人類はスマホに寄生されました

折原さゆみ

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1日常

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 食事を終えた紫陽は、教室内が再び静まり返っていることに気付く。クラスを見回すと、相変わらずスマホを片手に画面に夢中である。先ほど、幼馴染が大声を出していたのがそんなに珍しいことなのか、それとも静かな空間を乱されるのが嫌なのかはわからない。あの時のざわめきが嘘のように静かだった。

「私も鷹崎君と同じ」

「隼瀬さん」

 紫陽たちの会話を聞いて、話しかけてくる生徒がいた。弁当を食べ終わるのを見は辛かったかのように、話しかけられる。声をした方を振り向くと、それは新入生代表で挨拶していた隼瀬あきらだった。言葉の意味を考えていると、彼女は自ら内容を補足してくれた。

「スマホだよ。なんか鷹崎君とは仲良くなれそう。これから同士になると思うから、よろしくね」

「隼瀬もスマホを」

 しーと人差し指を自分の口に当てた隼瀬は微笑みながら、紫陽の言葉を遮る。そして、そのまま自分の席に戻ってしまった。何が言いたかったのかさっぱりわからないが、時計を見ると、昼休みがあとわずかになっていた。急いで弁当箱を鞄にしまい、次の授業の準備を始める。

「キンコーン、カンコーン」

 昼休み終了のチャイムが鳴り響く。紫陽は彼女の言葉の意味を考えていたが、先生がすぐに教室にやってきて、思考は中断された。




 紫陽は家に帰って、自分の部屋のベッドでくつろいでいると、携帯電話の着信が鳴った。表示を見ると、あやのからだった。

「もしもし。わざわざ電話で何の用かな?」

「昼間の話の続き。スマホを持った方がいいという話よ。クラスでスマホを持っていないのは、紫陽と隼瀬さんくらいなの。すでに噂では、スマホを持たない同士、仲良く付き合っているんじゃないかと言われているのよ」

「そうなんだ。僕は別にそれで構わないよ。だって、持っていないのは事実だし。隼瀬さんとは、クラスでほとんど接点がないのに、どうやったらつき合えるの?むしろ噂している奴らにこっちが聞きたいくらいだよ」

「噂でも私は嫌なの。だから、両親を説得してでも、スマホを買ってもらいなさいよ」

 あやのは紫陽にスマホをどうしても持たせたいようだ。なおも食い下がってくる。

「今回はクラス会の日時連絡だったからいいけど、今後もクラス内の連絡を『コネクト』に流すって言われたら、どうするつもりなの。いつまでも私に頼ってばかりではダメなことくらい、わかっているでしょう!」

 あやのに頼っていたことは以前も今のないのだが、勘違いしているようだ。今までだって、勝手にあやのが紫陽に付きまとって勝手に世話を焼いていただけだ。

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