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41鬼崎さんの家にお邪魔します①
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あっという間に、GW最終日がやってきた。朝起きて窓の外を見ると、どんよりとした曇り空だった。今にも雨が降りそうな空模様だ。
「なんで葬式みたいに真っ黒な服で固めているのだ?」
私の今日の服装は全身真っ黒コーデである。なんとなく、鬼崎さんに会うのに、気合を入れたかったのだ。私服は地味だとジャスミンにさんざん言われてしまったので、それならば、コスプレもどきで向かうことにした。
「今日の私は未亡人という設定で、夫を鬼崎さんに殺されたという感じで喪服をイメージしました」
喪服とは言っても、冠婚葬祭の礼服をそのまま着てしまっては、さすがに鬼崎さんに失礼だろう。ということで、黒のワンピースに黒いボレロを羽織って、髪に黒い花飾りをつけ、化粧を青白くして見たのだ。
「どうでもいいが、お主がそれで気合が入るのなら、別に文句を言うこともあるまい」
「……」
九尾は特に文句を言うこともなかったが、翼君と狼貴君からはジトっとした瞳でにらまれてしまったが、無視を決め込むことにした。雨水君と七尾は、用事があると言って、私より早く家を出てしまっていたため、見送りは九尾たちだけだった。
スマホに鬼崎さんの家の住所と地図が送られてきたので、それを頼りに私は一人で鬼崎さんの家に向かう。おそらく、後ろから彼らはついてきているだろうが、私の視界に彼らは映っていない。
「ここか」
電車を乗り継いで、駅から10分程歩いていくと、閑静な住宅街が現れた、その一角に鬼崎さんの家があるらしい。住所にはアパートの名前と号室が記載されていたので、一人暮らしでもしているのだろう。
たどりついたアパートは木造二階建ての古びた建物だった。古くて狭そうなアパートなので、きっと家賃は安いだろう。女性が一人暮らしするには、安全面での心配があるが、鬼崎さんは気にしないタイプなのだろう。もしかしたら、彼女の家は貧しくて、家賃を自分で払う必要があり、このような場所に住んでいるのかもしれない。
外階段をのぼって二階に上がるが、階段はさびているのか、ギシギシと嫌な音を立てていた。指定された部屋の前に立ってみたが、表札はなく、ふるびたドアがあるだけだった。
「さて、待ち合わせ時間の30分前ですが、もう少し様子を見た方がいいでしょうか」
待ち合わせの30分も前に、他人の家に上がるのは失礼な気がした。なので、待ち合わせ時間が来るまでの間に、このアパート周辺を探索することにした。
「ああ、朔夜先生!早いね」
階段を下りて、アパート周辺を散策しようとしたら、声をかけられた。声の正体は犬史君だ。犬史君は一人で来たのか、周りに誰もいない。親し気に私の名前を呼び、近づいてきた。
「犬史君も早いですね。待ち合わせ時間まで、あと30分ほどありますよ。私は、犬史君のお兄さんが気になって、家を早く出てしまいました」
「僕もだよ!狼貴にいは、とってもかっこいいんだよ。一匹オオカミみたいで、クールで僕の憧れなんだ。先生、見たら惚れちゃうかも!」
犬史君は、よほど狼貴君に会うのが楽しみらしい。私が狼貴君の話題を振ると、興奮したように、目をキラキラさせて話し出す。
「私が狼貴君に惚れるなんてことはないと思いますよ。それにしても、お兄さんに会いたくて早く来た犬史君は、誰かと一緒に来たのですか?犬史君の家からだと電車を使うはずですけど」
小学生の男の子が一人で電車に乗ってくるだろうか?疑問に思い尋ねる。
「母さんに送ってもらったんだ。今日だけはわがまましてもいいって」
「今日だけ?」
「それは」
「おや、二人とも、ずいぶん早く来たみたいですね。待ち合わせ時間までまだ時間がありますよね。せっかく早く集まってもらったのですが、まだ私の部屋の準備ができていません。もうしばらく待ってもらえますか?」
私たちが話しているところに、鬼崎さんがやってきた。手にはスーパーのビニール袋を両手に提げていた。私たちのために買い出しに行ってくれたのだろうか。
「み、美瑠お姉ちゃん!今日は!」
鬼崎さんは、私たちにもう少し外で待っているよう伝えると、さっさとさびた階段を上がり、自分の部屋のドアを開けて、中に入ってしまった。ドアはばたんと閉じられた。犬史君が鬼崎さんに挨拶したが、無視されていた。
「ええと、もう少しと言われても、困ってしまいますね」
「仕方ないよ。僕のために、美瑠お姉ちゃんは頑張ってくれているんだ。そういえば、先生は誰か会いたい人がいるの?」
