったのでしょう?」
「エエト……。私も当日のサプライズということにしてください」
私が河合さんたちと一緒に作ったのはマカロンだ。河合さんと梨々花さんがオシャレで可愛らしいものということで勝手に選んでいた。当然、私に拒否権はなく、買い出しをして一緒に作った。とはいえ、彼女達がお菓子作りの経験者だったので、失敗することなくマカロンは無事に完成した。味見もしたのだが、とてもおいしかった。これなら大鷹さんも喜んでくれるだろう。
ちなみにきらりさんは、大鷹さんが言っていた通り、料理全般が苦手なようだった。とはいえ、私たちの迷惑にならないように河合さんたちの指示に素直に従って動いていた。
今年のバレンタインは手作りお菓子の交換ということになる。お互いに他の人と一緒に作る共同作業になったが、手作りお菓子の交換ということに変わりない。
「大人になっても、一緒にお菓子を作ってくれる人がいるって、なんだかいいですね」
「まあ、悪くはないですね。今年のバレンタインが楽しみです」
「もう、明日に迫っていますけどね」
大鷹さんと視線が合い、お互いににっこりと微笑む。すでに私も大鷹さんも明日あげるお菓子の準備は万端だ。
「明日が楽しみです。バレンタインって、女性から男性に贈るイベントだと思っていますけど、こうやってお互いに手作りお菓子を交換というのも、アリな気がします」
「そう言ってもらえると、作った甲斐があるというものです」
明日はいよいよ、バレンタイン当日。あいにくの平日だが、仕事終わりが楽しみだ。
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