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番外編【親知らず抜歯】5新たな性癖の発見
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そんなこんなで、親知らず抜歯後初めての出勤は無事に終了した。痛み止めの薬を飲んだおかげか、午後の仕事も痛みを伴うことなくいつも通りにこなすことができた。
「痛み止めの威力ってすごいですねえ」
「薬の効果をあまり過信してはいけないですけどね。それにしても、河合江子は相変わらず嫌な奴ですね」
夕食後、大鷹さんに今日の出来事を話していたら、河合さんの話題が出たところで不機嫌になってしまう。まあ、当事者の私でさえイラっと来ることもあるので、元カノの現嫁(私)に対しての暴言に不機嫌になるのも仕方ない。
ちなみに今日の夕食は冷しゃぶだ。最近、急に気温が上昇して、冷たいものがおいしく感じる季節だ。胡麻ドレッシングでおいしくいただいた。エアコンも我慢せずにつけている。おかげで室内は快適な温度である。5月だというのに暑すぎだ。これから来る夏が恐ろしい。
「ところで、大鷹さんは私の新作、読みましたか?」
大鷹さんの不機嫌さを緩和するための案を考える前に、いったん、現実逃避してしまった。とはいえ、このまま不機嫌なままでいてもらっても、場の空気が淀んでいくだけだ。新たな話題を考えていたら、良い話題を思いつく。
先週末に投稿した新作について、大鷹さんからコメントをもらっていないことに気付く。大鷹さんは、私のファン第一号と言っても過言ではないくらいの熱狂的な信者だ。それなのに、感想のひとことももらっていないのはおかしな話だった。
「ああ、アレですか……。まあ、読みましたよ。読みましたけど……」
せっかく、河合さんについての話題から離れたのに、なぜそんなに浮かない顔なのだろうか。河合さん達には好評だった。
「もしかして、直接的過ぎて、引きました?」
「いえ、それは別に、そういう作品もあるので、紗々さんがそういった表現をするのが嫌という訳ではないです。ただ」
「ただ?」
「痛みに顔をゆがめる好きな人というのは、クルものがありまして」
どうやら、今回の話しで大鷹さんには思うところがあったようだ。それを私に話すのが恥ずかしいらしい。しかし、話を聞いていると、大鷹さんの歪んだ性癖が垣間見えてくる。
「大鷹さんって、サドッ気があるんですね。人の痛がる姿に興奮するとかなかなかヤバ」
「いえ、興奮とかそういうのじゃありません!絶対に、紗々さんで想像なんてしませんから、絶対に」
いつもの冷静な大鷹さんがうろたえて、トンデモないことを口走っている。まあ、人にはそれぞれ人に言えない性癖があるものだ。それにしても、私の痛がる姿に興奮とは。
「随分と悪趣味ですね。ああ、そもそも私を選んだ時点でだいぶいかれ」
「それは違います!撤回してください!」
なるほどと納得しつつも、つい、私自身について言及してしまう。しかし、私の言葉は大鷹さんの鋭い声で遮られる。どうやら、大鷹さんにとっての地雷を踏んでしまったようだ。
「す、すみません。でも、どう考えても」
「僕は紗々さんが好きだから一緒にいます。自分を選んだのが間違いだった、とかおかしいとか言われると、悲しくなります」
何もそこまでは言っていない。言っていないが、それに似たようなことは言おうとした。最近は大鷹さんに絆されてしまっているが、それでも、何かの拍子に私なんかを選んでよかったのだろうかと考えてしまう。その思考はいつまで経っても消えることはないだろう。私の心の中に強く根付いてしまった負の感情だ。
「そうですね。失言でした」
しかし、その感情を表に出すかは私次第であり、そのことで大鷹さんを悲しませるなら、この感情は表に出さないと誓おう。
「まあ、たまにぽろっと口に出てしまうのは仕方ない、ですよね?」
「何かいいましたか?」
「いいえ、何も。とりあえず、まだ数日は痛いのが続くのが嫌だなあと思いました」
「それは仕方ないですよ」
『アハハハハ』
ということで、この場の淀んだ空気を何とか追い出したわけだが、かわりにその場には私たちの乾いた笑い声がリビングに響き渡った。
抜歯後の痛みはその後、木曜日辺りまでじくじくと私を蝕み続けた。金曜日に抜糸に再度、歯医者に行ったあたりでようやく治まった。抜糸は一瞬で終わった。医者には抜歯後の穴はふさがりつつあると言われた。どうやら、後遺症もなく、無事に親知らず抜歯が終わったらしい。
今後、親知らずを抜く人に忠告だが、痛いのはやはり覚悟しておいた方がいい。そして、痛み止めの連続服用はやめたほうがいいらしい。
あとは、私だけかもしれないが、実は親知らず抜歯後、異様な眠気に襲われた。抜くも抜かないも自由だが、もしかしたら、自分の身近な人の新たな性癖を知るチャンスかもしれないので抜いた方がいい。というのはメリットになるだろうか?