「会いたい人、ですか?それは、亡くなった人、ということでしょうか?それなら、私はいないですかね。両親はすでに亡くなってずいぶん経ちますし、亡くなった人とはきちんとお別れができているので」
「じゃあ、今日は何の用事で会うの?美瑠お姉ちゃんは結構忙しいみたいだから、休みの日に誰かと会うってあんまりしないみたいだよ」
鬼崎さんに無視された犬史君だが、よくあることのようで、特に傷ついた様子は見られなかった。鬼崎さんが家で私たちを迎える準備をしているので、ここを離れるのもどうかと思い、暇を持て余した私たちは、階段に座って話をすることにした。犬史君の質問だが、そういえば、鬼崎さんは死人と会わせてくれると犬史君は言っていた。
「鬼崎さんは忙しいんですね。ですが、会いたい人って言われても、私くらい年齢を重ねると、会いたい人だらけになりますよ。そのたびにいちいち会いたいなんて思っていたら、いくら時間があっても足りません。だから、会えなくなってもいいように、普段から精一杯生きた方がいいかなと、先生は思いますよ」
少し、説教くさい回答になってしまった。犬史君が言っていることを毎回やっていれば、確かに寂しさは紛れるかもしれない。しかし、それはあくまで一時的な話だ。鬼崎さんがいったいどのような方法で、死んだ人をよみがえらせるのか。それとも会いたいという人に幻覚を見せているのかは定かではない。
「たくさんいても、大丈夫だよ。美瑠お姉ちゃんに頼めば、すぐにでも会わせてもらえると思うよ」
「その話からいくと、犬史君は、狼貴お兄さんがすでにこの世から」
「準備ができましたから、朔夜先輩、犬史、私の家に上がってください」
ドアが開く音が聞こえ、カンカンと鬼崎さんが階段を下りて、私たちの元にやってきた。スマホの時計を確認するが、まだ彼女が自分の部屋に入ってから10分も経っていない。もう、準備が整ったのだろうか?
私が犬史君に話しているタイミングで彼女がやってきたため、私の言葉は途中で遮られてしまった。
「本当?待ち合わせの時間まで、あと20分もあるよ!」
「そうねえ、犬史は、時間が守れる子ね。でも、今日はせっかくお客さんが二人も来ているのだから、張り切って部屋の準備をしたのよ。さあさあ、朔夜先輩も中に入ってください!」
私と犬史君は鬼崎さんの家をお邪魔することになった。家を出るときは曇り空だったが、今はすっかりと晴れ、私たちを照らしていた。
「なんで葬式みたいに真っ黒な服で固めているのだ?」
私の今日の服装は全身真っ黒コーデである。なんとなく、鬼崎さんに会うのに、気合を入れたかったのだ。私服は地味だとジャスミンにさんざん言われてしまったので、それならば、コスプレもどきで向かうことにした。
「今日の私は未亡人という設定で、夫を鬼崎さんに殺されたという感じで喪服をイメージしました」
喪服とは言っても、冠婚葬祭の礼服をそのまま着てしまっては、さすがに鬼崎さんに失礼だろう。ということで、黒のワンピースに黒いボレロを羽織って、髪に黒い花飾りをつけ、化粧を青白くして見たのだ。
「どうでもいいが、お主がそれで気合が入るのなら、別に文句を言うこともあるまい」
「……」
九尾は特に文句を言うこともなかったが、翼君と狼貴君からはジトっとした瞳でにらまれてしまったが、無視を決め込むことにした。雨水君と七尾は、用事があると言って、私より早く家を出てしまっていたため、見送りは九尾たちだけだった。
スマホに鬼崎さんの家の住所と地図が送られてきたので、それを頼りに私は一人で鬼崎さんの家に向かう。おそらく、後ろから彼らはついてきているだろうが、私の視界に彼らは映っていない。
「ここか」
電車を乗り継いで、駅から10分程歩いていくと、閑静な住宅街が現れた、その一角に鬼崎さんの家があるらしい。住所にはアパートの名前と号室が記載されていたので、一人暮らしでもしているのだろう。
たどりついたアパートは木造二階建ての古びた建物だった。古くて狭そうなアパートなので、きっと家賃は安いだろう。女性が一人暮らしするには、安全面での心配があるが、鬼崎さんは気にしないタイプなのだろう。もしかしたら、彼女の家は貧しくて、家賃を自分で払う必要があり、このような場所に住んでいるのかもしれない。
外階段をのぼって二階に上がるが、階段はさびているのか、ギシギシと嫌な音を立てていた。指定された部屋の前に立ってみたが、表札はなく、ふるびたドアがあるだけだった。
「さて、待ち合わせ時間の30分前ですが、もう少し様子を見た方がいいでしょうか」
