朔夜蒼紗の大学生活⑥

折原さゆみ

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「蒼紗さん、今年の文化祭、楽しみですね!」

 大学2年の夏休みが終わり、今日から後期授業が始まった。大学生とは実に休みが長く、8月から9月の終わりまで夏休みだ。2年生の前期もいろいろあった。まさか、自分の幼馴染と出会うことになるとは誰が予想していただろうか。

「綾崎さん、今年も文化祭でサークルの出し物でも出すの?」

「佐藤さんも蒼紗さんも情報弱者ですねえ。大学は今、文化祭のステージのゲストに大盛り上がりですよ」

 夏休みはあっという間に終わってしまった。幼馴染との再会と別れ、西園寺家にかかわる者たちとの闘い、それが終わってゆっくりできるかと思った夏休み。ごろごろできるかと期待していたが、塾の夏期講習のバイトに、ジャスミンと綾崎さんに誘われて、プールやら夏祭りやらに出かけてなかなかに密度の濃い休みとなった。

「蒼紗?」

「ああ、すいません。今日から授業かと思って、前期とか夏休みを振り返っていました」

『はあ』

2人に盛大な溜息を吐かれてしまう。別に彼女たちの話を聞きたくなかったわけではない。2人の会話を聞くのが面倒くさいという訳でも断じてない。

 私たちは午前の授業を終えて、学食で昼食をとっていた。後期初日の今日は、大学に来る生徒もたくさんいて、学食は賑わいを見せていた。

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