「痛み止めの威力ってすごいですねえ」
「薬の効果をあまり過信してはいけないですけどね。それにしても、河合江子は相変わらず嫌な奴ですね」
夕食後、大鷹さんに今日の出来事を話していたら、河合さんの話題が出たところで不機嫌になってしまう。まあ、当事者の私でさえイラっと来ることもあるので、元カノの現嫁(私)に対しての暴言に不機嫌になるのも仕方ない。
ちなみに今日の夕食は冷しゃぶだ。最近、急に気温が上昇して、冷たいものがおいしく感じる季節だ。胡麻ドレッシングでおいしくいただいた。エアコンも我慢せずにつけている。おかげで室内は快適な温度である。5月だというのに暑すぎだ。これから来る夏が恐ろしい。
「ところで、大鷹さんは私の新作、読みましたか?」
大鷹さんの不機嫌さを緩和するための案を考える前に、いったん、現実逃避してしまった。とはいえ、このまま不機嫌なままでいてもらっても、場の空気が淀んでいくだけだ。新たな話題を考えていたら、良い話題を思いつく。
先週末に投稿した新作について、大鷹さんからコメントをもらっていないことに気付く。大鷹さんは、私のファン第一号と言っても過言ではないくらいの熱狂的な信者だ。それなのに、感想のひとことももらっていないのはおかしな話だった。
「ああ、アレですか……。まあ、読みましたよ。読みましたけど……」
せっかく、河合さんについての話題から離れたのに、なぜそんなに浮かない顔なのだろうか。河合さん達には好評だった。
「もしかして、直接的過ぎて、引きました?」
「いえ、それは別に、そういう作品もあるので、紗々さんがそういった表現をするのが嫌という訳ではないです。ただ」
「ただ?」
「痛みに顔をゆがめる好きな人というのは、クルものがありまして」
どうやら、今回の話しで大鷹さんには思うところがあったようだ。それを私に話すのが恥ずかしいらしい。しかし、話を聞いていると、大鷹さんの歪んだ性癖が垣間見えてくる。
「大鷹さんって、サドッ気があるんですね。人の痛がる姿に興奮するとかなかなかヤバ」
「いえ、興奮とかそういうのじゃありません!絶対に、紗々さんで想像なんてしませんから、絶対に」
いつもの冷静な大鷹さんがうろたえて、トンデモないことを口走っている。まあ、人にはそれぞれ人に言えない性癖があるものだ。それにしても、私の痛がる姿に興奮とは。
「随分と悪趣味ですね。ああ、そもそも私を選んだ時点でだいぶいかれ」
「それは違います!撤回してください!」
なるほどと納得しつつも、つい、私自身について言及してしまう。しかし、私の言葉は大鷹さんの鋭い声で遮られる。どうやら、大鷹さんにとっての地雷を踏んでしまったようだ。
「す、すみません。でも、どう考えても」
「僕は紗々さんが好きだから一緒にいます。自分を選んだのが間違いだった、とかおかしいとか言われると、悲しくなります」
何もそこまでは言っていない。言っていないが、それに似たようなことは言おうとした。最近は大鷹さんに絆されてしまっているが、それでも、何かの拍子に私なんかを選んでよかったのだろうかと考えてしまう。その思考はいつまで経っても消えることはないだろう。私の心の中に強く根付いてしまった負の感情だ。
「そうですね。失言でした」
しかし、その感情を表に出すかは私次第であり、そのことで大鷹さんを悲しませるなら、この感情は表に出さないと誓おう。
「まあ、たまにぽろっと口に出てしまうのは仕方ない、ですよね?」
「何かいいましたか?」
「いいえ、何も。とりあえず、まだ数日は痛いのが続くのが嫌だなあと思いました」
「それは仕方ないですよ」
『アハハハハ』
ということで、この場の淀んだ空気を何とか追い出したわけだが、かわりにその場には私たちの乾いた笑い声がリビングに響き渡った。
抜歯後の痛みはその後、木曜日辺りまでじくじくと私を蝕み続けた。金曜日に抜糸に再度、歯医者に行ったあたりでようやく治まった。抜糸は一瞬で終わった。医者には抜歯後の穴はふさがりつつあると言われた。どうやら、後遺症もなく、無事に親知らず抜歯が終わったらしい。
今後、親知らずを抜く人に忠告だが、痛いのはやはり覚悟しておいた方がいい。そして、痛み止めの連続服用はやめたほうがいいらしい。
あとは、私だけかもしれないが、実は親知らず抜歯後、異様な眠気に襲われた。抜くも抜かないも自由だが、もしかしたら、自分の身近な人の新たな性癖を知るチャンスかもしれないので抜いた方がいい。というのはメリットになるだろうか?
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