待ち合わせの30分も前に、他人の家に上がるのは失礼な気がした。なので、待ち合わせ時間が来るまでの間に、このアパート周辺を探索することにした。
「ああ、朔夜先生!早いね」
階段を下りて、アパート周辺を散策しようとしたら、声をかけられた。声の正体は犬史君だ。犬史君は一人で来たのか、周りに誰もいない。親し気に私の名前を呼び、近づいてきた。
「犬史君も早いですね。待ち合わせ時間まで、あと30分ほどありますよ。私は、犬史君のお兄さんが気になって、家を早く出てしまいました」
「僕もだよ!狼貴にいは、とってもかっこいいんだよ。一匹オオカミみたいで、クールで僕の憧れなんだ。先生、見たら惚れちゃうかも!」
犬史君は、よほど狼貴君に会うのが楽しみらしい。私が狼貴君の話題を振ると、興奮したように、目をキラキラさせて話し出す。
「私が狼貴君に惚れるなんてことはないと思いますよ。それにしても、お兄さんに会いたくて早く来た犬史君は、誰かと一緒に来たのですか?犬史君の家からだと電車を使うはずですけど」
小学生の男の子が一人で電車に乗ってくるだろうか?疑問に思い尋ねる。
「母さんに送ってもらったんだ。今日だけはわがまましてもいいって」
「今日だけ?」
「それは」
「おや、二人とも、ずいぶん早く来たみたいですね。待ち合わせ時間までまだ時間がありますよね。せっかく早く集まってもらったのですが、まだ私の部屋の準備ができていません。もうしばらく待ってもらえますか?」
私たちが話しているところに、鬼崎さんがやってきた。手にはスーパーのビニール袋を両手に提げていた。私たちのために買い出しに行ってくれたのだろうか。
「み、美瑠お姉ちゃん!今日は!」
鬼崎さんは、私たちにもう少し外で待っているよう伝えると、さっさとさびた階段を上がり、自分の部屋のドアを開けて、中に入ってしまった。ドアはばたんと閉じられた。犬史君が鬼崎さんに挨拶したが、無視されていた。
「ええと、もう少しと言われても、困ってしまいますね」
「仕方ないよ。僕のために、美瑠お姉ちゃんは頑張ってくれているんだ。そういえば、先生は誰か会いたい人がいるの?」
「会いたい人、ですか?それは、亡くなった人、ということでしょうか?それなら、私はいないですかね。両親はすでに亡くなってずいぶん経ちますし、亡くなった人とはきちんとお別れができているので」
「じゃあ、今日は何の用事で会うの?美瑠お姉ちゃんは結構忙しいみたいだから、休みの日に誰かと会うってあんまりしないみたいだよ」
鬼崎さんに無視された犬史君だが、よくあることのようで、特に傷ついた様子は見られなかった。鬼崎さんが家で私たちを迎える準備をしているので、ここを離れるのもどうかと思い、暇を持て余した私たちは、階段に座って話をすることにした。犬史君の質問だが、そういえば、鬼崎さんは死人と会わせてくれると犬史君は言っていた。
「鬼崎さんは忙しいんですね。ですが、会いたい人って言われても、私くらい年齢を重ねると、会いたい人だらけになりますよ。そのたびにいちいち会いたいなんて思っていたら、いくら時間があっても足りません。だから、会えなくなってもいいように、普段から精一杯生きた方がいいかなと、先生は思いますよ」
少し、説教くさい回答になってしまった。犬史君が言っていることを毎回やっていれば、確かに寂しさは紛れるかもしれない。しかし、それはあくまで一時的な話だ。鬼崎さんがいったいどのような方法で、死んだ人をよみがえらせるのか。それとも会いたいという人に幻覚を見せているのかは定かではない。
「たくさんいても、大丈夫だよ。美瑠お姉ちゃんに頼めば、すぐにでも会わせてもらえると思うよ」
「その話からいくと、犬史君は、狼貴お兄さんがすでにこの世から」
「準備ができましたから、朔夜先輩、犬史、私の家に上がってください」
ドアが開く音が聞こえ、カンカンと鬼崎さんが階段を下りて、私たちの元にやってきた。スマホの時計を確認するが、まだ彼女が自分の部屋に入ってから10分も経っていない。もう、準備が整ったのだろうか?
私が犬史君に話しているタイミングで彼女がやってきたため、私の言葉は途中で遮られてしまった。
「本当?待ち合わせの時間まで、あと20分もあるよ!」
「そうねえ、犬史は、時間が守れる子ね。でも、今日はせっかくお客さんが二人も来ているのだから、張り切って部屋の準備をしたのよ。さあさあ、朔夜先輩も中に入ってください!」
私と犬史君は鬼崎さんの家をお邪魔することになった。家を出るときは曇り空だったが、今はすっかりと晴れ、私たちを照らしていた。
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