人類はスマホに寄生されました

折原さゆみ

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2異変

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 席に着いたクラスメイトは、すぐに、いつものように一心不乱に机の下でスマホを操作し始めた。今目の前で起きた、「スマホが手から離れないクラスメイト」の話題をSNSにでも流しているのだろう。

 辺りを見渡した紫陽は、クラスメイトの一人が大変なことになっているにも関わらず、いつもと同じ行動をしている他のクラスメイトにあきれるとともに、恐怖を覚える。自殺しようとしている人間を写真に撮影し、ビルから飛び降りた人間を面白がって動画で撮影してSNSに上げるような不謹慎な人間は、こんな連中かもしれない。

 人の不幸をSNSに挙げて共有することが面白いのだろうか。何が楽しいのだろうか。


「見てみろよ。あいつの他にも、同じ状況の奴がいるみたいだぞ」

「私も見た。こんな偶然ってある?」

「あいつ、実はやらせじゃないの?あんなこと言ってるけど、実はみんなに構ってもらいたいからとか」

「やらせだとしても、めっちゃウケる。動画も出てるぞ!」

「ほんとだ!まじでどいつもこいつも、スマホが手から離れなくなったってさ!」

『アハハハハ!』

 スマホを操作していたクラスメイトの一人が隣の席に話しかける。隣でも同じものを見ていたらしく、会話が弾んでいく。その会話に割り込むように、周りの席のクラスメイト達も次々に会話に参加し始める。

 会話はクラス内に伝染して、教室のあちこちでスマホが手から離れなくなった人間の話題で盛り上がっていく。一応、担任が来ることを意識してか、会話は音量を控えめに行われている。


 クラスメイトの会話を聞いていると、担任が教室に入ってきた。どこか落ち着かなさそうにそわそわと教壇に立つ。あまりに挙動不審な態度で教壇に立つ担任の様子に、何か緊急事態でも起きているのだろうかと勘繰ってしまう。

「みなさん、おはようございます。GW明けでやる気が出ない生徒も多いでしょうが、今日から、また新たに学校生活を頑張っていきましょう!」

 担任は生徒の前で話すというのに、左手をズボンのポケットに入れていた。普通、生徒の前で話すときに、ポケットに手を入れて話す教師はいない。紫陽の担任も例外ではなく、いつもは両手を教壇において話したり、手を使って身振り手振りで話したりすることが多かった。

 ポケットに入れている左手をしきりに気にしている。ちらちらと視線が左のスラックスのポケットと生徒を行ったり来たりする。いったい、ポケットの中に何を入れているのだろうか。

「以上で朝のHRは終わります。一時間目の用意を始めてください」

 担任は、左ポケットに入れた手を外に出すことなく。朝のHRを終えた。

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